ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『ヘイトフル・エイト』を観た

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The Hateful Eight/アメリカ/168分

監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:フレッド・ラスキン
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:サミュエル・L・ジャクソンカート・ラッセルジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチルティム・ロスマイケル・マドセンブルース・ダーン ほか

南北戦争後のワイオミング。雪の中を走る1台の駅馬車。乗っているのは賞金稼ぎのジョン・ルースカート・ラッセル)と手錠をはめられた賞金首の女デイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)。そこへ、馬が倒れて立ち往生していた元騎兵隊の賞金稼ぎマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)が、お尋ね者3人の死体と共に乗り込んでくる。共にレッドロックを目指す一行は猛吹雪を避け、道中にあるミニーの紳士洋品店に立ち寄ることに。そしてその途中でもう一人、レッドロックの新任保安官だというクリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)を拾う。ようやく辿り着いたミニーの店にミニーの姿はなく、見知らぬメキシコ人のボブ(デミアン・ビチル)が店番をしていた。そんな店には他に、絞首刑執行人のオズワルド・モブレー(ティム・ロス)、カウボーイのジョー・ゲージ(マイケル・マドセン)、南軍の元将軍サンディ・スミザーズ(ブルース・ダーン)という3人の先客がいた。一見、まるで無関係な8人は、ひょんな成り行きから、この店で一晩を一緒に過ごすハメになるのだったが…。(allcinemaより)

 待望のタランティーノ最新作。

 この映画は70mmフィルムを使って撮影されているので基本的にでかいスクリーンで観るのが一番なのですが、2月28日現在、東京近郊ではあまり大きいスクリーンで上映されてないような…。僕が今日観に行ったTOHOシネマズ六本木ヒルズだって、一番でかいスクリーンじゃなかったですしね。

 それにしてもあのタランティーノの最新作だというのにあまり盛り上がってない気が……『スター・ウォーズ』の盛り上がりの3分の1ぐらいを分けてあげたいんですが。あと『X-ミッション』の盛り上がり(そもそも盛り上がってるのかどうかもわからん)を全部分けてあげたい。

 今回の『ヘイトフル・エイト』、上映時間が2時間48分もあります。トイレにスムーズに行きたいのなら客席後方の中央ブロック右端か左端を確保するのが得策かと。

 映画はエンニオ・モリコーネの禍々しいテーマとともに始まります。このオープニングクレジットのフォントとモリコーネのメロディ、そしてフィルムの画調が、なんだか70年代後半の映画を観ているような気分にさせてくれます。もうこのオープニングだけでつかみはOKといった感じ。今回はどんなふうに楽しませてくれるんだろう?と期待感が湧いてきます。

 「ミステリー」と紹介されたりしていたので、「どうしよう俺ミステリー苦手なんだよな途中でどうでもよくなるから」と思ってたんですけど、杞憂でした。いつものタランティーノ映画です本当にありがとうございました、としか言いようがない。もちろんいい意味で。

 まずバイオレンス描写です。今回は「痛!」みたいなシーンはそれほどなかったんですが、血はたくさん出てくるし、「冷静に考えたらこれ要らなくね?」みたいな人体破壊シーンも盛り込まれています。

 そして、野郎どもに紛れて1人、デイジーという賞金首の女がいるんですが、こいつがやたらひどい目にあうんですね。肘鉄を食らう、殴られて走行中の馬車から落ちる、エトセトラエトセトラ……と書くとひどい!女性に暴力を振るうなんて!と思われる方もいるかもしれませんが。このデイジーという女のぐう畜ぶりがすごいことになっているので、何の同情も感じません。というか、男でも女でも非道な奴にはひどい目にあってもらう、という意味ではタランティーノは公平です。そしてデイジーをここまで憎たらしく感じるのはやはり、演じているジェニファー・ジェイソン・リーの力でしょう。全然知らなかったんですけど、この人ヴィック・モローの娘なんですね!ともかくこの映画にとって彼女の存在は非常に大きいです。

 死刑執行人を演じたティム・ロスは『レザボア・ドッグス』にも出てましたね。ただ今回のティム・ロスの役柄って、過去『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ 繋がれざる者』に出てたクリストフ・ヴァルツとなんかかぶるんですよ。もしかしたらヴァルツで最初当て書きしてその後スケジュールの関係とかでティム・ロスになったんじゃないかと思うぐらい。

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 『レザボア・ドッグス』といえば、マイケル・マドセンも今回の『ヘイトフル・エイト』に出てます。またこの人が悪い顔してるんだ。それから『デス・プルーフ』でのど畜生ぶりが記憶に新しいカート・ラッセルも今回出演してます。ひげもじゃで歳取ったせいかジェフ・ブリッジスに見えて仕方なかったのは僕だけでしょうか。あと『デス・プルーフ』でカート・ラッセルをやっつけたゾーイ・ベルも出てますね。ちょっと意外な役どころでしたが。

 ストーリーは途中で「ミニーって誰だっけ?」と考えこんだりしちゃうものの、そんな難解なものじゃありません。伏線の張り方もそこまで細かいものじゃないですし、「え? どういうこと?」と一瞬わけがわからなくなっても、かなり親切にストーリーの流れを劇中で解説してくれます。

 前半はほぼ会話劇に近いのですが、時折緊張感が走る場面があるので観ていて飽きません。そして後半は派手なバイオレンスのオンパレード。ためにためた便が出た結果肛門が裂け便器が鮮血に染まる、そんな映画です。ほめことばです。3時間近い映画なのに、エンドロール近くでは「あと30分ぐらい観ていたい気もする」と思ったほど。タランティーノの映画って暴力噴出までのタメがすごいですが、噴出したときの解放具合もすごくて、疲れが取れたような気すらしてきます。

 それからこの作品ではバイオレンスだけではなくて、この映画が南北戦争後を舞台にしてることから、黒人と白人のあれやこれやというお話も結構出てきます。ネタバレになるのであまり詳しくは書きませんが、前半部分で描かれるある人物とある人物の対立構造の決着の付け方が僕は好きです。

 とにかくタランティーノの新作を見逃すという手はないですから、上映時間の長さに備えてちゃんと睡眠を取って(面白いから多少寝不足でも大丈夫な気はするけど)映画館に向かいましょう。「暴力映画は嫌」なんていう彼女とは別れてしまえ!