ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

第68回「『ネクロマンティック』を観た」

f:id:q050351:20150204213209j:plainNekromantik/西ドイツ/75分

監督:ユルグ・ブットゲライト
脚本:ユルグ・ブットゲライト、フランツ・ローデンキルヒェン
撮影:ウーエ・ボーラー
編集:ユルグ・ブットゲライト、マンフレッド・オー・ジェリンスキー
音楽:ヘンリー・コップ、ダクタリ・ロレンツ、ジョン・ボーイ・ウォルトン
出演:ダクタリ・ロレンツ、ベアトリス・M、ハラルト・ランド ほか

死体清掃会社で勤務するロベルト(ダクタリ・ロレンツ)は死体が好きなネクロフィリアであり、勤務先から死体の一部を持ち帰り、ガールフレンドのベティ(ベアトリス・M)と一緒に欲望を満たしていた。そんなある日、全身がそろった死体を持ち帰り、ロベルトとベティと死体で禁断の行為に及んでしまう。ところが次の日、ロベルトは会社をクビになってしまい、さらには死体が入手できなくなったことにベティが激高し……。(シネマトゥデイより)

ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞。

 上のあらすじだけ読むとギャグ映画みたいですが、いざ鑑賞してみるとやっぱりギャグ映画です。本当にありがとうございました。

 この映画については以前にかるーく紹介しています。

 この時は観に行くつもりはなかったのです。まあレンタルでもリリースされたら…程度の熱量で。でも1月の公開映画をチェックしていた時に、再度目に入ってしまったんですね。この映画が。これはもう呼んでるな。ネクロマンティックが俺を。と思いましたし、近い未来に「俺は『ネクロマンティック』を劇場で観た」とドヤ顔もできる。一生誰とも話題にしない確率の方が高そうですが。

 では感想を。正直、ちょっとナメてました。80年代の映画だし低予算ぽいし、ちゃっちいんだろうなーと思っていて、まあ確かにちゃちいところもあるんですけど、予想よりも気持ち悪かったです。この感想の最初の方を書き始めた時に平行して晩御飯を作ってたんですが、塩鮭をグリルで焼くだけでもなんだか嫌な気持ちになりました。

 まずこの映画はとんでもないファーストカットから始まります。女が野ションしてるんですけど、その聖水小便が雑草の上にじゃばじゃばーと垂れているところから始まるんです。どうもこのブットゲライト監督は小便が大好きらしく、この後にトイレでおっさん(確か主人公)が小便を垂れているところも横から写しています。勿論ボカシは入ってましたが、ち○こがしっかりフレームに入ってます。何の意味があるのかよくわかりません。別に後ろ姿を撮っても「小便してる」ってのはわかるのに。

 少し話は戻ります。放尿の後、女は自分を待っていた男の車に乗ります。そして発車した車がいきなり事故に。その死体を片付けに来るのが、主人公の働く清掃会社です。死体でメシ3杯はかたい主人公からすればまさに天職ですね。ところがこの清掃会社、死体の片付けがすごく雑です。どういうわけか上半身がちぎれちゃった女の内臓とかを、素手でわーってかき集めたりしてます。基本的に全員素手です。バカなんでしょうか。僕が死んだらこんな奴らに内臓をわーっとかき集められたりしたくないです。

 そして主人公は、同僚が見ていない隙に運転席の男の死体から目玉を失敬します。この後この目玉から手足が生え、茶碗風呂に浸かって主人公と共に悪い妖怪たちと闘います。嘘ですごめんなさい。
 家に帰ると、これまでにこっそりコレクションしていた内臓や目玉などが薬液に浸かって保存されています。そして、そこにやってくるのが主人公の恋人ベティ。このベティさんがなかなかの美人でエロいです。どうしてこんなハゲ散らかった変態主人公に…と思うのですが、勿論ベティも変態なのです。こいつらは死体愛好カップルなのです。

 主人公は、今度は五体満足(死んでるけど)な死体を手に入れます。果樹園みたいなところでくつろいでいたおっさんが戯れに撃った空気銃?の弾か何かが首に当たり、死んだ男の死体です。この死体は水に浸かっており、主人公の清掃会社により、例によって雑に回収されます。そして主人公によってテイクアウトされます。絶対臭いとかでバレると思うけど。

 死体を持ち帰るとベティは大喜び。早速死姦3Pという無理ゲーでハードコアなプレイが始まります。上の写真にもありますが、ベティは鉄パイプみたいなものを死体の股間に差し、さらにコンドームをかぶせて跨がります。妊娠なんかしないのに。するとしたら生まれてくるのは鉄男でしょうね。ていうか怪我するぞ。あんなん入れたら。童貞が真似したらどうするんだ。しねーよ。

 この時、恐らくハプニングだと思うのですが死体の目玉がぽろっと落ちるカットがあります。劇場ではここで笑い声が起きてました。

 で、死体との恍惚の時間も終わり、至福の時を過ごしたバカップルですが、不幸が訪れます。主人公が清掃作業の際の作業服を洗わないでロッカーにしまったり挙動が不審だったりすることに激おこだった同僚が社長に訴え、彼はクビになってしまうのです。

 するとベティは突然主人公を見限ります。「死体を持って帰ってこれない奴とつきあってる価値なんかない」ということです。稼ぎが悪いから三行半をつきつけられるというのはよくある話ですが、死体を持って帰ってこれないから三行半をつきつけられるというのはそうそう聞きませんよね。

 そして主人公は嘆き悲しみ、とりあえず猟奇殺人もののホラー映画を観に行ったりするのですが、どうにも入り込めません。結果、最終的に彼がとる行動とは…。

 ホラー映画を観た主人公が退屈そうにしていたのを見た時には、彼は「殺人」ではなく「死体」が好きなんだなと思ったのですが、その後の展開を見ると必ずしもそうとは言い切れないのかも知れません。このあたりが少しモヤモヤするところです。最終的には究極のマゾヒズムみたいなものにも行き着いている気がするし…。

 とにかく一筋縄ではいかない映画です。ギャグ映画って最初に言いましたけど、それなりに深く考えさせられる(直後におえってなる)映画です。「これは愛の映画だ」って言われるとまあ、そうなのかもね、とは思うのですが。

 目玉がポロリ以外では、花畑で人間の首や肉片を放り投げてきゃっきゃ喜んでるシーンに笑いが起きてました。しかもそこで流れる音楽がまた妙に感傷的なんです。『大改造!!劇的ビフォーアフター』で流れてもおかしくないような音楽です。映像は死ぬ前の顔と死んでからの顔を交互に映して、「こんなに腐りました」とナレーションをかぶせればいいんじゃないでしょうか。誰に同意を求めているのかはわかりませんが。

 主人公を演じたダクタリ・ロレンツは音楽も手がけている上に、「死体制作」でもクレジットされていました。死体制作といっても勿論そのへんの人をぶっ殺したわけではなく、死体の模型を制作したってことですね。ちなみにこの人、一時期日本の英会話学校で働いていたのだけど本作に出演していたことがバレてクビになった、というツイートを見かけました。本当だったらひどい話ですね。まあちょっとしょうがない気もするけど。

 何はともあれ結構ハードコアな映画だったとは思いますが、一番嫌だったのはやっぱり本物のうさぎがぶっ殺されて皮を剥がれるところでしょうね。ご注文はうさぎですか?などとほざいている場合ではありません。おまけにこのシーンは3回ぐらい見せられます。逆回転でも見せられます。でも、よく考えたら自分が食べてる豚とか鳥もこうしてただの肉片にされていくんだな…とか考えてしまって、複雑な気分になりました。それでベジタリアンになったりはしないものの、生きていくって罪なのね、と。最近『寄生獣』のアニメを見ているから余計にそう思います。

 映画館には女性一人の客もちらほらいました。大きなお世話は承知だけど、どうしてこの映画を観に来ようと思ったんですか?と訊いてみたくなりました。でも「じゃああなたはどうして観に来たんですか」って逆に訊かれたら答えに窮する気がします。

 何にせよ、退屈はしない映画でした。いつまで上映してるのか知らないけど、上映回数そのものは少ないと思うので、観てみたい方は是非。

寄生獣 セイの格率 Blu-ray BOX I

寄生獣 セイの格率 Blu-ray BOX I