ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『聲の形』を観た

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koenokatachi-movie.com

 楽しみにしていた『聲の形』。原作も好きだし、アニメ映画版を『たまこラブストーリー』の山田尚子さんが手がけると聞いたときはとても嬉しかったです。

 早速感想です。

 

やはり2時間であのストーリーをまとめるのは難しかった

 アニメ化されると最初に報道されたとき、映画とは書かれてなかったんですよね。だからてっきりテレビシリーズだと思っていて。全7巻とそれほど長大なストーリーじゃないけど、あれを1本の映画にまとめきれるの?と不安視していたら、やはりというかなんというか……。とにかく展開が早すぎて、原作を読んでないと登場人物たちの感情の動きが追えないと思います(原作読んでた僕ですら戸惑う)。

 特に後半で大きく物語が動くところはやっぱり“タメ”が必要だと思うんですよ。でもあっさりと話が進んじゃうから、カタルシスが生まれない。原作にある自主映画作りとかをオミットしたのは好判断ですが、それでもかなり無理が生じてます。いっそもっと話を作り変えて、登場人物も絞ればよかったのになあと。

 

原作に登場する一部の人物のキャラがマイルドになっている

 これは山田さんが監督すると知ってから危惧していた点ですが、原作で特にめんどくさいキャラである植野と川井がかなりマイルドな性格になっていてちょっと拍子抜けしました。このお話って、美少女でなぜか主人公を好きになってくれる素直な聴覚障害者という一種メルヘンなキャラクターの反面にどぎついキャラが配されてるからバランスが取れていたと僕は思っていて。こんなことを言っても詮無いですが、やっぱり山田監督は優しすぎるんじゃないかなあと感じてしまいました。

 

山田尚子演出は健在

 今回も、登場人物の足だけを映すシーンがふんだん。もはや偏執的とすら思えるほどに足を撮る山田監督の作風は健在でした。もちろん被写界深度を超浅くしたり、フレームの端に登場人物を配するというパターンも頻出。シーンの合間に意味深に挿入される、花を映したカットも出てきます。

 

音楽

 agraphこと牛尾憲輔氏が手がけていますが、エレクトロニカのようなポストクラシックのような非常に繊細なトラックが並んでいて、さっそくApple MusicでサントラをDLしちゃいました。ピアノ曲は打鍵音もはっきりと録音されていて、単なる劇伴音楽にとどまらない作品になっています。オープニングがThe Whoの「マイ・ジェネレーション」だったのも驚きで、意表を突かれました。しかも意外なことに、将也の小学生時代の冒頭にかかると妙にマッチするんですよね。

 ただしそのぶん、エンディングでかかるaikoの曲「恋をしたのは」は全然合っていませんでした。aikoは嫌いじゃないんですけど、やっぱりこの映画にはミスマッチです。このお話にとってあまり「恋」って重要事項じゃないんじゃないかなあ。

 

声優

 一番びっくりしたのは結絃を演じた悠木碧ですかね。「悠木碧出てるらしいけど誰の声だろう…」とエンドロール見るまでわかりませんでした。『君の名は。』ではいかにも悠木碧な感じだったけど、『聲の形』ではかなり声を作っています。

 松岡茉優についてはかなり期待していたのだけど、悠木碧ほどのインパクトはありませんでした。まあそれでもほとんどの芸能人声優よりはうまいんですけどね。ゴーリーキーとかゴーリキーとかゴーリキーとか。

 

結果どうだったか

 終盤に差し掛かって、「あぁ、このお話ってディスコミュニケーションの物語だったんだな」と気付きました。実は原作を読んでいるときはいじめとか聴覚障害者への差別意識のようなもの、悲劇性ばかりに集中しちゃってたんですけど、映画を観たらもうちょっと視野が広がったというか再認識させられてしまったというか。それは、山田監督がこのお話のエッセンスを実に的確に抽出できていた証左なのかもしれません。となると、駆け足すぎるストーリー展開に文句を言うのも野暮なのかな……と思い始めたり。それでもやっぱり、僕はこのお話を全12話とかで観たかったかなあとも感じてしまいます。もちろんそうなるとこれほどのクオリティを毎週維持することは難しくなるわけですが……。

 これから観に行こうかと思ってる人は、全7巻なのでサクッと読んでから映画館に行ってもいいかもしれません。

 まあ次の山田監督の新作はオリジナルが観たいかな。

 

 

 

 

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