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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『劇場版 MOZU』を観た

日本映画

f:id:q050351:20151104234441j:plain日本/116分

www.tbs.co.jp

監督:羽住英一郎
原作:逢坂剛
脚本:仁志光佑
撮影:江崎朋生
編集:西尾光男
音楽:菅野祐悟
出演:西島秀俊香川照之真木よう子池松壮亮伊勢谷友介松坂桃李長谷川博己ビートたけし ほか

ある日、東京で高層ビル選挙爆破とペナム大使館襲撃事件が同時に発生する。2つのテロは、犯罪プランナーの高柳(伊勢谷友介)と実行部隊のリーダー権藤(松坂桃李)を中心とした犯罪グループの仕業だった。そしてその背後には、日本犯罪史の重大事件を影で操ってきた“ダルマ(ビートたけし)”の存在が。倉木(西島秀俊)は大杉(香川照之)、明星(真木よう子)とともに事件の真相を追い、灼熱の地・ペナム共和国へと降り立つが…。(allcinemaより)

 TBSとWOWOWが共同で制作していた連続ドラマの劇場版です。まず軽く連ドラ版について触れておきたいのですが、はっきりいってダークナイト』の影響受けすぎです。

 タイトルは池松壮亮が演じている「百舌」という名の殺し屋から来ているのですが、このキャラクターがとにかく『ダークナイト』のジョーカーによく似ている。ドラマ序盤はそれほどでもないのですが、Season 1の終盤はナース服着たり顔を白塗りにしたりと、いくらなんでも演出陣は自制できなかったのかと小一時間問い詰めたくなる有様。

 ジョーカーっぽいのはこの「百舌」だけではなく、長谷川博己が演じる東というキャラクターについても同様です。こちらはナース服も着ませんし顔を白塗りにもしませんが、「俺は秩序を壊すのが大好きなんだ」みたいなことを嬉しそうに話し、主人公にやたらと執着するあたりがそのまんまジョーカーです。つまり百舌と東という2人の登場人物にジョーカー的な役割を分担して負わせているわけです。

 ちなみに原作の小説は80年代に書かれているので、もちろん『ダークナイト』の影響など受けていません。

 ドラマ版は、カメラワークとか音楽でもかなり『ダークナイト』の影響を受けています。特に次週予告で流れる「グラークα」って曲なんかモロにハンス・ジマー節ですし、走る車を追走して低位置から捉えたショットも『ダークナイト ライジング』で観たような感じ。正直、『ダークナイト』みたいな大ヒットした映画をここまであからさまに真似してるのってダサくね…? と鼻白んでしまいます。 

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 でもこの作品には1つ長所があるんですね。それが、先ほどあげた長谷川博己の演じる東です。この東、序盤は単なるインテリヤクザみたいな感じだったんですが、Season 2ではキャラクターが崩壊し、いつの間にか倉木の部屋にいたかと思うと近くで待機していたヘリに乗って窓から去っていったりします。「チャオ!」という挨拶付きで。監督がこのシーンを本気で「カッコいい」と思っていたら重症だと思いますが、さすがにそれはないでしょう。明らかに視聴者を笑わせようと思っての演出のはずです。

 このことを踏まえて、言っておきます。『MOZU』は本格ハードボイルド刑事ドラマなどではなく、東という珍獣スーパーキャラクターを鑑賞するためのカルト作品です。

 東を見ていて、あるキャラクターを連想する人は少なくないはずです。そう、それは実写版『進撃の巨人』のシキシマ。 

notesleftbehind.hatenadiary.com

 中二病を限界まで研ぎ澄ましたような言動、意味ありげだけど笑わせようとしてる風にしか見えない行動、とにかく何から何までツボで、今回は松坂桃李演じるテロリスト権藤と一緒にバカ笑いし、倉木のピンチに駆けつけ「くぅ〜らきぃ〜!」と破顔するさま、血まみれの倉木をスマホで撮影するシーンなど…制作陣は笑わせようと思ってるはず、絶対。

 ジョーカーはどこかおどけたところが逆に怖いというキャラでしたが、東は違います。おどけてても真剣な風でも面白い。この映画の主役は倉木でもダルマでもなく東です

 このような気持ちで鑑賞にのぞめばまあそれなりには楽しめる劇場版。東以外に目を向けると、いろいろとアラが目立ってつまらなくなってきます。

 たとえば大杉の事務所に権藤がやってくるシーンですが、あそこにいた刑事がなぜ銃を携行していないのか不思議でした。あんまり日本の警察って普段は銃持たないのかな? でもあのときの状況を考えれば普通持ってると思うんだけど…。

 それから、ある人物が捕まった倉木を前にして、バーナーかなんかで鉄パイプみたいなのを熱してるシーンがあるんですよ。うわぁこれで拷問するのかなあ、怖いなあって思うじゃないですか。違うんですよ。単純に「瓶で殴る」だけなんです。バーナーで鉄パイプ熱してたのは何だったん? 趣味? 仕事?

  あと、ドラマ版のときから思っていたけど、倉木がちょっと不死身すぎです。今回なんか割れた瓶がいっぱい入った袋で腹ぶん殴られるんですよ? 腹ズタズタになるよ? しかもそのあとまたえらい目にあうんですけど、捕まった先でいとも簡単に複数の敵をのしちゃうんですよ。敵弱すぎワロタ。

 これを言うのもなんだけど、今回百舌ってほとんど出てこないんですよ。それなのに『劇場版 MOZU』っていうタイトルになってるのもどうなのかなあと思いました。どっちかっていうと『劇場版 DARUMA』、いやさ『劇場版 HIGASHI』でしょ!

 演技でいうと、真木よう子がやけに棒読みだったのが気になりました。これまで彼女が棒読みだと思ったことはなかったんですが……。

 物語が終盤で唐突に収束していくのにもなんだか不自然なものを感じました。てか倉木たち大ピンチだったはずなんじゃないの? ここからどうたたむんだろうと思ってたら、なぜかヘリポートに放火したりしてさあ。ごめん、ちょっと意味がわからない。しかも伊勢谷友介が演じてたインテリヤクザ、脇甘すぎ。強いんだか弱いんだかはっきりしろ。もしかしてこの監督、ドラマチックに見せるためなら話の整合性とかどうでもいいんでしょうか。

 ただ、そもそもダルマが日本人にとってどのような存在であったのかを考えれば、この意味不明かつ性急な展開も納得がいかないこともありません。ただ、それならそれで、ここでその手を使うか? とも思うのですが…。

 ま、こんな風にケチをつけるのは野暮ってもんです。この映画のミソはなんといっても東、東ですよ! というわけで、ドラマ版で東にシビレた、もしくはシキシマを愛してやまないあなたには超おすすめです。次は東が主人公のスピンオフを作ってくれ!

 

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