ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『追憶の森』を観た

f:id:q050351:20160427002530j:plainThe Sea of Trees/アメリカ/111分

監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:クリス・スパーリング
撮影:キャスパー・タクセン
編集:ピエトロ・スカリア
音楽:メイソン・ベイツ
出演:マシュー・マコノヒー渡辺謙ナオミ・ワッツ ほか

富士山の麓に広がる青木ヶ原樹海。ここに死に場所を求めてアメリカからやって来たアーサー・ブレナン(マシュー・マコノヒー)。森の奥深くに分け入り、睡眠薬で自殺を図ろうとしていた彼の前に、傷つき憔悴した日本人男性(渡辺謙)が現われる。助けを求める彼を放っておけず、一緒に出口を探すアーサー。しかし一向に出口を見つけられず、森の中を彷徨い歩く2人に次々と試練が襲いかかる。互いに助け合う中で、次第に心を開いていく2人。やがてナカムラ・タクミと名乗るこの男性に、自分がここへやって来た理由を語り始めるアーサーだったが…。

 『エレファント』とか『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』で知られるガス・ヴァン・サントの監督作品です。この人は自分の趣味で撮ってるっぽい映画(『エレファント』)と職人的に監督を引き受けた映画(『グッド・ウィル・ハンティング』)をきっちり分けてたと思うんですけど、最近はその境目があまりはっきりしなくなってきています。

 そのせいかどうなのかはわからないけど、加瀬亮が出た『永遠の僕たち』とかはどうにも中途半端な印象だったし、『プロミスト・ランド』もほぼ無視された作品です。『エレファント』『ジェリー』『ラストデイズ』という“死の三部作”ボックスセットを持っている僕ですら『プロミスト・ランド』は観てません。

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 ガス・ヴァン・サントの作品はほぼ“死”がテーマになっていて、今回の『追憶の森』はまさにど真ん中。青木ヶ原樹海に死にに来た人のお話ですから。演じるのはマシュー・マコノヒーで、この人は『ダラス・バイヤーズクラブ』で激やせ演技を披露してアカデミー主演男優賞を獲った人ですね。

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 もともとは筋肉系俳優だったんですが、ここ数年はすっかり性格俳優です。今回共演した渡辺謙とは、クリストファー・ノーランつながりですね。マシューは『インターステラー』に出てるし謙さんは『インセプション』に出てる。

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 マシューも謙さんも好きな俳優だし設定も嫌いじゃないんですが、『追憶の森』って去年のカンヌでブーイングくらってるんですよね。また『永遠の僕たち』みたいな感じだったらやだなあ…と思ってたんですが、杞憂でした。ものすごい大傑作というわけではないし地味な映画ですが、心に染み入る小品だと思います。

 この映画で描かれている“死生観”って、日本人(もしくはアジア人全般?)のほうが感情移入しやすいんじゃないでしょうか。多分欧米人には理解できないし、あまり理解したいとも思わないんじゃないかな。

 それにしてもガス・ヴァン・サント自身が脚本を書いていないからかもしれませんが、男2人がひたすらさまようという似たような筋書きを持った『ジェリー』とかと比べるとだいぶ作風が優しくなったなと思います。わかりやすさという意味でも優しくなったし(今回の伏線の回収の仕方とか、ちょっと陳腐な気もするけど不覚にもジーンときてしまった)。

 多分寝る人は寝る映画ですが、人の体がぶっとんだり血が吹き出たりギターから炎が出る映画ばかりを観て疲れたときに箸休めのような感じで鑑賞するといいんじゃないかと思います。