性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『検察側の罪人』について

kensatsugawa-movie.jp

木村拓哉二宮和也の共演作つーことで話題にはなっていたんですが、どうにも僕、原田眞人監督の映画は苦手です。といっても、調べてみたら『クライマーズ・ハイ』と『駆込み女と駆出し男』ぐらいしか観てなかった。まあ2本しか観てないのに苦手意識があるぐらいだから、相当合わないのかも。

正直、僕が原田眞人の仕事で「素晴らしい」と思ったのって『フルメタル・ジャケット』の字幕ぐらいです(監督作2本しか観てないのにここまで言い切る)。

ただ、宇多丸氏の木村拓哉インタビューを聞いたらちょっと興味が出てきちまいしてね、ちょうど川崎のチネチッタで通常料金が1100円になるサービスデーってこともあって観てきました(映画の中でラ・チッタデッラがロケで使われててちょっと笑った)。

とりあえず結果から言うと、今回も好みの映画ではありませんでした。原因は、宇多丸氏も映画評でおっしゃっていたように、劇中で発生する現代の事件(および最上の過去に影を落とす、ある事件)と、インパール作戦や昨今の日本の右傾化といった問題を無理やりに結びつけてること。正直にいってこじつけとしか思えませんでした。言いたいことがあるんならそれだけをテーマに個別の映画を撮ってほしいです。ま、難しいんだろうけど。

で、このあたり↑はまあ宇多丸氏の批評で知っていたからというのもあるんですけど、やっぱ個人的には原田眞人の癖のある演出がどうにも合わないです。ここは宇多丸氏が欠点ではなく原田監督の「特色」として挙げていたところですが、エゥネスト・チェィ・グェバルァ、ドナゥドゥ・トゥラァンプみたいな変な巻き舌発音、あれとか、やたら登場人物に早口で喋らせるところとか(この登場人物がやたらと早口で喋るというところは『シン・ゴジラ』を思わせるものがある)。えっと、特色なんだっていうのはわかりましたけど、それによってどういう効果が得られてるんでしょうか。

後者は「情報量の多さを表現するため」かもしれませんけど、前者はまったく意味がわからない。あとこれ、原田監督の特色というよりは「あ、キムタクってこういう変な巻き舌発音しそう」としか思えませんでした。これ、なんの意味があったんですかね。この変な発音の演出意図について説明してるブログとかないんですかね。

一応言っておくと、今回の映画の木村拓哉の演技は概ね嫌いじゃなくてむしろ好きな部類なんですけど、あの変な発音のとこだけ、悪い意味でのキムタク性みたいなのが色濃く出てもんのすごい浮いてます。それから、当日の天気を見てやっぱり復活させたっていうあのセリフ、正直あれはなくてよかったんじゃないかと思うのは僕だけでしょうか。「罪を洗い流せる雨なんてないから」って、もんのすごい芝居じみたセリフですよね。すんごい浮いてるんですよ、このセリフ。例のインタビューの中で「あれを復活させた」っていうくだりに宇多丸氏は納得してたようだけど、実際に映画を観てみたら「いや、どう考えてもオミットが正解だっただろ…なんで復活させたんだ監督」って思っちゃいました。それからこれも宇多丸氏は擁護してましたけど、芦名星の演じてるキャラクターがいかにもマンガ的すぎる。あの人が出てくるとこだけマンガですよ。いや、こんなこと言ったらマンガに失礼だ。単純にださい

あと、編集もそんなに良かったかな?僕にはカチャカチャした単なる落ち着きのない編集としか思えませんでしたけど。最後に二宮和也が叫ぶのもね、原作通りなのかもしれませんけど、もう日本映画のこの悪しきパターンやめませんか(ちなみに上映前にかかった『七つの会議』の予告も日本映画の悪しきパターンにハマってる気がした)。キャラクターに叫ばせとけばいい、みたいな。安易すぎる。二宮和也っていう人は叫んだりしなくてもあの若手検事の感情を表現できる役者だと思うんですよ、僕は。それをガーッて叫ばせて、本当にださいと思うんですけど。中盤で叫びまくるところはいいだけに、もったいない。沖野というキャラクターの深みが失われるような演出だと思いました。オープニングで流れるテーマ曲を二胡かなんかで嫁が弾いてるって演出もいったいなんなんだ。どうでもよすぎるぞ。

半分ぐらいは宇多丸氏の批評への違和感みたいな感想になっちゃいましたけど、やっぱ僕には原田眞人監督の演出は理解できません。まあシネフィルな人だからいろいろ素人にはわかんない意図もあるんでしょうけど、個人的には単にバランスを欠いた映画としか思えませんでした。木村パートの硬質な感じと二宮・吉高パートのちょっとゆるい感じ(ラブホのくだり)のちぐはぐな感じも全然いいと思わなかったし、ある出来事のあとの二人の態勢とかこれ見よがしに見せてるけどなんなんだよ、なんか意味があるのかもしんねーけど超ださいぞ。

この日チネチッタで観た映画はこの『検察側の罪人』と『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『累-かさね-』で、『SUNNY』がワーストかなーと思ってたんですが、感想書いてたらやっぱ『検察側』がワーストかもと思えてきました。

検察側の罪人 上 (文春文庫)

検察側の罪人 上 (文春文庫)

 
検察側の罪人 下 (文春文庫)

検察側の罪人 下 (文春文庫)