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ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

第29回「『フューリー』に備えて戦争映画を観る 『遠すぎた橋』編」

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原題 A Bridge Too Far

監督:リチャード・アッテンボロー
脚本:ウィリアム・ゴールドマン
出演:ショーン・コネリーマイケル・ケインジーン・ハックマンアンソニー・ホプキンスジェームズ・カーンライアン・オニールロバート・レッドフォード ほか

ノルマンディー上陸作戦から3ヶ月後の1944年9月、連合軍はドイツ軍がオランダへ撤退したのを機に、そこへ空と陸の両方から攻めるマーケット・ガーデン作戦を展開し始める。オランダからドイツにかけての5つの橋を占拠し、ベルリンへ侵攻するのが狙いだった。現状でも敵の兵力は手強いことが懸念されたが、マーケット作戦を仕切るブラウニング中将はアーカート少将らに進撃を命じる。こうして空からはパラシュート部隊、陸からは大戦車部隊で攻勢。しかし、やはりドイツ軍の抵抗は凄まじく、要所である橋も破壊され、逆に連合軍が壊滅に追いやられていく…。

  もうすぐ『フューリー』が公開ということで、戦車が出てくる戦争映画を色々と観ていくことにしました。

 で、まず選んだのがこの『遠すぎた橋』。1977年の作品で、監督はこの間亡くなられたリチャード・アッテンボロー。この人は元々は俳優で、『大脱走』なんかに出演しており、監督としては『ガンジー』等が代表作です。ちなみに『ジュラシック・パーク』にも出演してましたね。

 脚本は『明日に向って撃て!』などのウィリアム・ゴールドマン。撮影は『2001年宇宙の旅』などのジェフリー・アンスワース。

 それからキャストなんですが、これがもうクソ豪華です。上に書いただけではなく、まさしく「オールスターキャスト」といった凄まじいメンツ。こんだけ集めたら大喧嘩とかになりそうですが。

 『遠すぎた橋』は連合軍が第二次大戦の欧州戦線で実際に展開していた「マーケット・ガーデン作戦」を題材にしています。で、この作戦、『プライベート・ライアン』で描かれたノルマンディー上陸作戦以降勝ち続けていた連合軍が初めて失敗した作戦らしいです。

 「本物の動くタイガー戦車が出る」というのが最大の売り文句といってもいいのが『フューリー』ですが、実際、それまで本物のタイガーが出る映画というのは無かったようです。

 筆者は戦争映画は割りと好きですがミリオタではないのでちょっとよくわかりませんが、見る人が見れば「あぁ、このタイガーは偽物だな。象印だな」という風にわかるらしいです。『プライベート・ライアン』ですら、本物は出てきません。

 で、この『遠すぎた橋』に出てくるタイガー(ドイツ語読みでは「ティーガー」)も、多分見る人が見れば一発でバレるのでしょう。筆者は比較写真か何かを見せてもらわないことにはわかりませんが。タイガーだけでなく、アメリカ軍のシャーマン(『フューリー』ではブラピたちが乗り込む戦車ですね)についても『遠すぎた橋』では一部ダミーを使っているようです。

 それはともかく、時代が時代ですから勿論CGなんかありません。まずこの映画で最初に驚くのは空挺部隊がパラシュート降下するシーンです。さながらクラゲの大群のように空を舞う兵士たち。あんなにたくさん一度に降りてからまんねーのかと思ってしまいます。これ実写でやってんだなあと思うと、戦争映画なのに何か幻想的な光景に見えてくるから不思議です。

 40年近く前の映画の割りには爆発や銃撃のシーンにも迫力があり、やはりとんでもない予算をかけて作っただけのことはあります。さすがに人体損壊描写はほとんどありませんが、傷ついた兵士たちのメイクはこの時代にしてはかなり生々しいのではないかと思います。

 しかし、色々なところで言われている通り、この映画はひとつの大規模な作戦を描いているので、場面がめまぐるしくかわり、マーケット・ガーデン作戦についてかなり詳しくないと何が何やらわからなくなってきます。役者もあれだけ豪華なのに、何やら小出しになってしまっているようでちょっと勿体無い気がしてきます。

 この映画の好きなところを挙げるなら、例えばジェームズ・カーン演じる軍曹が傷ついた戦友をジープに乗せて森を走っていたところ、ドイツ軍のまっただ中に出てしまうところです。こういうシーンは映像技術云々の前にスリルを感じることができます。

 あと、戦争に巻き込まれた無辜の市民たちが犠牲になるシーンが入っているところ。ドイツ軍の動向や将校の人間らしい一面も描いているので何かとドイツ軍=悪魔みたいに描きがちな第二次大戦ものとは一線を画しているところ。

 ロバート・レッドフォードたちが川をボートで無理矢理わたっていくシーンも凄いです。ここは『プライベート・ライアン』のノルマンディー上陸シーンを思わせます。これは実際に作戦中にあったことらしいです。

 それから、爆撃で精神病院が壊れ、そこにいた精神病の人たちが笑いながら連合軍を迎えるところ。サミュエル・フラーの『最前線物語』でも精神病院って出てきましたね。実際にこういうことがあったのでしょうか。

 オールスターキャストの第二次大戦ものといえば『史上最大の作戦』等もありますが、この『遠すぎた橋』以降は、大きな作戦を網羅しようとしても難しいということを悟ったのか、戦争映画はもう少し話の焦点を絞ったものが多く作られるようになっていったようです。

 キャストといえば、アンソニー・ホプキンス(後のレクター博士である)が良かったですね。なんというか『プライベート・ライアン』でのポール・ジアマッティと雰囲気がかぶります。

 それからやっぱりマイケル・ケイン(上の写真)。今の若い人には『ダークナイト』のアルフレッド執事と説明するのが一番手っ取り早いかと。今も渋いですが若い時はめちゃくちゃかっこいいですね。ちなみにこの人が劇中では戦車部隊を率いています。

 結果的にはあまり戦車がフィーチャーされる映画ではなかったわけですが、そこそこ楽しむことはできました。「これ全部実写なんやで」と自分に言い聞かせながら鑑賞するとなんだかありがたい気分になってくるような気がします。

 これから『フューリー』の公開までに、『バルジ大作戦』なんかも観ていきたいと思います。