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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

ごめんなさいねの続き

 前回、↑のような記事を書いたわけだがその続き。

 3歳歳下の彼女と連絡が取れなくなった僕は、えぇーいままよ!と相手の実家に電話をかけてみた。早くそうしろよ、という話だが。

 電話には彼女の母親が出た。僕は「あの、○○ですけど△△さんいらっしゃいますか?」と言った。「ちょっと待ってください」と言って、母親は電話を保留モードにした。電子音で「エリーゼのために」が奏でられる。

 

 まあこの時点で、ある程度の覚悟はできていた。「ごめんなさい、あなたとはもうつきあえないの」。そう言われるだろうと思っていた。つきあい始めて3ヵ月。3週間、3ヵ月、3年、3回目のセックス、とにかく3というのは節目だというではないか。というか、今自分が勝手に決めたのだが。

 「エリーゼのために」はなかなか鳴り止まなかった。もう3回ぐらい演奏されている。「エリーゼのために」といえば、彼女が家に来たときによく(お菓子の方の)エリーゼを食べたな……なんてことを思い出した。

ブルボン エリーゼ北海道ミルク 18本×12袋

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 ちなみに彼女の姉はルマンドの方が好きだった。

ブルボン ルマンド 13本×12袋

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 待つこと10分近く。

 ついに「エリーゼのために」が鳴り止んだ。さあ、なんて言われるのかな。「別れよう」と言う勇気がなくて泣いちゃったりするのかな。いいよ、どんとこい。俺は君より3つも歳上なんだ。15歳の女の子が心変わりすることなんて珍しいことじゃない。高校に入ってみたら、同い年のもっと素敵な男の子がいたんだろ?

 「あの…」

 「はい?」

 その声は、先ほど電話に出た母親の声だった。結局彼女は家にいなかったのだろうか。

 「ごめんなさいね。……△△は、○○さんとはもうつきあえないって言ってるんです…」

 

 

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 「すみません、本人が電話に出たがらないもので……」

 ようやく意味が理解できた。なんだ、簡単なことだ。このことなら覚悟ができていたはずじゃないか。でも、どうして本人じゃなくて彼女のおかんに言われてるんだ?

 ともあれ、気まずい沈黙を破って僕はこう言った。

 「あ、そうですか。すいません

 僕は電話を切った。初夏の青臭い空気が網戸を通して窓から入ってきた。

 

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 その後、1年ほど経った頃だろうか。僕は駅前のマクドナルドで1人でハンバーガーを食べていた。近くに、派手な女子高生のグループがいることに気づいた。髪にはキューティクルが虐殺された痕跡があり、高校の制服にまったくそぐわないメイクが顔を地層のように覆っている。

 ちっアーパーどもが、とフライドポテトを口に放り込みながら見ていると、どこかで見た顔がグループの中にいた。その女は、自分の口からは何の別れ文句も告げずに僕という存在を葬り去った例の彼女であった。

 目は合わなかった。彼女はきっと僕に気づかなかっただろう。僕は、ショックを受けたというよりも不思議な気持ちになった。女の子という生き物があれほどドラスティックに変化してしまったことに。実を言えば、ギャルデビューしていた彼女を見たときに少し昂揚感を覚えたほどだ。

 僕がこの話をすると、人はいろいろな反応をする。ある人は「ひどい!」と本気で引くし、ある人はゲラゲラと笑う。僕としては後者の方がありがたい。時折、「かわいそうですね」と本気で同情されたりすることがあって、そんなときの方がどうしていいかわからなくなる。

 「どんな理由であっても、ちゃんと面と向かって別れを告げるべき」という人がいて、まあそれはそうなんだけど、今はこれでよかったんだろうなとも思う。もしかすると、(元)彼女は顔を合わせるのも嫌なほどの何かを当時の僕に見出して、そのせいでこんなことが起きてしまったのかもしれない。

 僕は、その「顔を合わせるのも嫌なほどの何か」を知りたくない。だから、結局真相は闇のままでいいと思っている。そういう意味では、僕も(元)彼女も似たように無責任で矮小な人間なのだ。