ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

第19回「『スイートプールサイド』を観た」


映画「スイートプールサイド」オフィシャルサイト 原作・押見修造×監督・松居大悟による青春剃毛映画!

監督・脚本:松居大悟(『アフロ田中』『男子高校生の日常』)
原作:押見修造(『惡の華』『ぼくは麻理のなか』)
出演:須賀健太(『釣りキチ三平』)、刈谷友衣子(『中学生円山』)、落合モトキ(『桐島、部活やめるってよ』)ほか

DVDにて鑑賞。

あらすじ
高校1年になっても毛が生えないことに疑問を抱く太田年彦(須賀健太)は、同じ水泳部の毛深い女子、後藤綾子(刈谷友衣子)のことを、陰でうらやましいと感じていた。ある日、綾子に毛深いことを相談されその悩みを真剣に聞いていた彼は、「わたしの毛を、そってくれない?」と思いも寄らぬお願いをされ仰天する。それ以来、二人だけの秘密の関係がスタートし……。 シネマトゥデイより)

 原作は『惡の華』で有名になった押見修造の漫画です。筆者も『惡の華』読んでたんですが、第一部?あたりで飽きちゃって今どうなってるのか全く知りません。

 監督と脚本を務めるのは松居大悟。この人は『アフロ田中』といい『男子高校生の日常』といい今回といい、漫画原作が多いですね。共通してるのはもうひとつパッとしない若い男が主人公ということです。

 『男子高校生の日常』は原作漫画やアニメのファンには死ぬほど叩かれていましたが(特に文学少女をブス設定にしたあたりで猛烈に反感を買っていた)、筆者は楽しく観ました。そろそろ松井監督の完全オリジナル作品も観てみたいですが、やっぱ今の日本映画界では難しいかな。

 まずストーリーですが、はっきりいってありえないです。ですが、まあ「作り話だから」とそのへんは生ぬるく見守りましょう。リアリティというより、『惡の華』でも見られる思春期の少年少女の暴走と懊悩が主題で、毛がどうこうというのは表面的なものにすぎません。

 主人公の太田は高校生にもなってチ○毛が生えてこないことに悩んでいます。ちなみに筆者は中学一年の時、気が付くとキン(ry

 そして、太田と同じ水泳部の綾子は毛が濃いことに悩んでいます。この毛が特殊メイクなんですが、うまくできてるんだかそうでもないんだかよくわからない感じでした。で、ひょんなことから太田が綾子の毛を剃ってあげることになります。そんなアホな。

 二人はどう考えてもすぐ誰かに見つかるだろ、というような場所で剃毛を開始します。この剃毛シーンの演出が面白いです。

 原作でも同じなのかは未読なのでわからないんですが、綾子の毛を剃っている最中の太田の心情は、どこかの林で草木を刈っている彼の映像を挿入することで表現されます。腕毛を剃った後脚も剃ってと頼まれた太田はつい綾子のスカートの奥も覗いてしまいます。心情映像では、そこは眩い光を発する不思議な場所になっています。

 「あの奥にも…」と邪念を持った太田は誤って手を切ってしまうのですが、心情映像の中の彼は大怪我を追って大量に血を流しています。ここは笑いました。

 剃毛をするショットはものすごくゆっくりと、艶かしく描写されています。音の演出にもかなり気を使っています。剃られる度に綾子がエロい声を出したりするので、太田も観ているこっちも落ち着かない気分になってしまいます。

 二人は毎週待ち合わせて剃毛をするようになります。太田は剃った毛をこっそり持ち帰って机の中に保管し、時折それを取り出しては自分の腕にこすりつけたり、挙句の果てには食べたりします。

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 筆者にもある程度のフェティシズムのようなものはありますが、毛を食うという趣味は無いのでちょっと引きました。

 しかしそんな剃毛ハイスクールライフがいつまでも続くわけもなく、何かと太田にちょっかいを出す坂下という女の子が二人の間に割って入ってきます。

 荒井萌という女の子が演じているのですが、この子も綾子を演じる刈谷友衣子に負けず劣らず可愛いので、もうこいつでいいじゃん、俺ならこいつで手を打つけど、と勝手に一人で考えてしまいました。

 そして、綾子は水泳部のコーチをしている二宮先輩となんだか微妙な関係の模様。この二宮先輩を演じているのは『桐島、部活やめるってよ』でパーマ野郎(何度も観たのに役名忘れた)を演じていた落合モトキです。

 剃毛蜜月期間が終わってしまうと、太田は鬱屈した感情をコントロールできなくなっていきます。

 鬱屈を抱えた少年がにっちもさっちもいかなくなってどんどん暴走する様は『惡の華』の主人公にも共通する要素です。始まりは「チ○毛が生えない」程度の悩みだったのに、それがいつの間にか「爆弾作ってでっかい花火打ち上げたらぁ」みたいな誇大妄想に。笑えるといえば笑えるし、不気味といえば不気味です。

 最初は大人しく内気に見えた太田が、「毛がねぇ!」と激おこで家を出ていくシーンは、須賀健太の迫真の演技と臨場感あるワンカット長回しでスリリングに演出されています。声変わり直後みたいなかすれた須賀健太の声が、ヒリヒリする思春期(または○頭)そのもののようで痛々しいです。

 もっとコメディー寄りなのかなと思っていたのですが、やはり押見修造原作だからなのか、『男子高校生の日常』ほど肩の力を抜いて見られるわけでもないですね。

 ただ、面白くないことはなかったのですが、剃毛が終わってからなぜかちょっと話がダレるというか、パーマ野郎とかも絡んできてから以降が少し退屈に感じてしまいました。あんまり綾子がパーマ野郎を好きだという風に見えなかったというのも原因かもしれません。それに、パーマ野郎と太田の絡みも特にないですしね。

 とはいえ一見の価値はあるので、気が向いたら観てみてはいかがでしょうか。それにしても松田翔太って松田優作の危ない雰囲気を全て受け継いだ気がしますね。松田龍平は顔はお父さん似なんだけど、どっちかというと『それから』の松田優作に近い気がしますね。

スイートプールサイド (講談社コミックス)

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惡の華(1) (少年マガジンKC)

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