読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

第30回「『聲の形』って漫画」


「聲の形」アニメ化決定!本日発売の週マガで完結&2月に原画展も - コミックナタリー

 

 この漫画を知ったのは、「コミックナタリー大賞 2014」。現役漫画編集者が選ぶこのアワードで1位に輝いていたのが『聲の形』だった。

 それからwebの立ち読みで読み、少し経ってから1巻を買ったら止まらなくなって2巻以降を大人買い

 物語は、主人公・石田将也の通う小学校に耳の聞こえない女の子・西宮硝子が転校してくるところから始まる(実際には、冒頭で高校生に成長した将也と硝子の再会が数ページ使って描かれる)。

 毎日友だちと橋の上から川に飛び降りたりして腕白に育っている将也は、「退屈」を恐れている男の子。でも、周囲の人間は次第に成長して子どもじみた行為からは卒業しつつある。

 そんな時に現れたのが硝子で、将也は彼女を「変な奴」と思い、退屈を紛らわすいい材料ができたとばかりにいじめ始める。硝子の筆談用ノートに「ブス」と書いたり、2階から彼女の頭にゴミを落としたり。

 でも硝子は将也に怒ったりしない。ひどいことをされているのは明らかに自分自身なのに、将也に向かって筆談で「ごめんなさい」と謝ったりする。そのせいかエスカレートしていく将也のいじめ。

 そしてある一件をきっかけに、将也はクラスで孤立し、いじめる立場からいじめられる立場へと変わっていく。

 単行本1巻は、登場人物たちの小学生時代のできごとで殆どが構成されている。元々はこの作品読み切り(筆者は未読)だったらしく、掲載についてもかなり編集部で迷ったらしい。そして掲載後もかなり反響が大きかったと聞く。連載開始後も賛否両論なんだとか。

 でも、作者の大今良時さんも同じようなことをインタビューで言ってたけど、何が問題なのかよくわからない。世に出た作品が賛否両論なのは結構なことだけど、こういう漫画を掲載するか否かの時点でモメるっていうのは、意味不明なバカげた検閲行為だと思う。

 2巻以降は、高校生になって再会した将也と硝子の心の触れ合いが描かれていくのだけど、このやり取りが切ない。硝子は耳が聞こえないというハンディキャップを持っているのだけど、健常な将也もある意味で何かが欠落した存在で、実はこの二人は似たような人間同士なのかもしれない。

 小学生の頃の将也は同族嫌悪のようなものを硝子に感じたのだろうか。そして、逆に、いじめられても将也に近づく硝子は端から将也にシンパシーのようなものを感じていたのだろうか。

 将也は硝子と再会したことをきっかけに、他人に対して閉ざしていた心を開いていく。この過程が、時にコミカルに、時にシリアスに描かれる。

 ある程度読み進めると、将也に感情移入して「もう自分を許してもいいんじゃないか」と思う。でも将也自身は「俺がやったことはそんなに簡単に許されることじゃない」と認識している。だから硝子の好意も、将也にはうまく届かない。彼が彼女に対して感じているのは(少なくとも意識下では)、贖罪の責だけなのだ。それがひたすら切ない。

 筆者はこの漫画を読んでいて何度か泣いてしまった。いい歳こいたおっさんが漫画読んで泣くって、すごく気持ち悪いんだけど。「泣ける」とか「泣かせる」みたいな売り文句のドラマとか映画って大嫌いな筆者が、この漫画には心えぐられっぱなし。

 いじめというテーマもあるんだけど、個人的にこの漫画から感じ取っているのが、人と人が心を通わせることの困難とか、逆に、通じた時の喜びというもの。筆者はコミュ障なんで余計にえぐられる。えぐられすぎてもう内臓とか無いです。

 作品中では殆どの人の心がすれ違ってばかり。だからこそ、ふと小さなシンパシーのようなものが描かれた時にひときわ大きな感動が得られる。例えば将也が硝子と初めて手話で会話をするシーン。いつもは「ミヒャエル・ハネケマンセー!」とか言ってるおっさんが号泣だよ!

 で、大体予想はしてたけどやっぱりアニメ化されるようです。詳細はまだわかっていないけど、どうか、優れた制作会社、優れた演出家に作ってもらいたいもの。アニメ化に否定的な意見もあるようですが、筆者は素直に期待してます。

 ちなみに作品自体は今日出たマガジンで完結。むやみに引き伸ばさないでちょうどいい長さで終わったのではないだろうか。ジャンプだったら20巻ぐらいまで引き伸ばされそう。筆者は単行本派なので、来月出る最終巻まで待つつもりです。

 本当に、読んでいてこれほど心を揺さぶられた漫画は久しぶり。気になったら立ち読みどうぞ。↓


『聲の形(1)』(大今良時):講談社コミックス|講談社コミックプラス


↑このPVで流れてる楽曲が凄くいいんだけど誰が作曲してるんだろう。

 

聲の形(1) (講談社コミックス)

聲の形(1) (講談社コミックス)