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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『さざなみ』を観た

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映画『さざなみ』 公式サイト

 

※少々ネタバレあり。

 僕の中で「怖いおばさん」女優2大巨頭というのがあって、1人はイザベル・ユペール、もう1人はこのシャーロット・ランプリングなのです。

 シャーロットの出ている映画をそんなに数多く観ているわけではないのですが、たとえばラース・フォン・トリアーの『メランコリア』でも「何を言っても表情ひとつ変えず論破してくる系」の冷徹な表情が非常に印象的でした。僕の中では、彼女は常に「超おっかねえ女教頭先生」的なイメージを保ち続けています。

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 とはいえこの『さざなみ』の冒頭では、彼女はなかなか温和そうな人に見えます。やはり「キレたらやばそう」という雰囲気はあるものの、『メランコリア』のような怖ろしさはありません。『さざなみ』では夫の死んだ恋人に嫉妬する(というとあまりに簡単すぎる説明で的を射ていないが)という役柄なので、はらはらと泣いたりするのかと思ってたんですよね。鬼教頭も霍乱するのね、というような。

 ところが映画を最後まで観てみるともちろんそんなことはなく、シャーロット・ランプリングは相変わらずすごく怖いですいや厳密にはこの物語が投げかけてくるテーマ(というと陳腐だが)自体が怖ろしいのだけども、やっぱりどう考えたってシャーロット・ランプリングが怖い。

 本当に地味な映画ですが、小さな動揺とか怒りを細やかな表情の変化で演じてみせるそのうまさにひれ伏してしまいます。このお話自体に魅力があるのはもちろんですが、シャーロットの演技あってこその映画ではないかと思わずにはいられない。と、銃を突きつけられて言わされている。気がするぐらい怖い。シャーロットが。

 特にラスト近く、パーティでの彼女は特にアップでもないのに何かとてつもなく不穏な心境になっているのかが怖ろしいほどに伝わってくるのです。そばでは旦那(バカ)が脳天気に「やっぱ結婚して最高だったよ」みたいな白々しいこと(たとえ旦那が本気でそう思っていても白々しい)を言ってる横で、なんともいえない表情を浮かべる彼女。この、何か喜ばしいことが行われている裏ではものすごく不穏な何かが起こっているという僕好みの演出が最高すぎて失禁しそうでした。

 そして極めつけのダンスシーン。本当に背筋が凍るようなダンスシーンです。かつてこれほどゾッとするダンスシーンがあったかと思うぐらい怖ろしいです。『キャリー』の豚の血ぶっしゃあああ!!!!!が爆笑できるレベル。何度も言うけどこのときのシャーロットの表情の演技も凄まじい。決して派手なことをしているわけではありませんが、観ていて異常にドキドキしました。『X-ミッション』なんかよりよっぽどドキドキするよ。バーカ!

notesleftbehind.hatenadiary.com

 それにしても旦那のほうの無神経さはすごかったですね。僕もたいがい女性に対して無礼なことを言う(「今日なんかブスだね。明日もブスかな」とか)人間ですが、この旦那はもう、それこそ認知症が始まってるんじゃねーかと勘ぐるぐらいデリカシーがない。悪気なしに相手の感情をズタズタにするとんでもないジジイです。自分は決してこんなジジイにはならないぞ…と思うのですが、男なんてみんなこんなものかもしれません。

 結婚している人は一度は観たほうがいい映画だと思います。僕は結婚してないけどとても沁みました。