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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『クリード チャンプを継ぐ男』を観た

外国映画

f:id:q050351:20151223221254j:plainCreed/アメリカ/133分

監督:ライアン・クーグラー
脚本:ライアン・クーグラー、アーロン・コヴィントン
撮影:マリス・アルベルチ
編集:マイケル・P・ショーヴァー、クローディア・カステロ
音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン
出演:マイケル・B・ジョーダン、シルヴェスター・スタローン、テッサ・トンプソン、フィリシア・ラシャド ほか

妻に先立たれ、孤独に暮らすロッキー(シルヴェスター・スタローン)。ある日、彼の前に一人の青年アドニス(マイケル・B・ジョーダン)が現われる。彼は、かつてロッキーと死闘を繰り広げた永遠のライバルにして無二の親友アポロ・クリードの隠し子だった。アポロの妻(フィリシア・ラシャド)に引き取られ、立派に育てられたアドニスだったが、ボクシングへの情熱を断ち切ることができず、ついに会社も辞めてしまう。しかし地元のジムでは相手にされず、アドニスはロッキーにトレーナーになってほしいとフィラデルフィアまで直談判にやって来たのだ。すでにボクシングの世界から足を洗っていたロッキーは一度はこれを断るも、アドニスの情熱に突き動かされ、ついにトレーナーを引き受けるのだったが…。(allcinemaより)

 チネチッタで鑑賞。

 ネタバレありです。

 『ロッキー』は第1作を2、3年前に観ただけです。このシリーズってテレビでよくやってたから、なんとなく観たような気にはなってたんですけど、改めて鑑賞してみようと思ったんですよね。

 結果、“悪くないけど別に…”って感想でした。リアルタイムで観てないとあまり感動できないのかな、それとも自分が格闘技にまったく興味が無いからかな、とか考えつつ…。ボクシングものなら韓国映画の『クライング・フィスト 泣拳』のほうが感動しましたよ。

 さらに、『ロッキー』シリーズって第1作以外は基本的にさんざんな言われようなんですよね。1本目がヒットしたから柳の下のどじょうを狙って次々作ったものの。だから第1作目だけでもう『ロッキー』はいいやって感じだったんです。

 ただ、ロッキーのライバルであり盟友のアポロが、『ロッキー4』でドルフ・ラングレン演じるドラゴに倒されて死んでしまうということはなんとなく知ってました。で、このアポロの息子がロッキーに教えを請うという『クリード』のストーリーを知ったときは「面白そうじゃん、スタローンが脇に引くなら」と思いました。さらに、監督が評判の高かった『フルートベール駅で』のライアン・クーグラー、同作で主演を務めたマイケル・B・ジョーダンときたらこりゃ期待しちゃう。

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 ちなみに僕がジョーダンを初めて観たのは『クロニクル』。

 優等生役をやってたんですけど、この人って実生活でも育ちが良さそうですね。あんまりストリートから這い上がって来たって感じはしない。なので、アポロの愛人の子供とはいえ正妻に育ててもらっていい暮らしをしてきたアドニスという役柄にはよく合ってる。

 ちなみにジョーダンは『ファンタスティ』…いやなんでもない。

 ロッキー役のスタローンは今回、あくまでも脇役です。これまで彼をいい役者だと思ったことってほとんどなかったんですけど、『クリード』のスタローンはいいですよ。特に何かすごい演技を見せるとかじゃなくて、「ただそこにいる」だけで成立してしまってる。ごつい体を不器用そうに動かすところとか、愛らしい。スタローンは、本作の演技でゴールデングローブ賞の助演男優賞にノミネートされてます。あのスタローンがですよ。賞レースからは縁遠くいつもただの筋肉バカとしか見なされてなかった彼が。

 本作は、老いた孤独なロッキーの物語でもありますが、やはり主軸はアドニスに置かれていると思います。彼は父の正妻に拾われいい会社に就職したのに、なぜか茨の道であるボクシングの世界に足を踏み入れる。母親はそんな息子を止めますが、彼はどうしてもボクシングをやりたいと言ってロッキーのもとを訪れます。このあたりは、「どうしてそんなにボクシングなんかやりたいんだろ? 親父がチャンピオンだったからってだけでここまでこだわる意味があるのかね」とぼーっと思ってたんですが、映画のクライマックスでその疑問は氷解します。アドニスは「俺は“過ち”なんかじゃなかった」と言うのです。

 自分は私生児で、物心ついた頃には父はこの世を去っていた。どうして俺を作ったんだ、俺はなんのために生まれてきたんだ、文句を言いたくても死んでたら言えないじゃないか、という父への怒りが、実はアドニスの中にはあるのではないかと思ったのです。父への怒り、あこがれ、超えたいという思い、それらがアドニスの中に渦巻いていたのではないかと。

 僕はもう最後の試合のシーンの途中からちょっと泣いちゃってたんですけど、アドニスが「俺は“過ち”じゃなかった」と言った瞬間に堤防決壊。そんでさあ、そこで断片的にではあるけどビル・コンティのあのテーマが流れるんですよ! 卑怯だぞ監督! こんなもん泣かずにいられるか!

あれ、↓だったかな。どっちも流れた気がする。

 あとね、ここで僕が思い出したのがなぜか『海街diary』で、四女のすずが長女・幸に「ずっとここにいていいのよ」と言われるシーン。すずもまた、愛人(一応結婚はその後したんだっけか)の子供で、父親は結局死んでしまってる子です。すずはボクシングしたりはしませんが、心のどこかでわだかまりを抱えている。そしてその思いから解放されたとき、「私はこの世に存在していいんだ」と彼女が自身を肯定したときに強烈なカタルシスが生まれるんですね。アドニスもロッキーや恋人に励まされながら戦い、自身を肯定するに至る。

 しかもさあ、ここでアドニスの過去がフラッシュバックするんだけど、最後にアポロが映るんですよ。思い出しただけで泣けてきた。

 ストーリー的にはそれほど新味はないんですよ。そもそもロッキーが若い奴を指導するって、前にも『5』かなんかでやってたし。ロッキーが病に倒れるって展開も、ベタっちゃベタ。でも感動しちゃうんですよね。これはもう監督の手腕によるところが大きいんじゃないでしょうか。「病気のロッキーを励ましに行くぞ!」つってアドニスがバイク乗りたちと一緒に走るシーンとか、「ちょ、近所迷惑」って思うし、てかなんでお前バイクの真ん中でシャドーやってんだよ演出しすぎ!って突っ込みたいんだけど、なぜかかっこいいんだよ! 思わずタメ口になっちゃうんだよ! 心が叫びたがってるんだよ!

 しかもこの映画、結構テクニカルなこともやっていて、ボクシングシーンの長回しがその代表です。本当に長回ししてるんじゃなくてつながってるように編集してるんだろうけど(昨今はそういうことができるのです)、見せ方が斬新で、僕みたいな格闘技情弱にもすごく臨場感が伝わってきました。本当にボクシング好きな人からしたら「あんなパンチじゃダメなんだぜ」って言いたくなるのかもしれないけど…。

 この日は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』も観たんですが、奇しくも両方シリーズ7作目。しかも「父と子」というテーマがあり、“新しい世代”の話でもある。この2本を立て続けに観たのはすごい偶然のようでもあり、何か運命のようでもあり。『フォースの覚醒』の感想はまた後日書きたいと思います!

 いやーそれにしても予想以上に『クリード』は良かった! 今『ロッキー』のサントラ聴きながらこれ書いてたらテンション上がってきたわああああああああエイドリアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

※注:『クリード チャンプを継ぐ男』にエイドリアンは出てきません。