ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『フレンチアルプスで起きたこと』を観た

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Turist / Force Majeure/スウェーデンデンマーク、フランス・ノルウェイ/118分

監督:リューベン・オストルンド
脚本:リューベン・オストルンド
撮影:フレデリック・ウェンツェル
出演:ヨハネス・バー・クンケ、リサ・ロブン・コングスリ、クリストファー・ヒヴュー ほか

フランスの高級リゾートにやってきたスウェーデン人一家。ある日、テラスレストランで食事をとっていた家族は、目の前で大きな雪崩が起きるのを目撃。最初は余裕こいてた父親のトマスだったが、いよいよ眼前に雪崩が迫ってくると妻のエバ、子どものヴェラとハリーを置き去りにしてダッシュで逃げようとする。雪崩は結局止まりテラスは無事だったが、一目散に逃げたトマスの姿を見てショックを受けるエバと子供たち。当のトマス自身は自分が逃げたことを認めようとしない。エバはどうしても納得がいかず、現地で知り合った他人をも巻き込んでトマスを責め始めるが……。

 ヒューマントラストシネマ有楽町で観てきました。

 映画評論家の町山智浩さんがラジオで紹介していて、非常に僕好みのお話だったので観に行ってきました。

 監督も役者さんも知らない人たちばかりですが、なかなか面白かったです。“ブラックコメディ”というふうに宣伝されてますが、個人的にはかなり怖い話だなと思いました。

 とりあえずですね、この映画についてはくつしたさんの↓膝を打ちすぎて膝蓋骨粉砕するほどの的確なレビューを読んでいただければいいんじゃないかと思います。

『フレンチアルプスで起きたこと』:男も女も、みんなやらかしている | 映画感想*観ているうちが花なのよやめたらそれまでよ

 僕はわりと面白く観たんですけど、ラストのくだりとかあまりよくわかんなかったんですよ。ただ「バスこえー、やべー、マジこえー」って思ってたんです。でもこれってものすごい落とし穴なんですよ。僕はこのシークエンスを観てるとき、完全にエバの心情にシンクロしてたんですよ。つまり、くつしたさんが書いてるように「お前もなんだかアレだよね」な人間になってたわけです。「いいから降りろよバカども!早く!どけどけどけどけどけ!どけけったらどけけってんだよ!」

 つまりですね、くつしたさんがよく冷えたペリエでも飲みながら(想像)「なるほど、そういうことね」と思いながら冷静に鑑賞していた場面で、僕はトマスでありエバにもなってしまっていた、と。この映画のあらすじを観たときに「うわー、いたたまれないなーこれは」と誰しも思うはずです。男女問わずトマスの情けなさに共感しつつも半笑いで映画を観るはずです。でも最後のシーンで僕みたいに「どけけ(略)」った人はみんな監督の策略にはまってるんですよ!しかもそのことに、僕はくつしたさんのレビューを読んだあとでようやく気づいたんです。ていうか、今。

 この映画を観た人(特に男性)はみんな「自分があの場にいたら」ということを考えるはずです。僕はですね、「100%自分だけ逃げる」と、映画を観る前から豪語してたんですけど、それでもですよ。それでもやっぱりあのラストの意味を考えると戦慄せずにはいられない。あそこで早くバスから降りるぞ!と思った人はみんないざとなったらトマスな人なんですよ。

 少し話が戻りますが、この物語でエバが本格的にトマスを責め始めるのは、彼が「俺逃げてないっすよ」と平気な顔で言うところからです。このあたりの判断が微妙で、「モヤモヤしつつも逃げたことを半ば許していたけど逃げたって本人が認めないから自動的にスイッチが入った」のか「ずっと許さないつもりでいてポーカーフェイスを通していたが、もう我慢ならねえと思ってスイッチを自分で入れた」のかよくわかりません。「バカねえ、もちろん後者よ」ってことなんでしょうか。

 あといろんな批評で言われてますが、「女性が“女性らしさ”から逃れようとすることは賞賛されるのに、男性が“男性らしさ”から逃れることは許されないという風潮がある」みたいな意見には禿げ上がるほどに同意します。

 僕なんてもう、男らしさなんか微塵もない男ですから。すぐ泣き言を言うし体はガリガリに痩せているし貯金もないしTBCのメンズエステで顔毛永久脱毛してえとかしょっちゅう思ってます。そして、「男らしくないんだから」って一言。「女らしくしろよ」って言ったらブチギレるくせに男には男らしくしろよって言う人。不公平すぎる!男性専用車両も作ってくれよ!乗らないけど!

 この映画、話の筋も面白いですが絵的にもすごく美しいです。「ほくおうっぽいよね。えづくりがね。まるで、かふぇとかにおいてあるたかいかぐみたいだよね。けいさんされているよね」とずっと口が開いた状態で語りたくなりますね。「ほくおうでにほんしょくやさんをやろうかなあ。『きゅうぼ、だれでもできるもたいまさこです』ってきゅうじんをだしてさあ」と結べば完璧。何がかはわかりませんが。

 ていうかスキーウェアとかなんかいちいちかっこよかったな。あとなんだよあのホテルの作りは!いちいちセンスよすぎ。

 以上、この感想文は映画の中で効果的に使われているヴィヴァルディの「四季〜夏」を聞きながら書きました。最後に念を押しておきますが、僕がトマスでも絶対に逃げます。賭けてもいい。次に彼女ができたら最初に言っておこう。「雪崩が来たら俺すぐに逃げるからあとよろしく」って。

 

最近のでスウェーデンつったらこれかな。

 

1本も観てないけど「あぁ…ベルイマンだろ?」って地獄のミサワ風に語れるとかっこいいので。

 

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これも観てないけどカジヒデキの「甘い恋人」は最高だった。

 

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どこいったんだこいつら。