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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

第35回「肺気胸について」


Yahoo!ニュース - 嵐・相葉 肺気胸で一時は引退覚悟「無理かもしれない…」 (デイリースポーツ)

 

 最近話題になってるこの病気。BUMP OF CHICKENのヴォーカルの人とか佐藤健とか綾野剛とか、背が高いイケメンがかかりやすい病気なんだそうで、俗に「イケメン病」と言われていたりするらしい。

  知ってましたか?

も肺気胸持ち。

 身長も176cm(相葉くんも176cmらしい。なんでかわかんないけど相葉くんは「相葉くん」とくん付けで読んでしまう。知り合いかお前は)なんで、まあ日本人では高身長に入る部類。高身長低学歴低収入低血圧。身長以外全部低い。

 この肺気胸、かかった人ならわかるだろうけど結構辛い。ひどい時は歩くことすら困難。

 俺が初めて発症したのは高校1年生の時で、学校帰りにファッキン長い坂をチャリこいで上ってたら激痛と息苦しさに襲われて。その時は心臓かもしれないと思った。たまたま一緒にいた近所に住んでる同級生は「俺にはどうすることもでけへん」と初期ウォーズマンばりに冷酷な台詞を繰り返すのみ。あ、ウォーズマンて「コーホー」としか言ってなかったか。

 この後どうしたのかは忘れたけど、高校3年の時に2度目の発症をする。その日は体育祭の前日で、俺は応援団としてパフォーマンスをやることになっていたのだが、その練習中に例の激痛と呼吸困難。1年の時より症状が重くて、誇張ではなくマジで保健室まで壁に寄りかかってゆっくりゆっくり歩いて行ったぐらい。正直、「あ、なんか俺かっこよくね? 傷ついたヒーローみたいじゃね?」とか思ってしまったことを否定はしない。

 担任の車で急遽病院へ。そしたらなんと車椅子が用意されて「入院してください」てなことに。生まれて初めて車椅子に乗り、病室へ。ところが一般病室のベッドが足りないとかで、やむを得ずICUへ。勿論重篤な患者ばかりなので、こう言っちゃなんだが恐ろしかった。

 頭を切る手術をした人はいつの間にか俺のベッドのそばに来てニコニコ笑いながらなんだか不明瞭な言葉を話すし、隣りのいつもカーテンが下ろされているベッドに寝てた婆さんは夜中にカーテンの上から顔だけ出して息も絶え絶えに「看護婦さんを…」とか言うし、向かい側にいた昏睡状態のおじさんは昏睡状態のはずなのに突然「痛い!」と大声でわめくし。ちなみに婆さんのために俺がナースコールで看護師さんを呼ぶと「あぁ、いいのよほっといて。いつものことだから」と軽く流された。

 入院して3日目ぐらいだったろうか、そのICU(実際にはICUそのものというか、ICUのそばの病室といった方がいいかもしれない)に新しい患者が入ってきた。このおじさんも俺と同じく空きベッドが足りないという理由で入ってきたようだった。そして、俺同様他の患者にビビりまくっていた。仲間ができた気がした。

 その頃学校では俺不在で体育祭が行われていたわけだが、「ICUに入った」という情報だけが一人歩きしており、「え? 死んでしまうん?」「ICUって何の略?」「インポチ○コ鬱」「ざまぁ」など色々な憶測・喜びの声・嘲笑が飛び交っていたようだ。

 当初は脇腹に穴を開けて処置する(局所麻酔はするがなんだかんだで痛いらしい)という定番かつ恐ろしい治療法が予定されていたのだが、「気胸は成長とともに自然治癒することもありますし肺も元の大きさに戻ってきていますので今回は退院で」ということになった。

 退院して学校に行くとみんなに「大丈夫?」「肺に穴開いたってpgr」「なんやねん見舞いに行くの楽しみにしてたのに」「死ねばよかったのに」など話しかけられ、しばらくは病人として扱ってもらえた。

 そして3回目の発症は上京してから、30を過ぎてからのことだ。

 神宮球場で当時つきあっていた彼女と野球を観ている最中に様子がおかしくなった。脂汗が出るぐらいの、鈍いが強い痛み。でも野球を最後まで観たかったので彼女には黙っていた。

 試合が終わり、神宮から渋谷まで歩いて行く最中についに音を上げた。「実はさっきから肺が…」と彼女に告げ、歩くのをやめて休憩した。表参道の交番で電話を借り近くの病院に連絡を取ってみたが、どこも態度が横柄なのでムカついて受話器を置き、なんとか家まで帰った。

 翌日から1週間ほど仕事を休んだ。なんせ座ったり立ったりするのも一苦労なのである。当然買い物にも行けないので、すぐ近くに住んでいた彼女に「悪いんだけど弁当買ってきてくれない?」と頼んだ。仕事帰りに弁当を買ってきてくれたものの、彼女は不機嫌そうだった。その顔にはこう書いてあった。

「マジめんどくせえ」

 別れて良かった。

 ネットで色々調べた挙句、二子玉川にある玉川病院に通うことにした。駅まで歩くのすらきついのでタクシーで病院に行っていた。

 肺気胸の治療は3つほどあり、細かいことは忘れたしまた調べるのがめんどくさいのでいちいち書かないが、入院もせず術後の痛みも少ない方法、つまり穴開けて管通して…という治療法は再発率が50%もあるのである。しかもいくら痛みが少ないといっても、胴体に穴ブチ開けるんだから全く痛くないはずがない。おまけに、しばらく身体にウイダーインゼリーみたいな容器をぶら下げたまま生活しなくてはならない(はず)のだ。

 そしてあと2つの方法は入院が必要であったり、術後の痛みが強かったりするのである。玉川病院で医師に「どうしますか?」と訊かれた俺は即答した。

俺「放置します」
医師「んーでもねーとりあえず治療はしといた方が…」
俺「いいんです。成長すれば治るらしいし」
医師「いやそうなんだけどね…でもあなた、もう30過ぎでしょ?
俺「……」
医師「まあいいけど。…でも次やったら確実に手術だからね?」

 そう脅されて、通院デイズは終了した。

 肺気胸には自然にできるものと何らかの原因があってできるものがあるのだけど、前者はまだ明確なメカニズムがわかっていないようだ。喫煙やストレスが関係しているという説はあるが、俺は煙草を全く吸わないので、ストレスが原因なのかもしれない。

 そして、あの気胸ぽい痛みがここ数週間また現れているのである。これもイケメンの宿命なのかもしれない…。

 でも今入院とかしたら誰が俺の弁当買ってきてくれるんだろ。