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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

第53回「『猿の惑星:新世紀』を観た」

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原題:Dawn of the Planet of the Apes

監督:マット・リーヴス
脚本:リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー、マーク・ボンバック
出演:アンディ・サーキスジェイソン・クラークゲイリー・オールドマン ほか

高度な知能を獲得した猿のシーザー(アンディ・サーキス)が自由を求めて立ち上がり、仲間たちを率いて人類への反乱を起こしてから10年。猿たちは進化を加速させ、森の奥に文明的なコミュニティを築いて平和に暮らしていた。一方人類は、蔓延したウイルスによっておよそ90%が死滅し、わずかな生存者グループは、荒れ果てた都市の一角で身を潜めるように暮らしていた。そんなある日、電力が底をつきかけた人間たちは、ダムの水力発電を利用しようと猿のテリトリーに足を踏み入れてしまい、一触即発の危機を招く。最悪の事態だけは避けたい平和主義のマルコム(ジェイソン・クラーク)は、猿のリーダー、シーザーと接触し、次第に信頼関係を築いていく。やがて2人は猿対人類の全面戦争を回避すべく仲間たちの説得に力を尽くすのだったが…。

  iTunes Storeのレンタルにて鑑賞。

※ネタバレ含みます。

 まずこれだけは言わせてほしいです。シーザーの目力パネェ。

 映画は前作『猿の惑星:創世記』のその後、つまり「猿インフルが蔓延して人類だだ減り」の経緯をざっと解説した後、シーザーの強烈なカメラ目線→ズームアウトというショットで始まります。

 この時点で「この映画の主人公は猿です」と印象づけられます。キャストのクレジットがシーザーをモーションキャプチャーで演じるアンディ・サーキスから始まることからも、この映画の主役はやはりシーザーなわけです。

 シーザー率いる猿軍団の他の猿って、顔がいかにも猿なんですよ。なんだこのひでえ文章。とにかく、いかに人間と猿が近い生物だといっても、大多数の猿は猿らしい顔してるんですね。昔動物実験で酷い目に遭った過去から人間に恨みを持っているコバとか、穏健な知性派オランウータンのモーリスなんかはいかにも猿そのものって顔なんですけど、シーザーとその息子ブルーアイズだけはやけに表情が人間ぽいんです。

 他の猿と見分けをつけやすいようにブルーアイズの体に傷があったり(冒頭でクマーに引っかかれる)するんですけど、正直あれだけ他の猿と顔が違うとその必要もなかったかもしれないです。ただ、親父のシーザーとブルーアイズはあんま似てないんですけどね。

 冒頭、猿たちは森の中に自分たちの国を作って暮らしているわけですが、人間グループと遭遇したことからその平和はいとも簡単に崩れ去ります。そして、人間との共存路線(しかるべき距離は置くつもりだったろうけど)をとるシーザーと人間が憎くてしょうがないコバが対立し始めます。同時に、人間側ではシーザーたちの立場を尊重するマルコムと、「エテ公なんかみんな殺ってもうたらええねん。No future!」なドレイファス(ゲイリー・オールドマン)が対立し始めます。

 ただ、いくら共存路線が気に入らなくても、コバはシーザーに力で叶いません。水力発電ダムの修復作業の途中、ゴーマンかましてよかですかとばかりにシーザーにくってかかったコバは、思いっきりボコられてしまいます。

 それならこっちにも考えがあるぜ…とばかりに、コバは悪知恵を働かせて一種のクーデターを企みます。シーザーはまんまとその罠にハマり、シーザーの嫁の病気を直したことなどで猿たちと仲良くなったマルコムたちも危機に陥ります。タカ派の猿どもを味方につけたコバは人間たちの武器を奪い、一気に覇権を握ろうとします。この戦いの時、人間側が使っていた戦車を奪って逆襲するところはFPSとかTPSみたいで面白かったです。ちょっとあからさますぎかなとも思いましたが。

 シーザーは手負いながらもコバと再び戦います。ここで、銃を持っていたコバがどうするかなと思っていたんですが、結局彼は素手でシーザーと戦うんですね。途中から独裁者まっしぐらだったコバですが、ここで銃を使わなかった分、人間の悪党よりはマシだなあと感じました。

 筆者は、コバは銃を使ってシーザーを撃とうとするけどそれを他の猿が妨害し、仕方なく肉弾戦になるのかなと思っていたので意外な展開です。最低限のプライドのようなものはまだ彼の中に残っていたのかもしれません。そもそも、彼だってシーザーのように人間に可愛がられて育っていたらここまで暴走していたかどうかはわからないのです。その最期には複雑な感情を抱いてしまいました。シーザーの表情にも、「俺は超えないと誓っていた一線を超えてしまったかも」みたいな苦悩が見えた気がします。

 そしてラストはそんなシーザーの目力びんびんなショットで幕を閉じます。これは序盤のショットと呼応してるんですね。序盤は薄暗くて青みがかった画のズームアウトでしたけど、ラストショットは日の出を見据えるシーザーの目にズームインしていく。色味は赤〜オレンジの暖色で、つまりこれぞ原題の「Dawn of the Planet of the Apes」(猿の惑星の夜明け)なわけです。まあ「夜明け」といっても、猿たちの未来が明るいもののようには思えないんですけどね。

 今回シーザーたちと交流する人間側代表マルコムを演じるのはジェイソン・クラークですが、この人は『華麗なるギャツビー』であの役をやってた人です。そう、あの役。『ゼロ・ダーク・サーティ』ではCIA職員で拷問を担当してました。『華麗なるギャツビー』でも『ゼロ・ダーク・サーティ』でもクラークと共演していたジョエル・エドガートンリドリー・スコットの新作『エクソダス』で準主役を演じてますし、端役から見てた俳優が少しずつキャリアアップしてるのを見るのはなかなか嬉しいですね。

 シーザーの中の人を演じたアンディ・サーキスは以前から有名でしたけど、コバを演じたトビー・ケベルも今後注目すべき俳優かもしれません。てかこの人、アントン・コービンの初監督作品でイアン・カーティスの伝記映画『コントロール』に出てたんですね。

 監督を務めたマット・リーヴスは『クローバーフィールド』も凄く面白かったし、もっと評価されていい人だと思います。実は『クローバーフィールド』って日本の怪獣映画へのオマージュを含んでいるらしいし、もしギャレス・エドワーズが『GODZILLA』の続編降板なんてことになったらこの人に撮らせてみてもいいんじゃないですかね。

 

 

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