性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

2018年7月期ドラマを振り返る

久々にテレビドラマをちゃんと観た夏だった。いくつかは最終回をまだ迎えていないのだが、1話でも観たものを下記に列挙し、それぞれの適当な感想を綴っていく。

義母と娘のブルース

www.tbs.co.jp

1話切り。巷では「泣ける」と評判のようだったが、綾瀬はるかが演じる義母のキャラクターがあまりにマンガっぽい行動を取るのでついていけんわ、と思った(まあマンガ原作なんだけど)。この義母より綾瀬はるか自身の“変さ”みたいなもののほうがよっぽど面白い…って、そういう話じゃなかったか。無責任なことを言わせてもらえるなら、宜保愛子織田無道のブルースだったら面白かったかもしれない。本当に無責任だ。

 

健康で文化的な最低限度の生活

www.ktv.jp

1話切り。視聴率も良くないそうだが、世間の「ドラマでまで辛気臭い現実を直視したくない」という気持ちの現われだろうか。自分としてはそこよりも、吉岡里帆がこういう役をやるということへの違和感が大きかった。吉岡里帆は最近「ドジで健気な女の子」みたいな役柄が多いが(事務所の意向だろうか)、「カルテット」を観てしまったあとではそういった「ドジっ子健気」が全て嘘くさく見えてしまう。生活保護をくすねるぐらいのことはしてほしい…と思うのは自分だけだろうか。「カルテット」の功罪は大きい、やっぱり、と、結局人のせいにする。でもなんか、うまくいえないけど単純につまんないんだもの。

どうでもいいけど内場勝則が全国ネットのドラマに出ているということに一番驚いた。会社でその話をしたら「誰ですか?」と聞かれたので「未知やすえの旦那ですよ」と言ったらもう一度「誰ですか?」と言われた。依然、東西の断絶は深い。

 

恋のツキ 

www.tv-tokyo.co.jp

原作が大好きなので観ているが、どうにもマンガをただなぞっている感じがして最近は退屈に感じてきている。松本花奈とかが監督してたりアスペクト比シネスコにしたり川谷絵音を配役したりしていろいろ工夫はしてるんだけども、なんか物足りない。マンガは面白いです。

恋のツキ(1) (モーニングコミックス)

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探偵が早すぎる

www.ytv.co.jp

今期最大のダークホース。全然期待しないで観たら広瀬アリスのコメディエンヌぶりにやられた。……んだけど、第5話ぐらいで止まってる。録画したものをいずれ全部観るつもり。タイトルを観るとどうしても下ネタが浮かんでしまうが自重する。

探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)

探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)

 

 

GIVER 復讐の贈与者

www.tv-tokyo.co.jp

小林勇貴がメイン監督なので観始めたが、もう一つ乗れない。脚本の問題かも。吉沢亮は美しい。水橋研二久々に観た。あと無駄にエロいカットが多いので、そこは嬉しい。 

GIVER 復讐の贈与者 DVD BOX(5枚組)

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透明なゆりかご

www.nhk.or.jp

このクールでは一番面白い。ほぼ毎回泣かされている。特に第1話、それからイッセー尾形角替和枝が出てくる第6話はヤバかった。劇伴がいいのだが、ワルツ調の特に泣ける曲をここ最近序盤で使いすぎてて「さあ泣くとこやぞ」と言われてる気にもなってきた。

まあでもやっぱ、これがベストかな。瀬戸康史がこういう役もちゃんとこなせるということも発見。それにしても酒井若菜が清原果耶の母親役ということに衝撃を受ける。年齢考えれば不思議ではないのだが。

 

サバイバル・ウェディング

www.ntv.co.jp

意外と観続けている。波瑠が結婚できるかどうかはわりとどうでもよくて、伊勢谷友介の奇天烈なキャラクターとうんちく、それから愛されワンピこと奈緒のかわいさにやられた。でももう愛されワンピの出番終わったぽいな…。吉沢亮は美しい。風間俊介は出てくるとなぜかそのシーンだけサスペンスみたいになる。あと、なぜかエンディングテーマがムカつくんだけどなんでだろう。

サバイバル・ウェディング(文庫版)

サバイバル・ウェディング(文庫版)

 

 

高嶺の花

www.ntv.co.jp

僕は「101回目のプロポーズ」とか「高校教師」とか「人間・失格」のどんぴしゃ世代なんだけど、野島伸司のドラマは「聖者の行進」を最後に観ていない。あれは本当にひどいドラマだった(ふらぁいどぽてとぉ)。「高嶺の花」は第1話はそれなりに楽しめたのだけど、だんだんどうでもよくなっていった。石原さとみ演じる生花がすごい女(語彙がすごく貧弱になってる)がいつZARAはどこ?」と言うのか見ものだ。とか書いてたらもう終わってたわ。

高嶺の花 Blu-ray BOX

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dele

www.tv-asahi.co.jp

なんか映画っぽく撮ってるけどあまり興味が持てず、2話で切った。知人いわく「我慢して観てると途中からすごく面白くなる」とのことだが、録画データもうdeleしちゃったかも…。

 

この世界の片隅に

www.tbs.co.jp

たぶんそんなに悪くない作品なんだと思うけど、3話ぐらい観てからほったらかし。アニメのほうで大筋を知ってるからかもしれない。松本穂香よりも、伊藤沙莉が演じてるオリジナルキャラのほうが気になる。あと、アニメのほうが「ドラマとは全然関係ない」って宣言したことについてはどうなってるんだTBS。

この世界の片隅に Blu-ray BOX

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ヒモメン

www.tv-asahi.co.jp

設定は面白そうだと思ったのだけど1話でもういいやってなった。

ヒモメン Blu-ray BOX

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青と僕

www.fujitv.co.jp

寛一郎の顔の形が気になってストーリーが途中でわからなくなった。池田エライザのセーラー服というのは新鮮でいいんじゃないでしょうか。

 以上振り返ってみて、いかに自分がドラマをちゃんと観る忍耐力がないか浮き彫りになってしまった。映画なら最初の15分ぐらい我慢すれば面白くなったりもするのだけど(とはいえ面白い映画はほとんどの場合最初から面白い)、1時間のドラマを数本も観て「そのうち面白くなるかな」と期待するのはつらい。

とりあえず10月期で確実に観るのは前にこのブログでも触れた「中学聖日記」と、

notesleftbehind.hatenadiary.com

野木亜紀子が脚本を書くオリジナル作品の「獣になれない私たち」ってとこかな。

www.ntv.co.jp

つーかこのドラマにも田中圭が出ている。「おっさんずラブ」以降の躍進たるやすさまじい。ビル・パクストンかお前は、というぐらい顔を見る。しかもこれにも伊藤沙莉が出ている。おまけに小林勇貴の映画で知った一ノ瀬ワタルまで出ている。どうなるんだこのドラマ。すごく楽しみだぞ。

『ザ・プレデター』について

www.foxmovies-jp.com

※少しネタバレあるので、未見で三度の飯よりプレデターという人はご注意を

プレデター』と『エイリアン』どっちが好きかっつったらもう、それは断然『エイリアン』です。『エイリアン』は全作観てるけど『プレデター』は『2』までしか観ていません。やっぱりエイリアンのほうが、クリーチャーとしての造形があまりにも秀逸すぎるということがその理由の一つではあります。え、AVPなんですか、それ?

シュワルツェネッガーが出ていた第1作は小学生の時に父親が借りてきたレンタルビデオで観たんですけど、そりゃあもう怖くて。皮を剥がれた死体、犠牲者(ちなみに、演じていたのは今作『ザ・プレデター』の監督シェーン・ブラック)の内臓、鮮血がカメラに飛び散る演出とか、いたいけな子供だった自分にはかなり刺激が強い映像のオンパレードだったんですよね。これと『ロボコップ』を観たことで、かなり鍛えられた気はします。もっとほかの部分を鍛えておくべきだったような気がしないでもないですが。

プレデター(字幕版)

プレデター(字幕版)

 

さて今回の『ザ・プレデター』、シュワルツェネッガーが出ないのはまあ仕方ないかなとは思ったものの、やっぱりシェーン・ブラックが監督するって意味でかなり期待してたんですよ。『アイアンマン3』も『ナイスガイズ!』も、大好きってわけではないけどよくできた映画でしたから。

アイアンマン3 (字幕版)

アイアンマン3 (字幕版)

 
ナイスガイズ!(字幕版)

ナイスガイズ!(字幕版)

 

出演者も『ローガン』で極悪な役やってたボイド・ホルブルック(イケメンだからこの人今後売れるだろうなと思った)とか、『ルーム』の怪物子役ジェイコブ・トレンブレイとか、けっこう豪華だなと。一部界隈では「プレデター(笑)」だった当シリーズを立ち直らせてくれるんじゃないかな、と期待して観たんです。

ところがアメリカでの評価は芳しくなく、Rotten Tomatoesでは批評家からのスコアも低くて、あまり期待しないほうがいいなと思ってました。

www.rottentomatoes.com

Rottenと自分の好みが必ずしも合うとは限らないんですけど、やっぱり気になる指標ではあるんですよね。で、日本公開日を迎えたらTwitterではわりと賛否両論ぽい雰囲気。「このプレデターを作ったのは誰だぁっ!!」という某美食家のような意見もあれば「ほー、いいプレデターじゃないか。こういうのでいいんだよ、こういうので」という某個人輸入貿易商的なつぶやきも目にする。

そして観てみた結果…。

想像のはるか斜め上を行くバカ映画に仕上がっておりました。

序盤、アラン・シルヴェストリが作曲した第1作のメインテーマが流れるところではテンションが上がるわけですよ。シュワちゃんはいないけどやっぱりあのテーマ曲は脳裏にこびりついてるから、「いよっ待ってました!」と胸がいっぱいになる。「第1作の正当なる続編」と銘打つだけのことはある。主人公クイン・マッケナとその愉快な仲間たちの出会いも、「まあこういう軽いノリもありかな」という感じで悪くない。

ところがプレデターがなんか白っぽーい研究所で捕まってるシーンあたりから雲行きが怪しくなるんですよね。えっと、いくらなんでもこんな凶悪な生物をそんなぬるい拘束で封じ込めておけるわけなくね?っていう。案の定、寝起きのプレデターに科学者連中が惨殺されるというどこかで見たような展開が繰り広げられるわけですが、まあいいですよ。細かいことをそんなに気にするべきシリーズじゃないと思うし。

ところがクインと愉快な仲間たちが軍の護送バスを乗っ取ったあたりから、いろんなことがグル◯ポンのおせちみたいに雑になっていくんですよ。例えば、「息子に銃撃戦は見せない」とか言ってた主人公が、終盤では息子の前であっさり人間をぶち殺して(しかもそんなに悪いことしてた感じでもない)開き直ったり、人間vs人間というよくある構図が見えてきたときに、悪だと思ってたやつと主人公が突然「決着は後でな」と馴れ合ったりとか、どう考えても途中の展開がすっぽ抜けてるとしか思えないようなガタガタなシークエンスの組み立てとか、とにかく首を捻らざるを得ない変な話運びになっていて。どういうことなのか調べてみたら、こういう事情があったようなんですね。

front-row.jp

ほかにも、愉快な仲間たちがけっこう残酷に人間を殺してたりして、シェーン・ブラックからしたら「全部ギャグだから」っていうことなのかもしれないけど、悪趣味の質でいうと例えば『デッドプール2』のそれよりは確実にレベルが低いと思うんですよね。『デッドプール2』はすれすれでポリコレ弾をかわしてる気がするけど、『ザ・プレデター』はほとんど弾当たってるから。それこそ予告編で見たデップーとケーブルのやり取りかよっていう。

ただですね、だからこの映画がクソつまんなかったかっていうと実はそうでもないというか。もう研究所のシーンあたりから「第1作の感覚で観るのはやめよう」と決めたのがよかったようです。確かにブラックジョークが滑って単に不謹慎っぽくなっちゃってるところもあるけど、クインと愉快な仲間たちが繰り出す会話は面白い。それこそ『ナイスガイズ!』を思わせるような軽妙な笑いです。だから、観てるとちょっとこいつらが好きになってくる。まあ正直、その「好きになっちゃったあいつらがこんな目に…」っていう悲壮感がなさすぎるもいかがなものかと思ったけど…。

ここでいいところを並べていくつもりだったんだけど、やっぱり文句ばっかり言いたくなってきました。だから文句を書いていきます。ジェイコブ・トレンブレイが演じる少年の設定がなんかよくわからない。発達障害を持ってるらしいんだけど、いつの間にかプレデターの言語とか理解してそうな雰囲気がありましたよね。天才にするならするでいいんだけど、そう見せるための布石を置いてないから(あるいは置いてたけど性犯罪者のせいで全部吹き飛んだか)、「え、なんなのこのガキ!?」って思ってしまう。はっきり言ってジェイコブ・トレンブレイの無駄遣い。あと今更これを言うのもなんだけど、でかいプレデターがザコは瞬殺してるのにクインとか生物学者?の女だけは「ぶん投げる」だけって、なんやねんそのえこひいきは。それからこれはアクション映画の悪しきあるあるだけど、暗い画面でいろんなことをごまかそうとするのはやめてほしい。何やってんのかよくわかんない。

そんで最後の取って付けたようなあのシーン、なんなのか一体。どういうことやねん。もうシェーン・ブラックはヤケになってしまったのか。「プレデター(笑)」な現代の若者たちに対して「かわいそうに。つまらないプレデター(ズ)しか観たことがないんだな」と山岡士郎ばりにのたまい(※想像です)「究極のプレデター」を見せるはずがこれかよ。大体あの「ヤマダ・ヒロシ」ってなんだよ。松崎しげるが突然出てくるからビックリしたわホンマ。

いやいやでもね、本当にね、つまんなかったかっていったらそんなことないんですよ。なぜか見てて飽きはしなかった。少なくとも同じ日に観た『プーと大人になった僕』よりは楽しめたのは確かなんです、これが。なんでここに来て擁護してるのか自分でも全然意味がわかりませんけど。アルバトロスの映画を観るような感覚で行けばそんなに腹が立つことはないんじゃないかと思いますよ(鳥山明の例のコピペ貼ろうと思ったけどめんどくさいからやめた)。

The Predator: The Official Movie Novelization

The Predator: The Official Movie Novelization

 

『響 -HIBIKI-』について

www.hibiki-the-movie.jp

いやー、正直全然期待はしてなかったんですけど、わからないものですね。『響 -HIBIKI-』、ハッキリ言ってめちゃ面白かったです。

原作は柳本光晴という方の『響〜小説家になる方法〜』というマンガなんですけど、この作品自体は気になってたんですよ。なんせ小説家の話をマンガでやるっていうのがね、例えば既存の作家の伝記とかならまあわかるんですけど、まったくのオリジナルキャラとストーリーで成立させてしまっている(らしい)ところが面白いなと思って。

ただ東宝が映画化すると知ったときは「ま〜た人気原作ものか」と感じて、あんまりいい印象はなかったんです。監督の月川翔は『きみの腎臓を売りたい』だか『きみの大腸を洗浄したい』だか『早く人間になりたい』だかのイメージが強くて、まあそつなく無難にまとめるタイプの人なんだろうと。*1

でもこの「観ないで判断」っていうのがいかに危険なことなのかよくわかっているつもりでも、どうしてもやっちゃうんですよね。しかも、この「観ないで判断」っていう安易な行動が『響 -HIBIKI-』の劇中でもばっちりぶった切られたりするもんでね、もう未婚出会えない映画おじさんとしては反省しきりなわけです。

例によって雑に説明すると、とんでもない文才を持つ15歳の少女・鮎喰響が、そのエキセントリックな言動で周囲の人間を巻き込みながら文壇に革命を起こしていく、というのがこの映画のあらすじ。具体的にどうエキセントリックなのかというと、「高校で入った文芸部にたむろってたヤンキー先輩の指をブチ折る」、「そのヤンキー先輩に再び因縁をつけられたときに落とし前をつけようとして本当に学校の屋上から落ちる」、「文芸賞の授賞式でほかの受賞者の頭を桜井広大パイプ椅子でぶん殴る」と、もうほとんど狂人レベルです。

映画の冒頭はですね、正直あまりいいと思わなかったんですよ。GoPro的なカメラを使って、響が書いた原稿の行方を追うっていうショットなんですけど、はっきり言ってダサい!と思い、いきなり不安になったんです。ところが、響を演じる平手友梨奈の顔を見たときに「あぁ、これは大丈夫なんじゃないか」と思わされてしまう。ここで、この映画を観ようと思った最終的な決め手に触れておきたいんですけど、それはもうこの平手友梨奈という映画初出演にして初主演の女優なわけです。

原作の響ってほっそりしていて、いかにもまあ文学少女といった感じがするんですけど、平手友梨奈は丸顔でもっとふっくらしている。原作原理主義者からしたらこれだけで気に入らないのかもしれないけど、原作未読の僕としてはもうそんなことはどうでもいい。目ですよ、平手友梨奈の目。彼女のあの強烈な目力。これが、原作の響と同等、あるいはそれ以上の“主人公力”みたいなものを体現していて。正直、この映画の予告とかポスターとかを見るたびにですね、平手友梨奈さんに圧をかけられてる気がしてたんですよ。「観るわよね、この映画」って。

要するに、この映画はもう平手友梨奈様を主演に据えた時点でもう勝ちだったと思うんですね。すでにいろんなところで言われてるけど、鮎喰響という主人公と平手友梨奈様の存在がほぼダブってくるというか、この現象は一種のアイドル映画としても大成功なんではないかと。こんなこと言うと、お前もともと平手友梨奈とか欅坂46のファンだったんだろと言われるかもしれませんけど、断じてそんなことはありません。アイドル全然知らないんで。なんせ今この文章書いてて「欅坂のあとって46だっけ、48だっけ」って考えちゃったぐらいですよ。

この映画を観たあと、平手友梨奈様が出てるコスメかなんかの広告写真を観たんですけど、そんなにいいなあとは思わなくて。普通に笑ってる写真とか見ると「あ、そんなに笑わなくていいから!」と思ってしまう。映画でも動物園に行くシーンがあって、たぶんそこは素で楽しんでるところにカメラを向けたんでしょうけど、もうアルパカとかキリンとかも全部無表情で見つめてほしかったぐらい。この仏頂面なキャラクターのイメージがあまりに固定しすぎるとそれはそれで今後の女優業に支障が出て大変そうな気がしますが、本当に唯一無二な存在感のスターが出てきたなと思っています。

残念なところを挙げるなら、いろんな原作のエピソードをかき集めた結果、例えば柳楽優弥みたいな存在感のある役者の出番がちょっと少なくてもったいないなあと思ったところかな。まあこれは2時間で映画化しようとすると致し方ない気も。

あと小栗旬野間口徹の役は、少し前だったら逆にキャスティングしてそうですけど、そうではないところがいいですね。小栗旬みたいな、ほぼ若頭みたいな位置を日本の芸能界で築いている人と、ほぼド新人の鉄砲玉みたいな平手友梨奈様をこういう形で対峙させるって、これはなかなか意地悪で気の利いた配役じゃないですか。

この日はこの『響 -HIBIKI-』のほか『プーと大人になった僕』『ザ・プレデター』を観たんですけど、一番期待してなかった『響 -HIBIKI-』が一番面白かったですね。実は『累-かさね-』(これも結構評価高い)と迷ってたんですけど、時間の都合上『響 -HIBIKI-』にしました。東宝の実写化企画って敬遠しがちなんですけど、やっぱり全部が全部どうでもいい映画ってこともないんだなと痛感しました。先入観を持たずに観ないと平手友梨奈さんに指をブチ折られるので、今後気をつけることにします。原作も読んでみます。あ、最後に、伊藤ゴローさんのエレクトロニカっぽいダークな音楽もよかったです。『恋は雨上がりのように』(こちらは映画のできはあまりいいとは思えなかった)でもいい仕事してましたよね。

映画「響-HIBIKI-」オリジナル・サウンドトラック

映画「響-HIBIKI-」オリジナル・サウンドトラック

 
小説 響 HIBIKI (小学館文庫)

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*1:すみません、今度Prime Videoで『君と100回目の恋』観ます。あと無料になったら『君の膵臓をたべたい』も観ます

樹木希林について

樹木希林について、実はそれほどのことは知らない。彼女を「名優」として本格的に意識した最初の作品は、長嶋有の小説が原作の映画『サイドカーに犬』だ。 

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どういうシーンだったか詳しくは覚えていないが、確か樹木希林がくしゃみか何かをする場面があって、そのタイミングが絶妙すぎて爆笑したのを覚えている。映画『サイドカーに犬』といえば、もうこのシーンの印象しかない。

本格的に「樹木希林やべえ」と思い始めたのは、是枝裕和の『歩いても 歩いても』だ。映画を観た人ならわかると思うが、阿部寛の母を演じた樹木希林がぽつぽつと“本音”を語るシーンは下手なホラー映画より怖い。

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とはいえこのシーンの樹木希林は、別にものすごい形相を浮かべているわけでもないし、セリフに力が込められているわけでもない。どちらかというと淡々としたセリフ運びだ。しかしここには、ずっと長い間、ある“わだかまり”を抱えつつも表面上は平静に生きてきた母親が内に秘める恐ろしい情念が濃縮200%で表現されている。

以前Netflixで『男はつらいよ フーテンの寅』を観ていたら、主人公の寅次郎が働く旅館の仲居役で妙に存在感のある若手女優が出ていた。この人、特に何か目立つことをやってるわけでもないのになんだか面白いな、誰なんだろうと思ってクレジットを見ると、悠木千帆という名前がある。これは樹木希林の旧芸名だ。この時点で彼女は27歳ぐらいなのだが、すでに唯一無二の存在感がある。

そんな、ほとんど畏怖すべき存在でありながら、樹木希林には「隣の家の女の子」ならぬ「隣の家のおばあちゃん」的な親しみやすさもある。『となりのトトロ』を初めて観たとき、北林谷栄が演じる老婆を見て「このばあちゃん、俺知ってるな」と思ったのだが、樹木が演じる老婆も自分にとってはまさしくそういう存在だった。樹木の演技には母親の慈愛も祖母のおおらかさも、そして母や祖母が持つ怖さ(それは男親の単に暴力を振るうとかそういうものとはまったく質の違った怖さ)も漂っていた。

彼女の死は、先日倒れて一時危篤状態に陥ったという報を受けたときになんとなく予感していた。そして実際に亡くなってしまった今、僕の胸に去来するのは2人の祖母を亡くしたときに経験したものと似た感情だ。なぜか、そうした個人的な思い出と、樹木が出演していた映画のワンシーンの記憶はどこかでつながっている。僕は樹木希林を舞台挨拶などでしか見たことがない。話したことはない。それでもどこかで、自分は彼女と何かを共有したような気がする。本人にそんなことを話したら「何言ってんの、あなたのことなんて知らないわよ」ときっと言われるんだろうけど。

SWITCH Vol.34 No.6 樹木希林といっしょ。

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『愛しのアイリーン』について

新井英樹による原作を、映画を観終わってから読み始めたところです。個人的にはこういう絵柄は苦手なんですよね。僕は絵柄によってマンガの好みを左右されがちなんです。基本的に、女の人をかわいく描けない(もしくは描かない)マンガ家は好みじゃない。そのわりに宮下あきらの『魁!!男塾』はぼちぼち読んでたけど。というかあのマンガはそもそも女の人が全然出てこなかったような気もするな…。

しかしマンガ好きの間では新井英樹ってほぼ伝説化している人で、気にはなっていたんです。この『愛しのアイリーン』は映画化されるまで全然知らなかったんですけど、監督が吉田恵輔と聞いて興味が湧きました。

愛しのアイリーン[新装版] 上

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愛しのアイリーン[新装版] 下

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ド変態な天才・吉田恵輔

吉田恵輔はもともと塚本晋也の作品に照明スタッフとして参加したりしつつ、2006年に『なま夏』で監督デビューした人。僕は未見なんですが、蒼井そらが出てます。

なま夏 [DVD]

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自分が初めて観た吉田監督の映画は、宮迫博之仲里依紗が父娘役で共演した『純喫茶磯辺』。この映画にはヒロインとして麻生久美子が出てるんですけど、彼女が「私、ヤリマンなんです」と言うシーンがあって、これが強烈だったんですね。今思うと、そこそこゆる〜い雰囲気のドラマが進行する中でこういった際どいセリフやシーンでドキッとさせる作風はすでに確立されていたんだなと。「私、ヤリマンなんです」って、浮かびそうで浮かばないセリフですよ。

純喫茶磯辺 [DVD]

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そのあと観たのが確か『さんかく』。小野恵令奈の健康的なエロスをスケベオヤジ丸出しの感覚で撮りながら、田畑智子の怪演を存分に引き出す演出テクニック。全体的にはコメディでありながらどこかホラー色もあって、この監督は只者じゃないなと認識するに至りました。 

さんかく

さんかく

 

そのあとに少しさかのぼって観たのが初期作品の『机のなかみ』なんですけど、これがまたド変態丸出しの映画で。よくこんなこと考えるな、というか、考えたうえにそれをシーンとして実現できるな…脚本見せたときに白い目で見られる(主に女性)こととか気にしないんだな…鉄のハートだな…と思ったものです。

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その後の『ばしゃ馬さんとビッグマウス』『麦子さんと』はどうもこの監督の毒気が抜けてしまった気がしてもう一つと思っていたんですが(『銀の匙』は未見)、森田剛を主演に迎えた『ヒメアノ~ル』はすごかったですね。エロとユーモアを残しながらも、強烈なホラー演出が全開。『さんかく』で垣間見せた(もしかして『なま夏』でもかな?)狂気が大爆発した怪作になっていながら、少しせつない余韻も残る傑作になっていました。

ヒメアノ~ル 豪華版 [Blu-ray]

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ただ、その次の『犬猿』はもうひとつで。中盤まではよかったんですけど、後半の展開がちょっとぬるいなと感じたんです。たぶん吉田監督って変態で鬼畜でもあるけど、優しいところもあるんですよね。そこをよしとするか否かは人にもよると思いますけど。

犬猿 [Blu-ray]

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で、今回の『愛しのアイリーン』なんですが、雑に説明するとストーリーはこんな感じです。

地方に住む40過ぎのモテない男・岩男がフィリピンで花嫁を“買って”地元に戻ってきたところ、過干渉な母親から猛反対を受け、妻のアイリーンにも愛されずに苦しむ。

ビジュアルの再現度などどうでもよくなる絶妙なキャスティング

原作の岩男はとんでもない大男なんですけど、演じるのは安田顕。母親のツルも原作では強烈なビジュアルですが、映画では木野花が演じています。アイリーンはオーディションで選ばれたナッツ・シトイというフィリピン人女優なんです。

はっきりいって安田顕木野花も原作の登場人物にはまるで似ていないんですけど、映画を観るとすんなり腑に落ちる。原作の岩男とツルというのはマンガ的にカリカチュアされた結果ああいうビジュアルになっているだけで、安田顕木野花も、それぞれの演じるキャラクターの持つ怪物性や悲しさを演技でもって120%表現できているように思えました。

安田顕という人はなかなか端正な顔をしているのにどこか変態で危ない匂いもあるんですよね。『俳優・亀岡拓次』でもそうでしたけど、モテないはずはないんだけどモテない役をやっても無理がない、という絶妙な人なんです。しかも彼が演じることで、岩男の怪物性は良い意味で少し中和されている。「お゛ま゛ん゛ごーーー!!!」と岩男が絶叫するシーンが出てくるんですけど、マンガと比べると映画でのこのシーンは、安田顕が演じていることもあってかコミカルさが強調されていて、笑ってしまいました。

ツルを演じた木野花の怪演もすごかったです。いろんな映画で顔は見ているものの、なんとなくこんな顔で…というぐらいの認識だった人が恐ろしいババア演技を見せたときのインパクトたるやすさまじい。これぞ「ナメてた相手が殺人マシーンでした」的展開で、この映画を観た観客の頭にはおそらく木野花という名前が深く刻み込まれることでしょう。

そしてナッツ・シトイなんですが、この人をオーディションで見つけた時点でほぼこの映画は成功していたといえるのではないでしょうか。彼女が一番原作に近い容姿をしているし、天真爛漫かつしたたか、というアイリーンのキャラクターにも見事に合致しています。実際の性格は知らないけど。決して美人ではないし、体型も幼児的。でも、もし彼女ではなくて、岩男たちが行くスナックで働くフィリピン人ホステス役のディオンヌ・モンサントがアイリーンを演じていたら、それは100%間違いです。ナッツ・シトイが絶妙すぎるんですよ、はっきり言って。あっ、かわいいかな?んー、そうでもないかな…。あれ、やっぱりかわいい?んん?みたいな。ほんと、こんな人よく見つかりましたよ。劇中で岩男が苦労してアイリーンを見出したように、吉田監督たちもフィリピンでナッツ・シトイを見出したっていうことが面白いですね。

桜まゆみとは何者か

この3人がそろったことでほぼ映画は成功に導かれたも同然だと思うんですけど、僕が気になったのは、ツルが無理やり岩男と結婚させようとする琴美役の女優ですね。桜まゆみさんという方なんですけど、この人もまた絶妙なんですよ。すごい美人というわけじゃないんだけど、なんかこう翳りのあるエロさっていうんですかね、そういうものがすごく漂っていて。熟れてるわけじゃないが青いわけでもないっていう。彼女がパンツを見せるシーンがあるんですけど、このパンツの形とか色がまた絶妙。このくだりを読んだ女性読者が何人か二度と当ブログを訪れなくなることが予想されますが、ここに触れないわけにはいかない。吉田監督の「わかってる感」はすごいですね。なんていうんだろう、同じようなAVを観続けて「はいはい知ってた知ってた」と思っていたところに、特に奇を衒っているわけでもないのにやけにエロい動画に出くわすっていうのがあるじゃないですか、あれに近い不意打ち感(ここまでで女性読者が8人ぐらい減ったと予想)。しかも終盤にも、彼女が登場するとんでもないシーンがあるんですよ。悲しさと怖さとエロさとおかしみが一気に襲ってくるような場面が。映画でモザイク見るのなんて初めてかも。ぼかしは見たことあったけど。

結果的にメインの3人より脇の桜まゆみに一番長く言及しているという体たらくですが、これはまあ単純な性癖みたいなものなのであまり気にしないでください。でも公式サイト、彼女の名前はちゃんと載せるべきじゃないですか? ちょっと扱い軽すぎやしません?

母親という名の妖怪、決して対岸の火事ではない岩男の地獄

岩男、42歳。妻も恋人もおらず、AVで自慰にふける毎日。おそらく彼はツルが自分の自慰を盗み見ていることには感づいているでしょう。しかしもう、そんなことはどうだっていいというぐらいに彼の心は壊れてしまっている。本当は実家を出て都会にでも行けばいいところなんですけど、そういう発想はない模様。過干渉な母親を疎ましく思っているようでいて、結局は自立できない彼の悲しい境遇が見えてきます。

僕の母親はここまで過干渉ではないですけど、男ならたまに感じることがあるんじゃないでしょうか。オカンにどうしても勝てないと思う一瞬があることを。うちの母親なんか活字を読んだ瞬間5秒で睡魔に襲われる特異体質の人間ですし、「『恋空』観た?感動して泣いちゃった」とメールしてくるような女ですし、もし同級生なら「なんだこいつ」な案件なんですけど、時折不気味な勘のようなものを働かせるんですよね。『僕だけがいない街』で、妙に洞察力の高い母親を主人公が妖怪呼ばわりする場面が出てきますけど、あれよくわかります。母→娘でもそうなのかもしれないけど、本当に気味が悪いぐらい勘がいい。まあ自分の体から出てきた存在なんですからね、そりゃあそれぐらいのことはわかっても不思議ではないのかもしれない。母親とはまったくもって不気味な存在で、この作品のツルには母親という得体の知れない存在への畏怖と崇拝が込められているのかもしれません。

まあでもね、岩男は対岸の火事じゃありませんよね。僕も来月で40歳になるし、さすがに親とは暮らしていないですけど岩男を笑えるような充実した人生は送っていません。さすがにフィリピンに嫁を買いに行こうとまでは思わないし、道端で「お゛ま゛ん゛ごーーー!!!」と叫ぶこともありませんが、心の中では叫んでいる気もします。心が叫びたがってるんだ。人はお゛ま゛ん゛ごがら゛生ま゛れ゛、男はお゛ま゛ん゛ごを゛夢見る。この記事を出した結果、100人いる読者が87人ぐらいに減っているような気がしますが。

吉田恵輔にロマンポルノを撮らせるべき

さて、原作のほうはまだ読んでいる途中なんですが、映画を最後まで観ると、このお話の主人公は結局誰だったのかな?といい意味で少し考えてしまいます。ちょっと『犬猿』の終盤みたいに感傷的な方向に流れそうになるんだけど、今回はギリ踏みとどまっている感じ。奇妙礼太郎が歌うエンディングテーマが切なく響く中、やっぱり吉田恵輔は変態だな、普通ハ◯潮とかいちいち映画で描く?これ原作にあるの?と反芻しながら。ちょっと前ににっかつロマンポルノのリブート企画がありましたけど、なぜ吉田恵輔にオファーがいかなかったんですかね。またリブートするなら、絶対彼にオファーをかけるべきだと思いますよ。