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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『ライク・サムワン・イン・ラブ』

natalie.mu

 ちょっとびっくりしました。キアロスタミの作品は『桜桃の味』と『ライク・サムワン・イン・ラブ』しか観ていないのだけど、どちらも味わい深い映画だったので、気になる監督ではあったのです。

 『桜桃の味』はだいぶ前(VHSだったかも)にレンタルで観てそのラストに「こういうのもアリなんだ」と驚いたのですが、どちらかというとそれほど世間的には評価されていない『ライク・サムワン・イン・ラブ』のほうがお気に入りです。アッバス・キアロスタミはイラン出身なんですけど、この映画は日本で撮影されています。

 どういうお話なのかものすごく単純にいうと、いい歳こいたじいさんが若い女を買おうとするという話です。「ライク・サムワン・イン・ラブ」というのはジャズのスタンダード曲で、じいさんが女を自分の家に招いたときにかける曲なんです。こう書くとちょっと切ない歳の差恋愛ものように思えますが、全然そんな映画ではありません。

 後半に加瀬亮演じる女の恋人が出てくるんですけど、こいつがもう典型的なDQNで、話が全然通じないタイプ。女に暴力を振るうわ「結婚すればすべてうまくいくと思うんすよ」とか抜かすわ本当に厄介な男です。そしてこいつが出てきたことで映画は一気に不穏なムードを醸しだしていくんですね。

 テーマみたいなものが何なのか(あるいはそんなものがあるのかもわからないけど)は正直いってよくわからないんですが、不思議と僕はこの映画に引き込まれました。女を演じている高梨臨は美しくエロく撮られているし、加瀬亮DQN演技が絶妙だったりということもあるけど、やはりカメラを通して体感するキアロスタミの冷徹な視点が最大の魅力かなと。『桜桃の味』は割りと温かい映画だったけど、『ライク・サムワン・イン・ラブ』は(良い意味で)血が通ってない。ミヒャエル・ハネケを思わせるほどです。

 じいさんが学のある人で紳士っぽいのだけど、よくよく考えたら単なるエロジジイに見えるところも絶妙ですね。奥野匡さんという俳優さんが演じられているのですが、この小型安西先生みたいな存在感がまたいいんですよ。ちょっとかわいいおじいさんという感じだしそれほど名前の知られた俳優でもないから、どういう人なのかつかみづらい。これを笹野高史とかが演じるとちょっと違うのです。

 この映画は外国から見た日本の滑稽さを描いているようにも思えるし、実はそんなことは全然関係なくてたまたま日本が舞台になったようにも思える。人によっては爆睡するだろうし「結局何が言いたかったの?」と思わされるかもしれませんが、日本を舞台にした外国映画というくくりでは一番好きな作品かもしれません。

 Netflixでも観られるので、機会があったらぜひ。面白くなくても責任は取りません。高梨臨がコールガールだったら5万出してもいいなあ。

Netflixで再見してみたら、開始から20分ぐらいで音声がおかしくなりました。そのとき本来流れているはずの音声がRチャンネル、開始から50分ぐらいの音声がLチャンネルから流れるのです。ちゃんとしろNetflix

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ライク・サムワン・イン・ラブ [DVD]

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