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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

第31回「『フューリー』に備えて戦争映画を観る 『バルジ大作戦』編」

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原題 Battle of the Bulge

監督:ケン・アナキン
脚本:フィリップ・ヨーダン、ミルトン・スパーリング、ジョン・メルソン
出演:ヘンリー・フォンダロバート・ショウロバート・ライアンチャールズ・ブロンソンテリー・サヴァラス ほか

1944年、敗色濃いドイツ軍は、起死回生をかけて、アルデンヌの連合軍部隊を急襲した。早くも勝利気分に浸っていた連合側は、雲霞のごとくあらわれたタイガー戦車群に、ことごとく破れさっていく。そして同じ頃、戦線後方に、ドイツのパラシュート部隊が降下を開始していた……。

  『フューリー』に備えて戦争映画、特に戦車に特化した戦争映画を観るシリーズの2回目です。

 第1回目はこちら↓


 『遠すぎた橋』も『バルジ大作戦』も3時間近くある大作なので、観る時間を確保するのがちょっと大変です。どうせ暇なんだろうと言われても、筆者もエロ動画を見たり、もしくはエロ動画、あとはエロ動画とか、色々忙しいのです。貧乏ヒマ無しです。

 さて、そんな筆者の性生活はともかくとして、この『バルジ大作戦』ですが、『遠すぎた橋』よりもエンターテインメント色が強いかもしれません。リアルタイムで観た人がどう思ったかはわかりませんが、『遠すぎた橋』の方がもう少し硬質な感じがします。

 その分見やすさ、ストーリーの展開は『バルジ大作戦』が上回っています。この作品も「バルジの戦い」という実際にあった戦闘を扱った映画で、連合軍(というよりはほとんどアメリカ軍)とドイツ軍双方の動きを追いかけているのですが、物語の流れとか因果関係がわかりやすくなっています。

 映画は、ドイツ軍・ヘスラー大佐の車をアメリカ軍のカイリー中佐(元刑事という設定)が飛行機から見つけて写真を撮るというところから始まります。このシーン、当時の技術からいって飛行機に乗っているカイリーと操縦手のショットはともかく、地上を走るヘスラーたちのショットまでがあからさまな合成なのがちょっとよくわかりません。このシーン以外にも「いかにも合成」なショットがいくつかあって、正直その度萎えました。予算とかスケジュール的な問題でしょうか。

 ヘスラーを演じているのはロバート・ショウで、この人はスピルバーグの『ジョーズ』で豪快な船長を演じていた人です。彼はもちろんドイツ人ではなくイギリス人です。で、ドイツ軍大佐の役なのに普通に英語を喋ります。彼に限らず、ある程度台詞のあるドイツ軍人は皆英語で会話します。脇役のドイツ兵のみドイツ語を話します。

 『遠すぎた橋』はドイツ軍人にドイツ人やオーストリア人を配していたのですが。まあでも『戦場のピアニスト』でもポーランド人がみんな英語を話してましたし、このあたりにいちいち目くじらを立てても仕方がないでしょう。

 カイリーを演じるヘンリー・フォンダ、この人はピーター・フォンダジェーン・フォンダの父親で、孫娘は最近どこに行ったのかわからなくなったブリジット・フォンダです。

 あとは実際に第二次大戦中にB-29に乗って機銃手を務め、東京大空襲にも参加していたというチャールズ・ブロンソンなども出演しています。

 で、戦車ですが、最近筆者もそれなりにタイガー(ティーガー)戦車を何度も写真で眺めたせいか、ようやく映画の中の象印偽タイガーが判別できるようになってきました。本作のタイガー、それからキングタイガー(タイガーII)についても、「これじゃないんだよね〜」としたり顔で語れるぐらいまで詳しくなったつもりです。

 ただ、いくら偽とはいってもこれだけ戦車が大量に出てくる映画は観たことがなかったので、かなりの迫力は感じました。特に、連合軍がアルデンヌの森で初めてドイツの戦車隊に遭遇するシーンは秀逸です。木をなぎ倒しながら突如現れるタイガーはさながら野獣のよう。

 ただし時代が時代(1965年製作)なので、人が派手に爆散したり手足がちぎれるというような描写は全くありません。身体への弾着も無いので、銃で撃たれた兵は「うっ!」と胸を押さえて倒れたり、砲撃をくらった兵もぴょーんと飛んで終わりです。鉄条網に倒れこんでる兵士が、死んでるはずなのに微妙に姿勢を修正してたのがちょっと面白かったです。

 アメリカが製作したものの、この映画はヘスラー中心に進んでいきます。というのはこのバルジの戦いが、負けまくっていたドイツ軍が一転攻勢に出た戦闘だったからです。ヘスラーの人物描写はなかなか複雑で、序盤は「案外いい奴」かと思いきや、自分を狙って発砲した少年への対処あたりからだんだんと歪んだ部分が見えてきます。創造されたキャラクターのようですが、ステレオタイプ的な悪役でもなくかといって人格者ともいえない、なかなかリアルな人物です。

 物語は、アメリカ兵に化けたドイツ兵がパラシュートで降下して作戦を展開したり、ドイツ軍がアメリカ兵捕虜を虐殺したりといった史実(もちろんいくぶん脚色はしてるでしょうけど)をも描きながら進んでいきます。正直、ラストのあのいかにもアクション映画ぽい決着も、実際に同じようなことがあったと知って少しびっくりです。

 『遠すぎた橋』は失敗した作戦ということもあって悲壮感に満ちています(特に後半)が、『バルジ大作戦』は劣勢にあったアメリカ軍が何とか盛り返していく話なので、「俺たちの西部戦線はこれからだ! ご愛読ありがとうございました」という風に終わります。

 どちらが好きかと問われるとちょっとむずかしいですね。いくら話がわかりにくかったとはいえ『遠すぎた橋』は、あれはあれで良かったと思います。筆者は根っからの負け犬根性のせいか、「勝ったでー!」という映画よりも「勝ったけど虚しい」とか「ボロ負けワロタ…ワロタ」みたいな話の方が好きからです。アメリカ人からするとあまり楽しくないのかもしれませんけど。なんせ負け戦ですから。

 ただ、戦車映画という意味ではやはり『バルジ大作戦』に軍配があがります。いくら偽タイガーとはいえ、あれだけの数の戦車が一気に戦う絵はやはり圧巻です。田宮模型ではなく本物なのです。

 というわけで、次は『レマゲン鉄橋』あたりを観ようかと思ったのですが近場のTSUTAYAに置いてないので諦め、ロシア映画である『ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火』を観ようかと思っています。ていうか3時間近い映画ばっか観て疲れた。今日は夜『インターステラー』観に行くし。

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