ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『ブリッジ・オブ・スパイ』を観た

f:id:q050351:20151213231351j:plainBridge of Spies/アメリカ/

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:マット・チャーマン、イーサン・コーエンジョエル・コーエン
撮影:ヤヌス・カミンスキー
編集:マイケル・カーン
音楽:トーマス・ニューマン
出演:トム・ハンクス、マーク・ライランス、エイミー・ライアン ほか

アメリカとソ連が一触即発の冷戦状態にあった1950〜60年代。ジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)は、保険の分野で実直にキャリアを積み重ねてきた弁護士だった。ソ連のスパイの弁護を引き受けたことをきっかけに、世界の平和を左右する重大な任務を委ねられる。それは、自分が弁護したソ連のスパイ、ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)と、ソ連に捕らえられたアメリカ人スパイ、フランシス・ゲイリー・パワーズ(オースティン・ストウェル)の交換を成し遂げることだった。(公式サイトより)

 スピルバーグの前作『リンカーンは悪くはなかったものの、ちょっと地味すぎました。ぶっちゃけてしまえば「別にスピルバーグにこういうの求めてないんだけど…」て感じ。今回の『ブリッジ・オブ・スパイ』もあらすじを読んだときは地味だなーと思ってしまいました。そもそも史実をもとにしてるから結末はわかるし。トム・ハンクス以外のキャストも地味なので、寝ちゃったらどうしようとか思ってたんですが。 

  蓋を開けてみると予想よりずっと面白かったし、エンタメ性が強かったです。基本的には会話劇なんでやっぱり派手さはないですが、ジェームズ・ドノヴァンというキャラクターをトム・ハンクスに演じさせたことがやはり大きいんじゃないかなと。実際に本人があんな人柄だったのかはわかりませんけど、ドノヴァンは軽妙なユーモアと強い信念を持ち合わせた男です。生半可な役者が演じると嫌みなキャラになりそうなこの主人公を、トムが見事に好演。そんなにアクの強い役柄じゃないのでオスカーはないと思いますが、ほんといい役者だよねトム・ハンクスって、と言うのもアホらしいぐらいいい役者です。

 アメリカと旧ソ連東ドイツも絡んでくるのでちゃんと字幕を読まないと話の流れついていけなくなりそうですが、ある程度集中して観ていれば大まかな筋はわかります。それに『リンカーン』とは違い全編に細かなユーモアが散りばめてあるし、決して重たくなりすぎないように配慮がしてある。今回はかなりサービスしてくれてるんじゃないでしょうかスピルバーグ。

 今回、いつものスピルバーグ組であるジョン・ウィリアムズが健康上の理由で外れ、かわりに『007 スカイフォール』のトーマス・ニューマンが音楽を担当してます。ニューマンのほうがウィリアムズより作曲の引き出しは多い気がするんですけど、一部の楽曲はウィリアムズぽかったです。意識したのか偶然かはわかりませんが。

 あと、観てて気づいたこと。あるシークエンスから次のシークエンスにつながるとき、たとえば新聞を読んでるカットがあったとすると、その次のカットでまったく別の場所で違う人物が新聞を読んでる画につながったりするんですね。これ自体はそれほど新しいテクニックではないと思うんですが、スピルバーグってこういうことする人だっけ?となんとなく意外な気がしました。編集のマイケル・カーンの提案なのかもしれませんが。

 ただ、こういったわかりやすい演出がちょっと裏目に出てるんじゃないかなと思うところもいくつかありました。例えば、ドノヴァンがソ連スパイの弁護を決めたあと、地下鉄で新聞を読んでると他の乗客がみんな彼を冷たい目で見てるってシーン。いくらなんでもわかりやすすぎでしょう、これは。マンガかよ、と思いました。しかもこのシーン、状況は違えどほぼ同じシーンがまた最後の方に出てくるんですよ。それからネタバレになるので書きませんが、壁超えのシーンにしてもねえ…なんかあざとくて。

 ところで最近、

↑こんな映画の感想を書きましたが、この『ヒトラー暗殺、13分の誤算』に出ているドイツ人俳優も何人か『ブリッジ・オブ・スパイ』に出ています。ちょっと前にナチ役だった人たちが冷戦時代の東西ドイツの重要人として出てくると、「あっ生き延びたのかな」という錯覚に陥ります。でも『ヒトラー暗殺』で印象的な役を演じてたブルクハルト・クラウスナーは今回ちょっとコミカルな役どころでしたけどね。

 とにかく、それほど肩肘張って観る必要はなく、陰惨すぎず軽くもなりすぎないちょうどいい塩梅で出来た娯楽作だと思います。僕みたいに冷戦のことはなんとなく知ってても東西ドイツの事情はよくわかりません、という人でもそれなりに楽しく観られるんじゃないでしょうか。