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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『恋人たち』を観た

日本映画

f:id:q050351:20151208004433j:plain140分/日本

監督:橋口亮輔
脚本:橋口亮輔
撮影:上野彰吾
音楽:明星/Akeboshi
出演:篠原篤、成嶋瞳子池田良安藤玉恵、黒田大輔、木野花光石研 ほか

橋梁のコンクリートをハンマーで叩き破損の有無をチェックする橋梁点検の仕事をしながら裁判のために奔走するアツシ(篠原篤)。数年前、最愛の妻を通り魔殺人事件で失い、今なおその喪失感と犯人への憎しみから立ち直れずにいる。自分に関心を持たない夫と、ソリが合わない姑と3人暮らしの退屈な毎日を送る主婦、瞳子(成嶋瞳子)。ある日、ひとりの中年男とひょんなことから親しくなっていく。同性愛者で、完璧主義のエリート弁護士、四ノ宮(池田良)。一緒に暮らす恋人がいながらも、秘かに学生時代からの男友だちを想い続けていた。そんな不器用ながらも懸命に日々を生きている3人だったが…。(allcinemaより)

 テアトル新宿で鑑賞。

 橋口亮輔監督の作品は、『渚のシンドバッド』と『ぐるりのこと。』を観たことがあります。傑作と名高い後者も好きですが、個人的には『渚のシンドバッド』のほうが好きですね。岡田義徳がゲイの役をやってて、男2人女1人の三角関係を描いてたってことしか覚えてないんですが、とにかくいい映画だった。

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 ちなみに最近のアー写がほぼCG状態な浜崎あゆみが出てるんですが、彼女がまたいいんです。俳優としての才能のほうが絶対あるのに…と、歌手デビューしてからの彼女をいつも苦々しく思っていました。

 今回の『恋人たち』は、ワークショップで知り合った人たちをメインキャストに据えています。これって今の日本映画ではかなり難しいことですよ。演技なんかどうでもいい、顔がよけりゃいいって主義の某Tから始まる大手映画会社では絶対に実現しない企画。

 3人の主人公の中でも特にメインを張っている篠原篤って人、この人の顔つきはいいですね。なんていうか、韓国映画の主人公とかもやれそうな感じじゃないですか。体つきは小太りな感じなんですけど、本人が持ってる不器用さみたいなものが役にも反映されてる。やり場のない気持ちを抱え、部屋の中で1人わめくところには追いつめられた人間の狂気を感じておののきました。特に有名じゃない人がキレると、演技がうまい人が体現するものとはまた違った狂気が生まれるんですよね。区役所の最後のところとか、うわーリアルだなーって思いました。

 それからどこにでもいそうなおばさんを演じたどこにでもいそうなおばさんぽい顔つきの瞳子さんのおっぱいにはたまげましたね。ちょっと黒ずんだ乳首を光石研が何気なくいじるのとか最高ですね。俺も何気なく乳首いじりてえなあ。自前以外であと若くて可愛い子限定で。それから、瞳子さんはいつもスカートはいてて微妙に脚が見えるんですよね。なんなんですかね、言っちゃ悪いけど、恋愛対象には決してならない、近所のおばさんの脚がチラ見えしちゃったときみたいなあの気まずさっていうか。

 弁護士の四ノ宮のパートは、四之宮の親友の嫁が異常に怖かったです。この映画、ここだけじゃなくていろんなところにこういう「やな感じ」の人が出てくるんですよ。瞳子が働いてる弁当屋?の奥さんのあの理不尽な怒り方とか、上述した区役所の人とか。こういう嫌な意味でのあるある感を出すのって、案外むずかしい気がするんですよね。このあたりはさすが橋口監督って感じです。

 あらすじをちょっと読むとほんと救われない映画って感じなんですけど、随所にユーモアがあるからそこまで落ち込まないんですよね。橋口監督自身も『ぐるりのこと。』を撮った直後あたりに金銭トラブル?か何かに遭って色々大変だったようだし、今の日本のどよーんとした空気も織り込んでいるのに、閉塞的な映画にはなっていない。人生はブサイクなものだけどそれでも生きていくっていう強さを感じる作品なんですよね。

 ただ、個人的には1つ気になったことがあって、それは瞳子さんとあのハゲ散らかった旦那の顛末です。なんか唐突な気がして…もうちょっとああなる伏線を張っておいてほしかったかなあ。

 とはいえ、特に容姿が良いわけでもない(失礼)素人同然の役者たちをメインに使って2時間20分の地味(厳密には地味ではないのだけど)なドラマを飽きさせず観せてしまう橋口監督の力量には脱帽です。今年のベスト10に入れてる人も多いし、もっと多くの映画館で上映してほしいですね。某Tの『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』値上げみたいなことが許されるうんこな日本映画界の中でかすかに光る希望ですよ、『恋人たち』は。あと『野火』もね!