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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

台湾の女の子(と男の子2人)と酒を飲んだ

http://www.flickr.com/photos/38991571@N00/20585952874

photo by 藍川芥 aikawake

 

 先週の金曜、行きつけのバーに行くと、常連のMさんがテーブル席で見知らぬ男女3人と話し込んでいた。

 カウンターに座ってビールを注文すると、マスターが「やあ幽霊さん、Mさんがあそこで海外の方とお話してるんですよ。いつも思うけど、本当にコミュニケーション力高いですよねMさんは」と言う。

 Mさんと僕は映画の話で盛り上がることが多いのだが、見知らぬ人が3人、しかも外国人となれば輪に入っていけるわけがない。

 静かにビールを飲んでいると、背後からMさんの声が聞こえた。「あ、幽霊さん!ちょっと来て!」

 僕がテーブルに行くと、Mさんが「この3人、台湾から来たんだって」と紹介してくれる。男性2人、女性1人。3人とも20代のようだ。見るからに育ちも頭も良さそうだ。見るからに育ちも頭も悪い僕とは大違いだ。

 どういう理由で3人が日本にいるのかは忘れたが、彼らは長い間カナダに留学していたそうだ。もちろん台湾人同士では中国語(で正しいのかよくわからない)で会話するのだが、僕とMさんは日本人なので、基本的には英語でコミュニケーションを取った。

 といっても、僕もMさんも英語を喋れるわけではない。僕は英語を読むことはそこそこできるが、書いたり話したりすることはできない。そのことは以前にも書いたと思う。

 英語をすらすらと喋る台湾人の若者3人と話していると、「英語教育は受けているのにまったく話せない日本人ってなんなんだろう」と卑屈な気持ちになった。もちろん彼らは留学経験があるから話せるのだろうけど…。

 しかし、Mさんはコミュニケーション力が高いので、適当な英単語を並べて会話を成立させてしまう。彼を見ていると、単語や文法の間違いなど気にせずとにかく相手に何かを伝えようとする姿勢こそが大事なのだと痛感する。痛感するだけで改めないのだが。

 台湾人の女の子はなかなかかわいい子だった。顔ははっきり覚えていないのだが、頭が良さそうだったし、ひとつひとつの所作がキュートだった。映画の話をしていたので、「日本には今本物のIMAXはない。あるのはフェイクのIMAXだけ。でも台湾には本物のIMAXがあるよね」という話をした。すると彼女は「台湾に来たことがあるの?」と言った。僕は「ない」と答えた。「じゃあなんで台湾のIMAXを知ってるの?」

「ネットで読んだから……」

 これじゃまるで、ネットで読んだことはすべて真実と思い込んでるバカみたいではないか。

 IMAXについては↓をどうぞ。

 そのあと、僕は台湾映画の話をした。『セデック・バレ』『KANO』…。

 女の子は『セデック・バレ』については知らなかったが『KANO』のことは知っていて、「あれって日本映画じゃないの?」と言い、台湾人の男の子が「違うよ。これは台湾映画」と説明していた。僕は『KANO』が映画としてはイマイチだったということは言わずにいた。

 本当は「エドワード・ヤンの『恐怖分子』が最高だよね」とかカッコつけたかったのだが、僕は『恐怖分子』を観ていないのでウソになってしまうし、そこまで映画好きでもなさそうな彼らだってエドワード・ヤンのことなど知らないのではと思ったからだ。

 女の子は「暴力を描いた映画は苦手。最近は『マイ・インターン』を観た」と言っていて、ムカデ人間』の話とかはしないほうがいいなと思った。要は普通の女の子なのである。僕とMさんはまともな人たちに『ムカデ人間』の筋書きを説明してドン引きさせることを生業としているのでなかなかつらかったが、なんせその女の子がかわいいのでそんな無粋な真似はできない。以前そのバーで別の女の子が「『桐島、部活やめるってよ。』を観たけど誰が桐島かわからなかった」と言ったときに「『桐島』はそういう映画じゃないんだぜ」と、サブカルヲタのウザさ全開のトーンで言い放ってしまった僕だが、同じ失敗は繰り返さない。

 僕は台湾の男の子とは最低限の会話をしつつ、女の子のほうばかりを見て話をした。最低の日本人だ。そして彼らが将来的には日本で働きたいと言うので、「日本なんて糞みたいな国だよ。この国は他国の人に優しいようでいて本当は顔色をうかがってるだけなんだよ。実はものすごく差別的な国民なんだ。ちょっと言い過ぎたな。本当のところをいえば僕は日本の文化や国民性を嫌ってはいない。でも政治家は本当にどいつもこいつも今すぐ一列に並べて撃ち殺したほうがいいクズどもなんだ。僕は日本は好きだけど日本政府は吐き気がするぐらい嫌いだよ。おまけに最近はどいつもこいつも『日本は素晴らしい』『世界で賞賛される日本』みたいなことを自分で言って悦に入ってる。『俺の顔はかっこいい!』と宣言してるようなものじゃないか。どれだけ醜い奴らなんだ。Kill 'em all!!!」というようなことを、片言の英語で言った。最低な日本人だ

 そのあとはMさんが「ハロウィンにバカ騒ぎしてる日本人はみんなバカだから死んだほうがいいと俺達は思ってる」と言い、「俺はそこまで言ってないよ!」と思ったのだけどなんとなく黙ってしまった。彼らは笑いながらも少し引いていたが、「それでも僕たちは日本が好きだから」と言った。僕は彼らと握手をした。彼らは握手の仕方もジェントルだった。僕ときたら手汗べっとりだ。

 しばらくすると、彼らは帰ると言い出した。僕は名残惜しかった。主に女の子に対して。

 僕とMさんはカウンターに座り直し、「いやー、あの子はかわいかったね。国際交流したね」と盛り上がった。2人とも女の子のことしか考えてないじゃないか。僕は国際交流(9割女の子が相手)の余韻に浸りながらギムレットマティーニを飲み、へべれけに酔った。弱いくせにショートカクテルなんか飲むからだ。おかげで、最後に飲んだもう1杯が何だったのか覚えていない。僕はMさんに別れを告げ、家に帰ることにした。なんせ翌日は『ヴィジット』を朝一で観なければいけなかったのだ。

 ところがここで話は終わらない。僕がバーを出ると、台湾の女の子が1人ぽつんと立っていた。「どうしたの?」と聞くと、「なんだかまだ飲み足りなかったので、男の子たちを駅まで送って戻ってきたの」と言う。「じゃあ俺の部屋で飲まない?」と提案し、僕は彼女と一緒に自分の家までやってきてビールを飲み、台湾まぜそばと、村上春樹の英語訳はアルフレッド・バーンバウムとジェイ・ルービンのどっちが好きかということについて語ったあとむちゃくちゃセックスした。

 最後の部分を除いて、これは本当にあったことだ。飛行機恐怖症が治ったら、僕は台湾に行こうと思っている。