読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『レヴェナント:蘇えりし者』を観た

f:id:q050351:20151110105736j:plainRevenant/アメリカ/156分

監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
原作:マイケル・プンケ
脚本:マーク・L・スミス、アレハンドロ・G・イニャリトゥ
撮影:エマニュエル・ルベツキ
編集:スティーヴン・ミリオン
音楽:坂本龍一、カールステン・ニコライ
出演:レオナルド・ディカプリオトム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター ほか

熊に襲われ瀕死の重傷を負ったハンターが、自分を見捨てた狩猟仲間への復讐を遂げるため執念の旅に出る。

 去年アカデミー賞作品賞を受賞した『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の監督アレハンドロ・G・イニャリトゥの新作です。

 『バードマン』についての僕の感想はこちら。

 読んでもらえばわかると思いますが、個人的にはそんなに気に入っていません。頭の悪い僕には十全に理解できなかったようです(劇中に出てくるレイモンド・カーヴァーの小説は好きなんだけど)。イニャリトゥは菊地凛子がヘアを出したことで有名な『バベル』なんかも撮ってますが、これも個人的には「別に……」((C)沢尻エリカ)って感じでした。というわけで僕の中ではイニャリトゥ=菊地凛子のヘアということになっています。

 とはいえ今回の『レヴェナント』はもっと話が単純。

ディカプリオ熊に襲われる→仲の悪かったトム・ハーディが「置いていこうぜ」と言い出す→×××(ネタバレなので一応伏せる)→ディカプリオ激おこ

 と表面上のプロットラインはまっすぐなので、よほどのバカでない限りは理解できるでしょう。こんなシンプルなお話が理解できない人は『X-ミッション』の主人公ぐらいのものです。

 ちなみにTwitterかなんかで見かけた「トム・ハーディは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でも追っかけられてたし今度も追っかけられるのか」というつぶやきにはちょっと笑ってしまいました。ただし『マッドマックス』とは違って、『レヴェナント』のトム・ハーディはド畜生まっしぐらの最低野郎です。まあ気持ちもわかるんですけどね……確かに瀕死のディカプリオは足手まといだった。でもこいつ、それ以前に絶対個人的憎悪みたいなの持ってるだろう、というのが映画の冒頭からひしひしと伝わってきます。

 物語がシンプルだと先に書きましたが、イニャリトゥが撮っているだけあって、頭のいい人が観ればいろいろと深い意味なんかも見いだせる作品なのかもしれません。でも僕は頭が悪いので、正直「マジ熊こえー」という感想が大部分で。もちろんVFXなんでしょうけど、熊の動きとかがリアルすぎて、ディカプリオが襲われるシーンは観てて冷や汗が出てきます。知ってますか? 熊って獲物を絶命させてから食うんじゃなくて、生きたままわしわしと食っていくらしいんですよ。ヴェルナー・ヘルツォークが撮った『グリズリーマン』ていうドキュメンタリーのこととか調べるといろいろ怖い事実を知ることができますよ。ほんとマジで熊は怖いから!

 さて熊にめちゃくちゃにされたディカプリオですが、なんとか命は助かります。ていうかあんだけやられたら絶対死ぬと思うんだけど、一応実話がベースらしいですね。絶対話盛ってると思いますが。

 ディカプリオは『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』にてドラッグのせいで床を這いつくばるシーンをアクロバティックにこなしてましたが、本作でも似たような場面を見ることができます。大怪我のために動けないディカプリオが、怒りのあまり大量のよだれを垂らしながら激おこ状態になるシーンです。ディカプリオは『バスケットボール・ダイアリーズ』でもよだれたらしてたし、ハリウッドのよだれ要員なんでしょうか。

 撮影は『バードマン』に続いてエマニュエル・ルベツキが担当していますが、今回もいい仕事してますね。『ゼロ・グラビティ』とか『バードマン』のときほどの派手さはないにせよ(今回は長回しもそんなになかった気がする)、ちょっと彼を超える撮影監督は今ほかに思い浮かばない。3年連続でアカデミー撮影賞獲るってすごいですよ。

 音楽は坂本龍一Alva Notoことカールステン・ニコライ(ザ・ナショナルのブライス・デスナーもちょこっと参加)。そういえばイニャリトゥは『バベル』でも菊地凛子のヘアが見えるシーンで坂本龍一の「美貌の青空」を使ってるんですよね。おかげで「美貌の青空」を聴くたびに菊地凛子のヘアを思い出しますよ。ちなみにイニャリトゥは本作の音楽がアカデミー賞にノミネートすらされなかったことにたいそうご立腹でした。僕もいい音楽だと思いましたけどね。ただアカデミー会員からするとちょっとミニマル過ぎるのかも。そこがいいとこなのに。

 ここまで書いてこなかったのですが、レオ、アカデミー主演男優賞おめでとう! お前に言われんでもわかっとるって言われそうですけど、おめでとう。ずっとよだれ垂らしてきたかいがあったね。生魚かじったかいがあったね。ちなみに、ディカプリオが本物の馬の死体の腹かっさばいて中で寝たとかいう噂がありますが、これはウソです。さすがに作り物だったそう。

 まあものすごく好きな映画かといわれればそうでもないのだけど、イニャリトゥ作品の中では一番好みかな。トム・ハーディが追いかけられるとはいっても、『マッドマックス』のような映画とは全然タイプが違います。もうちょっと観念的で、余白の多い作品。それにしても最近のイニャリトゥの勢いはすごいですね。この映画も昨年『バードマン』で獲ってなかったらアカデミー賞作品賞受賞してもおかしくないようなできですよ、はっきりいって。