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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

第64回「『ベイマックス』を観た」

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原題:Big Hero 6

監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ
脚本:ロバート・L・ベアード、ダニエル・ガーソン
音楽:ヘンリー・ジャックマン
声の出演:スコット・アツィット、ライアン・ポッター、T・J・ミラー、ジェイミー・チャン、デイモン・ウェイアンズ・Jr、ジェネシス・ロドリゲスジェームズ・クロムウェル ほか

美しい最先端都市サンフランソウキョウ。天才少年ヒロは、幼くして両親を亡くし、以来、兄のタダシとともに母親代わりの叔母キャスのもとで育った。14歳になったヒロは、最愛のタダシが謎の爆発事故で命を落としてしまい、すっかり心を閉ざしてしまう。そこに現われたのは、タダシがヒロのために残した形見の優しいケア・ロボット“ベイマックス”。彼の使命は傷ついた人々の心と身体を癒すこと。ベイマックスの献身的な支えで少しずつ元気を取り戻していったヒロ は、やがて兄の不審な死の真相を突き止めるべく立ち上がる。そんなヒロを助けるため、タダシの大学の研究仲間たちも駆けつけるが…。(allcinemaより)

  チネチッタにて2D字幕で鑑賞。てかこれ、2D字幕と3D吹替のみで3D字幕が無いのは何故なんでしょうか? どこの映画館のサイトを見ても3D字幕がねえ!って10分ぐらい血眼になって探しちゃいましたよ。で、本作は吹替も評判が良いのですがやっぱり初見は原語で観たいという昭和世代のオッサン的めんどくささから、2D字幕にしました。

 まず本編が始まる前に『愛犬とごちそう』という短編アニメが始まります。これは『アナ雪』も同様でしたが、この短編がまた異常にクオリティが高いんですよ。10年ぐらい前デヴィッド・ボウイが日本に来た時に大阪公演で前座をやった人が「ひっこめ」とか「生きていた中絶児乙」とか散々な言われようだったこととは大違いですよ。この件を引き合いに出すこと自体意味不明ですけど。

 僕はこの『愛犬とごちそう』の時点でもう涙腺がやばかったです。歳が歳だから毛根も尿管も括約筋も涙腺もガバガバヘイなんです。実家で犬を飼っていたということもあって余計にもう、ね…。冷静に考えると犬にあんなジャンクフード食わせまくったらあっという間にデブになるか病気になって死ぬだろ、とは思うんですけど。

 そして『ベイマックス』本編が始まるわけですが、これも泣けます。しかし泣けるといっても『愛犬とごちそう』的な泣かせではないし、ケアロボット・ベイマックスと主人公ヒロの暖かな交流で泣くわけではないのです。

 僕が泣いたのは、ベイマックスがヒロと一緒に空を飛ぶシーンとか、悪党の追跡をかわすシーンの圧倒的な迫力です。テンポが速いのであれよあれよと目の前でことが進んでいくわけですが、ほんの短いワンカットやそのつなぎ方にも凄まじい計算と労力が費やされているのでしょう、とにかくドライブ感が半端ない。小さな子どもなら多分画面に釘付けになるか大騒ぎするかというような感動は、おっさんの身体では「涙」という生理機能によって昇華されるようです。

 この映画、以前から指摘されていたことではありますが、日本での宣伝から想像されるようなゆるふわビッチ向けのお涙頂戴ストーリーにはなっていません。むしろ、いくらでも泣かせにいこうといけば泣かせられるのに、ぎりぎり抑制しているように思います。

 かといってアクション一辺倒のただの子ども向けCGアニメになっているかというとそういうわけではなくて、例えば「復讐」という裏テーマの回収と決着の付け方にも唸らされます。映像と物語のバランスが、異常なキャッチーさをキープしつつ保たれているのです。『アナと雪の女王』が、面白くはあるものの途中からストーリーが弱くなっているように思えた(まあ『アナ雪』はあの音楽だけで80点ぐらい叩き出しちゃってるのでいいんでしょうけど)のに対して、『ベイマックス』は最後までブレないです。ベイマックス自身がある意味ブレないし。

 というわけで面白く観たことは観たのですが、個人的には「テンポの良さ」があまりに凄すぎて、話運びが性急になっているようにも感じました。その分ヒロとベイマックス以外のメンバーの紹介時間が足りないというか。

 もちろんこんな不満は贅沢で、1本の映画にするならまずはヒロとベイマックスに焦点を当てるのは当たり前だというのもわかります。雰囲気的に続編が絶対にありそうなので、次はヒロとベイマックス以外のメンバーがもっと掘り下げられたりするのかもしれません。特に、僕がお気に入りのゴーゴータマゴたんは原作だと複雑な背景を持っている設定ぽいので、彼女の葛藤とかが見てみたいですね。

 この映画の感想を見ていると「思ってたの(要するにゆるふわビッチどもが求めるベタな泣かせ)と違ったけど面白かった」というものが多くて、日本での宣伝には賛否両論あったものの結果的には成功したといえるのかもしれません。お客さん入ってるようだし。

 ところで、終盤のとあるシーンで『ゼロ・グラビティ』を思い出したのは僕だけですかね。