ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

第17回「『やさしい人』を観た」

はじめての映画感想文。

映画『やさしい人』オフィシャルサイト

製作国:フランス
監督・脚本:ギョーム・ブラック
撮影:トム・アラリ
出演:ヴァンサン・マケーニュ、ソレーヌ・リゴ、ベルナール・メネズ、ジョナ・ブロケ
観た映画館:ユーロスペース

あらすじ
フランス・ブルゴーニュ地方、まもなく冬を迎える小さな町トネール(Tonnerre)。パリから一人の男が、父親の住む実家に戻ってくる。かつてはインディーズでそれなりに名を馳せたミュージシャンのマクシム。人気の盛りは過ぎ、目の前にあるのは、先行きのない未来だけ。ギターを手にしても、でてくるフレーズにはどことなく甘酸っぱさが残るが、若さはもはや過去のもの。 しかし人生にはときに素晴らしい贈り物が差し出される。マクシムにはそれは若い恋人だった。だがそれは、かつてない無情な速さで失われてしまう。突然消えたロマンスを追うマクシムは、人生を揺るがしかねない危うい行動にでる――。(オフィシャルサイトより)

 中編の『女っ気なし』と短編の『遭難者』で評価が高まっているフランスの新鋭・ギョーム・ブラック監督の初長編作品。

 前2作、そして今回の『やさしい人』と全ての作品で主演を務めるのがヴァンサン・マケーニュという俳優。「ヴァンサン・負け犬」とも読めそうな語感。ヴァンサン・カッセルという人が出演している『美女と野獣』も公開されてますが、こちらは「ヴァンサン・勝ってる」という感じですね。こういうオヤジギャグが出てくるようになるとそろそろまずい。

 で、そんな負け組の方のヴァンサンが演じるマクシムは、額と頭頂部が二穴同時責めといった感じでハゲているのに髪が無駄に長くて、いかにも冴えない風貌。思い切って坊主にしちゃえば結構イケメンな気もするのだけど。

 インディー・シーンでは名が知れていてもパリで生活を続けることは難しかったのか、実家にて父親、飼い犬と暮らしているマクシム。特に働いている様子も無く、夜中に自室でデモを作成する日々。父親はそんな息子を叱りつけるわけでもありません。

 ある日、マクシムはメロディーという名の若い女の子と知り合います。年齢はヘタすると20歳ぐらい離れていそうだけど、積極的にアプローチするマクシムに押されてメロディーも彼を受け入れていきます。

 非常に羨ましい展開です。あんなにハゲ散らかってるのに。つい最近、マクシムのようにかなり年下の女の子に恋をしていた筆者は何もできずあっさり失恋したので、ハゲしく嫉妬しました。

 しかしメロディーが本当にマクシムを心の底から好きなのかというとそうでもないように見えました。デートをしていてもセックスをしていても、中学生かお前はと言いたくなるほど必死なマクシムに対して、メロディーは時折ふと冷めたような表情を見せます。

 マクシムはメロディーのそんな様子に気づきません。中年男性の余裕のようなものは全く無く、好き好き光線(とイカ臭さと加齢臭)を衒いなくメロディーに向けてぶつけていきます。

 ところがそんな蜜月(マクシムだけだろうけど、蜜月と思ってたのは)はあっという間に終わってしまいます。メロディーと連絡がとれなくなり、おまけに誰かわからぬ相手からマクシムのもとにロリコン野郎」というメールが送られてきます。

 非常に心が痛かったです。筆者も「実は○○さん(17歳年下)のことを好きになってしまって」と言った時に、友人にロリコン野郎」と言われましたから。

 そしてマクシムは、メロディーが元カレとよりを戻していたことを知って嘆き悲しみます。この悲しみ方もまた子どもみたいで、でかい図体をしてハゲ散らかったおっさんがベッドに倒れこんで声をあげて泣く姿はお世辞にも美しいとは言えません。

 筆者は正直ちょっとだけ「ざまぁ」と思いました。あんな若くて可愛い子と一回でもセックスできただけいいじゃん。超羨ましい。ハゲてんのに。

 それはともかく、マクシムはこの後どんどん狂気に陥っていきます。心の内に抱えていたダークサイド(とイカの臭いと加齢臭)を解放し、ストーカーに変貌していく彼は、ひょんなことから手に入れた銃を手にして行動にでます。

 ここから先は、マクシムに対してあまり同情的に見ることができなくなっていきます。ほとんど悪役にしか見えません。

 以降はネタバレになるので詳しく書きませんが、結末は少し意外なものでした。大どんでん返しとかではないのだけど、「なんで?」という疑問が残ります。フランス映画なので、「なんでなんだろうね、まあ考えてみなよアデュー」ということなのかもしれないし、「女心は秋の空と阪神打線」ということなのかもしれません。

 とはいえ、面白くない映画ではありません。筆者は寝不足だったので何度か落ちかけましたが、マクシムのキモいダンスシーンで目が覚めました。

 最近失恋を経験した人、ユーロスペースで上映する映画が好きな人、年下女の子が好きな人、犬が好きな人、いい横乳が見たい人、ハゲ散らかってる人なんかは観てもいいんじゃないでしょうか。ギョーム・ブラック監督には今後も注目していきたいと思っています。