性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』について

sunny-movie.jp

僕は今39歳なので、この映画はわりとど真ん中な世代なんです。知っての通り、この映画は韓国映画の名作『サニー 永遠の仲間たち』の日本版リメイクなんですね。

ただ、韓国版は主人公たちの青春時代および回想シーンが60〜70年代で、日本版は90年代。なぜ90年代なのかというと、監督の大根仁にとってその時代が特別な意味を持っているからじゃないでしょうか。『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール(以下民生ボーイ)』もそうでしたしね。

この日本版『SUNNY』の製作が発表されたとき、周囲の映画好きの反応はほとんどが「やれやれだぜ…」といったものでした。原因はこんなところでしょうか。

1. オリジナルの韓国版があまりにも名作である

2. 最近の大根仁監督の映画が興収的にも批評的にも微妙である

3. サブタイがダサい(ちなみに自分はもう一つのA面の「それはちょっと」のほうが好きです)

1についてはですね、個人的には僕、韓国版もよくできた映画だとは感じたけどもめちゃくちゃ思い入れがあるわけではないので(内容もあんまり覚えてないので、今回の日本版とどのあたりに違いがあったのか思い出せない)、そんなに気になりませんでした。

自分としては、3の理由もまああれだけど、やっぱここんとこの大根監督の映画が微妙っていうのがでかい気がしますね。つってもドラマは観てないから『SCOOP!』と『民生ボーイ』だけなんだけど。この2本をなぜあんまり良くないと思ったかというところを書き始めると長くなっちゃうしめんどくさいんではしょりますけど、特に後者について一言で表現するならば、「おっさんのひとりよがりなノスタルジーと、『俺もこれやりたい!やらせて!』にはついていけんわ」というところなんですよね。

今回の企画もやっぱり、上の「おっさんのノスタルジーと俺もこれやりたい」を感じてしまったわけで。冒頭から「またミュージカル演出か…」とうんざりするわけですが、これ、言っちゃ悪いけど『ラ・ラ・ランド』の冒頭の劣化コピーみたいな群舞なんですよ。ここでいきなりげんなりする。『モテキ』では『(500)日のサマー』の影響をわかりやすく受けてやってましたね。よく言えばサンプリングなのかもしれないけど、この監督の引用ってなぜかすごく浅く見える。どうしてなんだろうか。

ラ・ラ・ランド(字幕版)
 

それから、当時の都会の女子高生がみんなあんなコギャルみたいだったって誤解されそうな表現もどうかと思いました。まあこれは、たまたまこの高校はそうだったっていうふうに捉えられなくもないですけど、基本的に今回の映画ってすべてが記号的に見えるんです。コギャルもそうだし、奈美(現代パートは篠原涼子、過去パートは広瀬すずが演じている)の家族の関西人描写についてもそう。なんだよ、あのお好み焼き弁当。関西→お好み焼きっていうこの安直な発想!アホな中学生か!あと細かいこと言うと、奈美の話す関西弁が微妙に変だったんですよね。あれ、淡路だからなのかな。いわゆる阪神間の関西弁とは、一部がかなり違っていました。

奈美の兄が『エヴァ』にハマっていてごちゃごちゃ言うところとかも、なんというか「90年代という時代をものすごく雑にまとめたコント」みたいな仕上がりになってました。短いコントならいいけど、2時間の映画の中でこういうことをぽつぽつやられるとそれだけで気分が滅入る。久々にね、途中で映画館を出ようかと思いました。それぐらいきつい。

さらに細かいところを言うとね、三浦春馬が演じるイケメンDJが出てくるんですけど、あの当時にDJやっててヘッドフォンからtrfが聞こえてくるって、超ダサいですよ。一応言っておくと、確かに当時はtrf安室奈美恵など小室ファミリーが最盛期の時代でした。でもあのときまさに青春を過ごしていた人間からすると、小室ファミリーっていうのはメインストリームであるのと同時に、音楽好きからしたら「だっせー音楽」の代名詞でもあったと思うんですよ。コギャルたちが聴いてるのはわかりますけど、あんなシスコかどっかの袋持ってDJしてるやつがtrfなんか聴いてるかな?僕が住んでたのは兵庫の田舎町ですけど、それこそ当時だって音楽好きの間では「trf(笑)」って感じでしたよ。そのあとにCharaの「やさしい気持ち」が流れるところなんかも、曲そのものは好きですけどね、本当にくっそださくて泣きそうになりました。もちろん、洋楽とかを使うとお金が…みたいな事情もあるんでしょうけど、何もヘッドフォンからtrf漏れてこなくてもいいじゃん。そこは音は流さなくてもいいじゃない。

記号的といえば、裕子(現代パートは小池栄子、過去パートは野田美桜)がファミレスで現代の女子高生を見て(みんながスマホ見て目も合わさず喋ってるっていうこれまた記号的な表現)、「今の子は大人しいね」っていうところとかさ、そんな十把一絡げにしていいんですかね。テーブル着いてスマホばっか見てるのは大人だってやってるし、現代の女子高生だってやっぱりきゃあきゃあわめいたりしてますよ。「今の子は」って簡単にまとめすぎ。

そんでもって、この映画の何が一番イヤなのかって、あの頃青春を過ごした人が「あーなつかしいね」っていうノスタルジーに浸るための道具になってる(ように見える)ことなんです。なんか、90年中頃からまさに高校生だった自分にとっては「君も懐かしいでしょ、どう?ツボを押されたでしょ」って押し付けがましく言われてるようで不快度100%。そんなのは内輪で酒飲んでやってろよ、と暴言の一つもかましたくなりました。

とここまでクソミソに書いてきましたが、結局最後まで劇場は出ませんでした。それはなぜかというと、キャスティングと女優たちの演技は良かったと思うから。これは自分だけじゃなくてほかの人も言ってますけど、広瀬すず篠原涼子って最初は「えー?」と思ったんですよ。でも不思議なことに、映画観てると違和感がない。

それから、前からすごいすごいとは思ってましたけど、今回も広瀬すずはすごいですね。この子はこれまで内省的なキャラクターが多かったんですけど、しっかり関西弁(らしきもの)を関西人ぽいグルーヴ感でしゃべれているし、事務所大丈夫かってぐらい白目はむくし、とにかく生き生きしている。広瀬すず以外だと鰤谷役の小野花梨もよかったし、やっぱ小池栄子は安定してる&ドス利かせるところはうまいし、山本舞香はなにげに一番リアルなコギャル感あったし。それに、みんなこの映画の撮影を楽しんでいたっぽい雰囲気はインタビューなどから感じ取れるから、まあやっぱり大根監督は好かれているのかもしれないし、俳優を乗せるのもうまい人なのかもしれませんね。僕は全然この映画好きじゃないですけど、まあ人格が歪んでるんでしょう。ブログタイトル通り筆者の性格が悪いということで、ご査収ください。

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」Original Sound Track

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」Original Sound Track