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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『手紙は憶えている』を観た

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remember.asmik-ace.co.jp

 

 TOHOシネマズ シャンテで鑑賞。監督はアトム・エゴヤンですが、彼の映画を観るのは恥ずかしながら初めてです。

 どういうお話かというと、自分の嫁が一週間前に死んだことすらすぐに忘れてしまうボケ気味のじいさんが、名前を変えてアメリカに住んでいる元ナチ兵をぶち殺しに行くというお話です。

 クリストファー・プラマー(『サウンド・オブ・ミュージック』の人)演じる主人公ゼヴは、友人で足が不自由なマックスから「俺たちの家族を殺したあの男を殺してくれ」と頼まれます。ゼヴが認知症でなんでもかんでもすぐ忘れてしまうことから、マックスは彼に手紙を託します。それを読めば、何をすべきかゼヴが思い出すことができるからです。というわけで邦題に「手紙」というフレーズが入っているのです(原題は“Remember”)。

 勘の良い人なら、ここでこの物語のオチが読めるかもしれません。もしここまで読んで『観に行ってみよう』と思ったなら、映画の公式サイトなどを何も見ず映画館に行ったほうがいいです。僕は少しこの映画について調べただけでなんとなくオチが読めましたし、実際その通りでした。あ、こんなこと書くだけでバレるかな。まあいいや。

 “ルディ・コランダー”という名前の元ナチ兵の候補は何人かいて、ゼヴは1人ずつ彼らを訪ねていきます。1人目は『ヒトラー 〜最期の12日間〜』でアドルフ・ヒトラーを演じていた(というより今では“『総統閣下』シリーズの”と言ったほうが日本人には馴染み深いかもしれない)ブルーノ・ガンツが演じていて、地味に豪華です。

 しかしゼヴはなんせ認知症なので、しょっちゅう自分が何をすべきなのかを忘れてしまいます。この「ボケてるからいろいろ忘れちゃう」という要素にスリルを感じる人もいるようですが、僕はどっちかというと特にハラハラせずに観ていました。正直に言ってちょっとテンポがゆるすぎるんじゃないかなあと思うところもあり、少し眠くなったり。これ、オチが大体読めていたからかもしれませんけどね。

 この映画は約70年前の戦争の記憶というものがひとつのテーマなわけですが、回想シーンは一切ありません。その代わりに、微妙なニュアンスの演出で当時の収容所の生活を観客に連想させる仕組みになっています。例えばゼヴがシャワーを浴びるシーンとか、スピーカーからアナウンスが聴こえるシーンとか。このあたりはなかなかスマートだなと思いました。

 さて、オチについてはやはり伏せておこうと思いますが、俳優陣の演技力のおかげなのか、やはりわかっていてもその瞬間にはゾッとさせられてしまいます。少々マイケル・ダナの音楽が大仰すぎるのが気になりますが…。

 勿論、オチが読めたとしてもそのことで台無しになるような映画ではないと思います。なぜゼヴが認知症で「いろいろなことをすぐに忘れてしまう」という設定になっているのかというあたりをよく考えると、こうした悲劇が過去のものではなく、今まさに我々が直面している問題としっかりつながっていることに気付くんじゃないかと思います。

 

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