ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『ナイトクローラー』を観た

f:id:q050351:20131017225742j:plainNightcrawler/アメリカ/118分

監督:ダン・ギルロイ
脚本:ダン・ギルロイ
撮影:ロバート・エルスウィット
編集:ジョン・ギルロイ
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ジェイク・ギレンホールレネ・ルッソ、リズ・アーメッド、ビル・パクストン ほか

ロサンゼルスに暮らす孤独な中年男ルイス・ブルーム。野心はあるものの定職にも就かず、コソ泥をしてはその日暮らしのしがない日々。そんなある日、偶然遭遇した事故現場で、ビデオカメラ片手に夢中で撮影する男たちを目撃する。彼らはニュース映像専門のパパラッチ、通称“ナイトクローラー”。事件、事故の現場にいち早く駆けつけ、誰よりもショッキングな映像をカメラに収め、それをテレビ局に高く売りつけるのを生業とする連中だ。そんなことが商売になると知り、さっそくビデオカメラと無線傍受器を手に入れると、見よう見まねでナイトクローラーとしての活動を開始するルイスだったが…。(allcinemaより)

 川崎チネチッタで鑑賞。

 監督のダン・ギルロイはもともと『リアル・スティール』とか(『ボーン』シリーズの中でもほぼ無かったことにされている)『ボーン・レガシー』の脚本を手がけた人ですね。お兄さんのトニー・ギルロイは『ボーン・レガシー』の監督・脚本とかそのほかの『ボーン』シリーズの脚本を担当してます。あとお父さんのフランク・D・ギルロイも脚本家だし、お兄さんのジョン・ギルロイは編集マンで、この『ナイトクローラー』の編集もしてます。さっきからギルロイギルロイ言っててわけがわからなくなってきました。自動的に語尾にギルロイがついてしまいそうですギルロイ

 主演は、『ブロークバック・マウンテン』にてテントの中でヒース・レジャーを相手にテントを張ったジェイク・ギレンホールです。ちなみに彼のお姉さんのマギー・ギレンホールは『ダークナイト』でヒース・レジャーと共演してますね。ところで、僕の『似てない?』はいつも『似てねーよ』って言われるんですけど、ジェイク・ギレンホールって『ルパン三世』の銭形警部に似てませんか。実写映画化するなら彼が銭形警部でいいんじゃないでしょうか。えっ日本でとっくに実写化してる? 忘れてあげましょうよそんなことは。 

 この映画のもうひとつの主人公は、夜のロサンゼルスだと思います。冒頭で映し出される夜景がとても美しいんですが、その下にはいろんな人間の欲望や憎しみ、絶望、生と死がうごめいてるんですね。ガリガリに痩せ、デカ目メイクも真っ青のギョロ目を暗闇でらんらんと光らせる主人公ルイスも、そんな有象無象の1人でした。

 最初に予告編を観たときは、「不遇ではあるものの、それなりにまともな男がナイトクローラーという仕事を始めて少しずつ狂っていく」という話かと思ってたんですが、実際観てみるとそうでもないんですよね。最初からおかしいんです、こいつ。ま、ちょっとおかしくないとあんな仕事に一発で魅了されない気はしますが。

 ビデオを手に入れたルイスは、ヒスパニック系(?)の助手をつけます。リックという名前のその男に給料のことを聞かれると、ルイスは「最初は研修生だ」と答えます。ワ○ミですね。それでもしつこく「金をくれ」と言われるので、低賃金でリックをこき使うことにするルイス。この時点でド畜生ぶりが全開で、「主人公は人格者でなければならない」というつまらないまっとうな価値観を持つ人はついていけないでしょう。

 その上、ルイスの行動はどんどんエスカレートしていきます。交通事故現場で倒れてるおっさんの体を勝手に動かしたり、警察が到着する前の強盗現場に駆け込んで被害者の映像を撮ったり。あとはネタバレになるんでいえませんが、ほんとどうしようもないやつです。

 ルイスは基本的に人の話は聞きません。自分の主張はなんとしてでも通しますが、相手が言うことは全く受け入れない。このサイコパス感、どっかで見たことがあるなと思ったんですが、『ソーシャル・ネットワーク』でジェシー・アイゼンバーグが演じてたマーク・ザッカーバーグがこんなキャラだった気がします。あとはやっぱりワ○ミとかユニク○の社長ですかね。

 サイコパスといえば『羊たちの沈黙』のレクター博士なんかをまず想像しちゃいますけど、あれはもうサイコパス界の王貞治みたいなものなので、存在的に遠すぎるんですよね。それに比べれば、ルイスは「こんな奴に会ったことある気がする」って思わされちゃうのでより不気味なんです。 

 ババア専熟女マニアという設定にはなにか裏がありそうでしたね。だってレネ・ルッソってもう60歳とかですよ? レネ・ルッソといえば『アウトブレイク』ぐらいしか観てない僕は、彼女の老け方にたまげましたよ。正直、ルイスのギョロ目より彼女のアイラインの方が恐ろしかったです。

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 この映画は、僕なりに言うなら嫌すぎるアメリカン・ドリームです。成功する人間ってどこかネジが外れているところがあって、程度によっては「エキセントリック」とか「天才が抱える闇」で済むんですけど、ルイスはもう全部真っ黒、闇しかないような男です。にもかかわらず彼はどこか魅力的に見える。本作が21世紀の新たなピカレスクロマンといっていいほどの傑作になっているのは、やはりジェイク・ギレンホールの存在感によるところが大きいのかもしれません。