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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『心が叫びたがってるんだ。』を観た

アニメ 日本映画

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日本/119分

監督:長井龍雪
脚本:岡田麿里
キャラクターデザイン・総作画監督田中将賀
音楽:ミト
声の出演:水瀬いのり内山昂輝雨宮天細谷佳正藤原啓治吉田羊 ほか

幼い頃に何気なく発した言葉によって、家族がバラバラになってしまった少女、成瀬順(水瀬いのり)。以来、言葉を発するとお腹が痛くなり、喋ることができなくなってしまった。高校2年生になった順はある日、担任から年に一度のイベント“地域ふれあい交流会”の実行委員に任命されてしまう。一緒に任命されたのは、心を閉ざした無気力少年・坂上拓実(内山昂輝)、チアリーダー部の優等生・仁藤菜月(雨宮天)、甲子園を期待されながらヒジの故障で挫折しやさぐれてしまった元野球部エース・田崎大樹(細谷佳正)というまるで接点のない3人。やがて担任の独断で出し物がミュージカルに決まると、実行委員の間にさらなる不協和音が。それでも順は歌うことなら自分にもできるかもと思い始める。そして、そんな順の気持ちを敏感に感じ取る拓実だったが…。(allcinemaより)

 川崎チネチッタで鑑賞。

notesleftbehind.hatenadiary.com

 ↑前回の記事でも書きましたが、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」、通称「あの花」のスタッフによる劇場用長編アニメです。今回の『心が叫びたがってるんだ。』は『ここさけ』と略します。

 何やら「あの花」人気と結びつけて「泣ける泣ける」と宣伝されてるようですけど、『ここさけ』はもう少し泣かせ演出が抑制されています。「あの花」は嫌いじゃないんですけど、たまに「よーし、パパ、ここで号泣させちゃうぞー」(古いネタだな)的なところが目立つんですよね。

 『ここさけ』は、冒頭でいきなり重いパンチを打ってきます。主人公・成瀬順の両親があるできごとをきっかけに離婚してしまうわけですが、その見せ方がユーモラスかつブラック。てか、意地悪。この時点で、ちょっと「あの花」とはテイストが違う作品だなと思わされます。安易に泣ける映画だと思って劇場に来たバカども人はギクリとするんじゃないでしょうか。

 喋るとお腹が痛くなる呪いをかけられてしまった順は、高校生になってもまともに話をすることができません。無理をして喋るとお腹が痛くなってトイレに駆け込むわけですが、やっぱり下痢になるのかなあ…とかどうでもいいことを考えてしまいました。ということは、これまでにうっかり喋って学校でウンコをもらしたこともあるのかなあ…と、やはり考えずにはいられませんでした。僕は小学校2年生のときに学校でクソをもらして、保健室に行ったら女子のパンツしかなくて…って、この話は別の機会にしよう。

 「あの花」の記事で音楽が重要なウェイトを占めているというようなことを書きましたが、『ここさけ』についてもそれは同じです。ミュージカル制作・上演というサブプロットを通して、順が声(というか会話での意思疎通)を取り戻せるかというお話ですから。音楽を担当したクラムボンのミトさん、いい仕事をしています(上から目線)。DTM研究会(今はそんな部が存在する高校もあるのか。ちなみにDTMはDesk Top Musicの略で、童貞とは何ら関係ありません)が作ったオケのレベルが少々高すぎる気もしますが、まあそのへんに突っ込むのは野暮。

 同意する人も多いかと思いますが、「グリーンスリーヴス」のメロディを使ったシーンはよかったですね。ここでちょっと泣きそうになってしまいました。僕の心も叫びたがっていました。サントラを衝動買いしちゃいましたよ。

「心が叫びたがってるんだ。」オリジナルサウンドトラック

「心が叫びたがってるんだ。」オリジナルサウンドトラック

 

 「スカボロー・フェア」もそうだけど、僕は英国トラディショナルソングに弱いようです。昔から「俺の前世は英国貴族に違いない」と言い張っているのですが、誰も話を聞いてくれません。仕方がないので実家で飼っていた犬に「俺、前世は英国貴族だと思うんだけど…」と話しかけていました。犬は「前世は」のあたりであくびをしてどこかに行ってしまいましたが。

 岡田麿里という人はロマンチックさとある種の下世話さをバランス良く配合する手腕に長けた人です。『心が叫びたがってるんだ。』なんていう一見恥ずかしいタイトルの作品のクライマックスで、「ここでこんなセリフ言わせる?」と思ってしまう、生々しい言葉を突き付けてきます。プロット運びがどうとか発想が新鮮とかということではなくて、このバランス感覚(あるいはアンバランス感覚)が彼女の脚本の醍醐味ではないでしょうか。

 気になったところは、「誰かが誰かの悪口を言っているところに、第三者が偶然通りかかる」みたいなシーンが3度ほどあったことでしょうか。こういうことが絶対にないとは言い切れないんですけど、ちょっとご都合主義的かな、と思ってしまいました。

 あと、順の行動が身勝手なのでノレないという人の気持ちもわからないではないです。でもまあこんなこと言っちゃうのもなんだけど、高校生のときなんてあんなもんじゃね?とも思います。それに、決して順はよくあるアニメの主人公的な汚れのない女の子ではないんですよね。むしろかなり問題のある子じゃないでしょうか。でも、そこに人間味があっていい。てか、ぶっちゃけ彼女に罵られたい。

 というわけで、この作品は決してたださわやかなだけの映画ではありません。少し意地悪な青春映画です。なので、アニメにも「あの花」にも興味ねーよという人にこそ観ていただきたい1本です。観てつまんないと感じても一切責任取りませんが。

 あ、最後にもう1つ不満を。乃木坂46には何の恨みもありませんが、この映画のエンディングテーマ、ミスマッチだと思います。曲がいい悪いとか以前に、全然合ってません。一番がっかりしたポイントはここかもしれません。色々大人の事情とかあるのかもしれませんけど、もっとこの映画の余韻を残せる曲にしてほしかったです。

コミック版。この第1巻は、登場人物たちの過去を掘り下げています。これを読んでから映画館に行ってもいいかも。