性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『響 -HIBIKI-』について

www.hibiki-the-movie.jp

いやー、正直全然期待はしてなかったんですけど、わからないものですね。『響 -HIBIKI-』、ハッキリ言ってめちゃ面白かったです。

原作は柳本光晴という方の『響〜小説家になる方法〜』というマンガなんですけど、この作品自体は気になってたんですよ。なんせ小説家の話をマンガでやるっていうのがね、例えば既存の作家の伝記とかならまあわかるんですけど、まったくのオリジナルキャラとストーリーで成立させてしまっている(らしい)ところが面白いなと思って。

ただ東宝が映画化すると知ったときは「ま〜た人気原作ものか」と感じて、あんまりいい印象はなかったんです。監督の月川翔は『きみの腎臓を売りたい』だか『きみの大腸を洗浄したい』だか『早く人間になりたい』だかのイメージが強くて、まあそつなく無難にまとめるタイプの人なんだろうと。*1

でもこの「観ないで判断」っていうのがいかに危険なことなのかよくわかっているつもりでも、どうしてもやっちゃうんですよね。しかも、この「観ないで判断」っていう安易な行動が『響 -HIBIKI-』の劇中でもばっちりぶった切られたりするもんでね、もう未婚出会えない映画おじさんとしては反省しきりなわけです。

例によって雑に説明すると、とんでもない文才を持つ15歳の少女・鮎喰響が、そのエキセントリックな言動で周囲の人間を巻き込みながら文壇に革命を起こしていく、というのがこの映画のあらすじ。具体的にどうエキセントリックなのかというと、「高校で入った文芸部にたむろってたヤンキー先輩の指をブチ折る」、「そのヤンキー先輩に再び因縁をつけられたときに落とし前をつけようとして本当に学校の屋上から落ちる」、「文芸賞の授賞式でほかの受賞者の頭を桜井広大パイプ椅子でぶん殴る」と、もうほとんど狂人レベルです。

映画の冒頭はですね、正直あまりいいと思わなかったんですよ。GoPro的なカメラを使って、響が書いた原稿の行方を追うっていうショットなんですけど、はっきり言ってダサい!と思い、いきなり不安になったんです。ところが、響を演じる平手友梨奈の顔を見たときに「あぁ、これは大丈夫なんじゃないか」と思わされてしまう。ここで、この映画を観ようと思った最終的な決め手に触れておきたいんですけど、それはもうこの平手友梨奈という映画初出演にして初主演の女優なわけです。

原作の響ってほっそりしていて、いかにもまあ文学少女といった感じがするんですけど、平手友梨奈は丸顔でもっとふっくらしている。原作原理主義者からしたらこれだけで気に入らないのかもしれないけど、原作未読の僕としてはもうそんなことはどうでもいい。目ですよ、平手友梨奈の目。彼女のあの強烈な目力。これが、原作の響と同等、あるいはそれ以上の“主人公力”みたいなものを体現していて。正直、この映画の予告とかポスターとかを見るたびにですね、平手友梨奈さんに圧をかけられてる気がしてたんですよ。「観るわよね、この映画」って。

要するに、この映画はもう平手友梨奈様を主演に据えた時点でもう勝ちだったと思うんですね。すでにいろんなところで言われてるけど、鮎喰響という主人公と平手友梨奈様の存在がほぼダブってくるというか、この現象は一種のアイドル映画としても大成功なんではないかと。こんなこと言うと、お前もともと平手友梨奈とか欅坂46のファンだったんだろと言われるかもしれませんけど、断じてそんなことはありません。アイドル全然知らないんで。なんせ今この文章書いてて「欅坂のあとって46だっけ、48だっけ」って考えちゃったぐらいですよ。

この映画を観たあと、平手友梨奈様が出てるコスメかなんかの広告写真を観たんですけど、そんなにいいなあとは思わなくて。普通に笑ってる写真とか見ると「あ、そんなに笑わなくていいから!」と思ってしまう。映画でも動物園に行くシーンがあって、たぶんそこは素で楽しんでるところにカメラを向けたんでしょうけど、もうアルパカとかキリンとかも全部無表情で見つめてほしかったぐらい。この仏頂面なキャラクターのイメージがあまりに固定しすぎるとそれはそれで今後の女優業に支障が出て大変そうな気がしますが、本当に唯一無二な存在感のスターが出てきたなと思っています。

残念なところを挙げるなら、いろんな原作のエピソードをかき集めた結果、例えば柳楽優弥みたいな存在感のある役者の出番がちょっと少なくてもったいないなあと思ったところかな。まあこれは2時間で映画化しようとすると致し方ない気も。

あと小栗旬野間口徹の役は、少し前だったら逆にキャスティングしてそうですけど、そうではないところがいいですね。小栗旬みたいな、ほぼ若頭みたいな位置を日本の芸能界で築いている人と、ほぼド新人の鉄砲玉みたいな平手友梨奈様をこういう形で対峙させるって、これはなかなか意地悪で気の利いた配役じゃないですか。

この日はこの『響 -HIBIKI-』のほか『プーと大人になった僕』『ザ・プレデター』を観たんですけど、一番期待してなかった『響 -HIBIKI-』が一番面白かったですね。実は『累-かさね-』(これも結構評価高い)と迷ってたんですけど、時間の都合上『響 -HIBIKI-』にしました。東宝の実写化企画って敬遠しがちなんですけど、やっぱり全部が全部どうでもいい映画ってこともないんだなと痛感しました。先入観を持たずに観ないと平手友梨奈さんに指をブチ折られるので、今後気をつけることにします。原作も読んでみます。あ、最後に、伊藤ゴローさんのエレクトロニカっぽいダークな音楽もよかったです。『恋は雨上がりのように』(こちらは映画のできはあまりいいとは思えなかった)でもいい仕事してましたよね。

映画「響-HIBIKI-」オリジナル・サウンドトラック

映画「響-HIBIKI-」オリジナル・サウンドトラック

 
小説 響 HIBIKI (小学館文庫)

小説 響 HIBIKI (小学館文庫)

 

*1:すみません、今度Prime Videoで『君と100回目の恋』観ます。あと無料になったら『君の膵臓をたべたい』も観ます