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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『マジカル・ガール』を観た

f:id:q050351:20160310000205j:plainMagical Girl/スペイン/127分

監督:カルロス・ベルムト
脚本:カルロス・ベルムト
撮影:サンティアゴ・ラカイ
出演:バルバラ・レニー、ルイス・ベルメホ、ホセ・サクリスタン、ルシア・ポジャン ほか

白血病で余命わずかな12歳の少女アリシア(ルシア・ポジャン)は、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。彼女の願いはコスチュームを着て踊ること。 娘の最後の願いをかなえるため、父ルイス(ルイス・ベルメホ)は失業中にもかかわらず、高額なコスチュームを手に入れることを決意する。どうしても金策がうまくいかないルイスは、ついに高級宝飾店に強盗に入ろうとする。まさに大きな石で窓を割ろうとした瞬間、 空から降ってきた嘔吐物が彼の肩にかかるー。心に闇を抱える美しき人妻バルバラバルバラ・レニー)は、逃げようとするルイスを呼び止め、自宅へと招き入れる。 そして…。バルバラとの“過去”をもつ元教師ダミアン(ホセ・サクリスタン)は、バルバラと再会することを恐れている。アリシア、ルイス、バルバラ、ダミアン―決して出会うはずのなかった彼らの運命は、交錯し予想もしない悲劇的な結末へと加速していく……。(公式サイトより)

 以前から気になっていた作品です。スペイン映画といえばペドロ・アルモドバルをすぐに連想しますが、『マジカル・ガール』はもっと冷めているというか、どちらかというと同じスペイン語圏であるメキシコの監督ミシェル・フランコの『父の秘密』の感触に近い映画でした。

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 日本人からしてみれば、「魔法少女ユキコ」という架空のアニメにあこがれる少女が出てくるというところに親近感を感じるでしょう。このユキコのキャラクターデザインは、服装だけ見るとかなり『魔法少女まどか☆マギカ』のまどかっぽいです。キャラの体型はどちらかというと『美少女戦士セーラームーン』ぽいですが。ただし「魔法少女ユキコ」は物語を進める小道具の1つなので、映画の中でユキコたちが変身したりクレイジーサイコレズ化したりすることはありません。美少女アニメファンの方々、残念でした。糞して寝てください。

 この映画の中心人物は3人です。少女の父親であるルイス、ルイスとひょんなことから知り合うメンヘラ女バルバラ、そしてバルバラの元教師であるダミアン。チャプター分けこそしてませんが、映画の中ではこの3人の視点を1人ずつ丁寧に追っていきます。映画を観るまではルイスと娘を中心に話が進むと思ってたのでこれは少し意外でした。でもそのおかげで、誰かに感情移入しすぎることなく対等に3人のドラマを追うことができました。

 この3人は最終的にひどい目にあう(もしくは破滅する)ことになりますが、どの人も根っからの悪人ではありません。それはいわば“神の視点”を得ている僕ら観客だからこそわかることなのですが、彼らにはそれぞれの人生と思惑があるので、ほかの人たちの事情は見えない。きっかけは白血病の少女のささやかな(本当にささやかな)願いなのに、最終的にはそれが連鎖反応を生んで3人の人間を不幸にしてしまう。それ自体はそこまで奇抜な筋書きではないと思うのですが、きっかけが日本の魔法少女アニメだというのがこの映画の面白いところでしょうね。

 それにしてもルイスとバルバラのパートはまだ予想がつく展開なんですけど、ダミアンにはびっくりしましたね。ネタバレになるんで詳しくはいえませんが、え、この人何者? ほんとにただの教師なの? と思ってしまいました。もしかしたらどこか見落としてるのかな。

 監督のカルロス・ベルムトはかなりの日本好きなようです。でもこの映画を観ていると、単に好きなだけではなくて批評性のようなものを持って日本のカルチャーに触れているのではないかという気がしてきます。今後どういう作品を作るのかが気になる監督ですね。