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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

第69回「『KANO 1931海の向こうの甲子園』を観た」

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原題 KANO/台湾/180分

監督:マー・ジーシアン
脚本:ウェイ・ダーション、チェン・チャウェイ、マー・ジーシアン
撮影:チン・ディンチャン
音楽:佐藤直紀
出演:永瀬正敏、坂井真紀、ツァオ・ヨウニン、大沢たかお ほか

1931年、日本統治時代の台湾。それまで1勝もしたことのなかった弱小チーム嘉義農林学校野球部に、かつて名門校の監督をしていた近藤兵太郎が指導者として迎えられる。近藤の猛特訓と選手それぞれの個性を活かした指導が実を結び、ついには台湾代表として甲子園の切符を手にする。そして大方の予想を覆し、 甲子園でも快進撃を続ける嘉義農林だったが…。(allcinemaより)

チネチッタにて鑑賞。

 3時間という長尺に少し怯んだものの、方方で評判がいいので観てきました。

 脚本と製作で携わっているウェイ・ダーションはあの『セデック・バレ』の監督ですね。『セデック・バレ』は旧日本軍と戦った「高砂族」の物語で(ちなみにこの映画の中でも高砂族は出てきます)、「日本人やけどこんなこと全然知らんかったー」てな物語だったんですけど、今回の『KANO』もやっぱり「日本人やけど(ry)」なお話です。

 ただ、『セデック・バレ』が最終的には悲劇として幕を閉じたのに対して、『KANO』は『ルーキーズ』をもっと丁寧に作ったような感動映画になっています。

 この映画の軸は野球で、スポーツ映画として見ればもうベタ中のベタな作りです。弱小野球部に指導者がやってきて、秘めた才能を開花させる選手たち。甲子園まで辿り着くも決勝戦でエースにトラブル発生…もうどこをどう切ってもベッタベタ。ほとんど新味はないのですが、それでも3時間飽きさせずに見せるのです。

 それは台湾と日本という微妙な関係が背景にあるからだと思うのですが、そのあたりを掘り下げる知識が不足しているので、あえてそこにはあまり突っ込みません。というわけで、ここでは一野球ファン、映画ファンとして観たこの映画の感想を書いていきたいと思います。

 まず従来の野球映画に対する不満として「どう考えてもこいつら野球やったことなさそう」というものがありました。僕だって草野球はヘッタクソだし人のことは言えないんですけど、たとえ自分では一切プレイをしない人でも、野球が好きな人なら大体わかるんです。「何このフォーム」「そんな投げ方でいい球いかねーから」「ひでースイング」。もういっそのこと顔以外全部CGにすればいいと思うことすらあります。

 でも『KANO』は野球経験者ばかりを集めてキャスティングしているせいか、皆の動きがリアルです。身体もできてるし、スイングや投球フォームもきれい。特にエース役の彼のトルネードっぽい投げ方とか非常に良かったです。細かいとこをいえば、ファールを打つ時の打球の軌道とかも結構リアルだったと思います。あとはスライディングも経験者ならではの動きだったし、撮り方も良かったです。

 ただ、ちょっと不満なところもあって、投球シーンではCGを多用し過ぎてる気がしました。投げた後のボールが画面のこちら側に向かってくるところとか、あんなにがっつり見せなくていいと思います。あのエース役の彼のフォームだけで充分に説得力があるのだから、投げた瞬間にカットを割っても良かったと思うんですよね。

 CGといえば、最後の船のところもいかにもって感じでちょっと萎えました。締めなんだからもうちょっと他にどうにかできなかったのかな、と思います。もしくはあの船じゃなくて違うシーンで終えるとか。

 それから野球経験者なのはいいけど、演技の方はみんなちょっと拙い感じがしたのも気になったところです。あとはパパイヤのくだりの回収とかもちょっと雑な感じが…。って、文句ばっかり言ってるようですが、3時間を苦痛に感じなかったのはやはりそれなりに面白かったということなのでしょう。『セデック・バレ』ほどの圧倒的な力はありませんが、観た後に爽やかな気持ちになれることは確かです。

 『あの頃、君を追いかけた』でも思ったことですが、最近の台湾の映画はちょっと稚拙なところがあっても熱さで押し切るというか、真っ直ぐなところがあると思います。それは同じアジアである韓国映画の激辛な熱さとはまた違っているんですね。台湾といえばエドワード・ヤンホウ・シャオシェンだったと思うのですが、ここ数年で新たな潮流が生まれている気がします。

 それにしても、あの本屋の女の子は加藤ローサとかノラ・ジョーンズみたいで可愛かった。勿体無い。俺もあんな子と自転車二人乗りしてー!