読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『ネオン・デーモン』を観た

外国映画

f:id:q050351:20170115002737j:plain

gaga.ne.jp

誰もが目を奪われる特別な美しさに恵まれた16歳のジェシーは、トップモデルになる夢を叶えるために、田舎町からロスへと やって来る。すぐに一流デザイナーやカメラマンの心をとらえるジェシーに、激しい嫉妬を抱くライバルたち。ジェシーに仕事を奪われた彼女たちは、常軌を逸した復讐を仕掛け始める。だが、ジェシーの中に眠る壮大な野心もまた、永遠の美のためなら悪魔に魂も売り渡すファッション業界の邪悪な力に染まっていく。(公式サイトより)

 TOHOシネマズ新宿で鑑賞。音がでかくてよかったです。川崎のチネチッタのLIVE ZOUNDも良さそうだから試してみたい。

 ↑にあらすじを引用しましたけど、中盤あたりからぶっちゃけストーリーの整合性とか意味とかどうでもよくなります

 ニコラス・ウィンディング・レフン監督の前作『オンリー・ゴッド』を観てる人ならそこまで驚かないと思います。でも『ドライヴ』だけのイメージで観に行ったら面食らうでしょうね。僕はすでに『オンリー・ゴッド』のカラオケシーンで面食らっていたので、免疫ができていました。ちなみに同作は僕の2014年ベスト10の10位です。

 レフン監督の作品の中ではむしろ『ドライヴ』が異色で、『オンリー・ゴッド』や『ネオン・デーモン』がまさに彼の真骨頂かと。カンヌでも評価が真っ二つに分かれたそうですし、海外でもあまりお客は入ってないようです。確かに、彼の映画は人を選びます。万人受けする作風ではないでしょう。僕の周りでは僕自身を含め好きな人がけっこういるんですけど。みんな変態、あるいはキ○ガイなんですかね。

 ただ、レフン作品を観たことがない、あるいは『ドライヴ』しか観たことがないという人には『ネオン・デーモン』を観てほしいです。ゴア描写は『オンリー・ゴッド』ほどではないし、今回はカラオケもありません(意味がわからない人は『オンリー・ゴッド』観てね)。それで、合わなかったならもう金輪際観なければいいし、好きなら今後もレフン監督に注目してみてはどうでしょう。

 『ネオン・デーモン』は、レフン監督がある朝目覚めたときに自分の嫁はんの顔を見て「なんて美しいんだ。それなのに俺ときたら…」と嫉妬の念に駆られたことがきっかけだそうです。なんだ、ノロケかよ。でも彼の言ってることはわからないでもないですね。僕も「あぁ、美少女っていいな。美少女に生まれ変わってみたいな」と思ったことがありますし。それに、レフン監督は「男というものは誰しも、自分の中に10代の女の子を宿しているものなんだ」とも言っていて、これもまあなんとなくわかる。でもこの映画の中では、そんな憧れや崇拝の対象でもある美少女たちのどす黒い一面ががっつりと切り取られていきます。

 そもそもねえ、エル・ファニング演じる主人公のジェシーが「私は可愛いからそれで一旗あげようと思った」って堂々と言うんですよ(字幕うろ覚え)。クリスティナ・ヘンドリックス(『ドライヴ』で頭ぶっ飛ばされてた人。ムチムチ)演じるモデル事務所の社長?の前ではなんか自信なさげなんだけど、ちょっと童貞っぽいフォトグラファー志望の男の子には「私は可愛いから」とか堂々と言うんですよね。向こうではこれが普通なんかな?とも思ったんですけども、この時点でこいつただのウブなねーちゃんじゃねえなと。というかそもそも「デルモ(死語)になって一旗あげる」って、16歳でLAに出てくる時点でもう相当なタマですよこれは。

 エル・ファニングはあんまりスーパーモデルって顔つきじゃないんですけど、あえて彼女を選んだのは、劇中にも出てきますけど人工的な美貌ばかりが追求される現状へのアンチなのかもしれませんね。でもねえ、ファッションデザイナーのおっさんがジェシーを見たときだけ顔が「はぁっ!」ていう感じで変わるところはちょっとわかりやすすぎで笑いそうになりましたよ。わざとやってんのかなってぐらい。「ダイヤの原石見つけたで」っていう、モロな顔ですからね。

 ジェシーが泊まってるモーテルの管理人?をキアヌ・リーヴスが演じてるんですけど、こいつがもうドのつく嫌なやつで最悪、いや最高でした。そしてジェシーがこのモーテルで“あるもの”を目撃するところから、この映画のキ○ガイぶりは加速していきます。『オンリー・ゴッド』もそうだったけど、現実と悪夢の境目が曖昧になっていくというか、映画全体のおとぎ話感が増していく。“あるもの”はジェシーの内面を具現化したものなのかもしれません。

 で、ジェシーは、『マッドマックス:怒りのデス・ロード』にも出てたアビー・リー演じるサラを蹴落としてランウェイを歩くことになります。ここでエル・ファニングが見せるびみょ〜〜〜〜〜なドヤ顔。これがいいですね。ほんと、やりすぎない絶妙なドヤ顔なんですよ。しかしその後、予告編にも出てきますが、仕事取られて激おこなサラがトイレの鏡をぶっ壊し、結果的にその破片でジェシーは手を切ってしまいます。つかここ、観たときはサラにやられたのかと思ったけど。

 ちなみに鏡はこの作品の中でものすごく多く出てきます。あまりにも鏡が多く出てくるので、途中からこの物語は鏡の向こう側で起きている幻想なんじゃないかと思ってしまうぐらい。ジェシーたちはモデルですから、鏡と向かい合うことが多いわけですよね。でも人間って、そんなふうに自分の姿をずっと見つめ続けているといつしかおかしくなってしまうんじゃないでしょうか。美しくても醜くても、人っていうのはあまり自分自身というものを視覚的に認識しすぎないほうがいいんじゃないかと思うんですよ。今思いついたんですけどね、適当に。たまに、鏡とか写真を見ていると「あぁ、自分ってこんな顔してるのか。不思議だな」と思うことはありませんか? たまに見るぐらいだったら「不思議だな」で済むものも、あまり行き過ぎると狂ってしまうんじゃないか、僕はそう感じてしまうんですよね。

 映画の後半では『ネクロマンティック』的な展開もありますしカニバリズムも出てくるわで、もう変態にとってはいたれりつくせりみたいな状況になってくるんですけど、撮影は全体的にとても美しいです。レフンが色盲であることにも起因するヴィヴィッドな色調。『ドライヴ』『オンリー・ゴッド』でもそうですけど、今回もすごいです。でも今回は、スタジオでジェシーが初めて撮ってもらうシーンで、真っ白なバックも登場するんですよね。ここはちょっと新鮮でした。ヴィヴィッドなシーンについてはダリオ・アルジェントの『サスペリア』との類似を指摘する人もTwitterにいたりして、なるほどなと思いました。さっき観たんですけどね『サスペリア』。

 全然意味わからんわ、とか雰囲気映画、とけなす人がいるのもわからないではないんですけど、今回の作品も僕は好きです。正直に言えば、ラストはもっとイカれててもいいんじゃないかな、まだまだいけるんじゃないかと思わなかったこともないですが。観ようと思っている人に伝えたいことは、あんまり頭で理解しようとするなということ。ただ感じろ、ということです。僕は開始30分ぐらいで「物語のつじつまはどうでもいいや」と思いました。

 ちなみにレフンは今、日本を舞台にした映画の構想を練っているらしくて、あるヤクザの親分を暗殺することになった口の利けない男が主人公らしいです。タイトルは「The Avenging Silence」だそう。『オンリー・ゴッド』以降興収的にはコケてるので先行きが心配ですが、ぜひ実現させてほしいですね。 

2016年映画ベストテン!+2017年に公開される期待の映画

外国映画 日本映画 映画ベストテン

 今年も明日で終わり、ということで2016年ベストテンです。

 とりあえず過去のベストテン↓

notesleftbehind.hatenadiary.com

notesleftbehind.hatenadiary.com

 2014年は46本、2015年は47本観たわけですが、今年2016年の鑑賞本数は65本でした。20本ほど増えたものの、今年の上映作品リストを観ていると「あれを観てない、これも…」と思うものが多く。

 とりあえず65本のリストです。

ブリッジ・オブ・スパイ
イット・フォローズ
ザ・ウォーク
サウルの息子
俳優 亀岡拓次
オデッセイ
キャロル
X-ミッション
ヘイトフル・エイト
ロブスター
セーラー服と機関銃 −卒業−
マジカル・ガール
リリーのすべて
ちはやふる −上の句−
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
リップヴァンウィンクルの花嫁
ルーム
さざなみ
モヒカン故郷に帰る
ボーダーライン
スポットライト 世紀のスクープ
レヴェナント:蘇えりし者
ズートピア
アイアムアヒーロー
追憶の森
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
64−ロクヨン−前編
ディストラクション・ベイビーズ
海よりもまだ深く
ヒメアノ~ル
デッドプール
FAKE
エクス・マキナ
裸足の季節
64−ロクヨン−後編
帰ってきたヒトラー
クリーピー 偽りの隣人
レジェンド 狂気の美学
ふきげんな過去
日本で一番悪い奴ら
シング・ストリート 未来へのうた
トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
シン・ゴジラ
君の名は。
スーサイド・スクワッド
レッドタートル ある島の物語
映画「聲の形」
怒り
オーバー・フェンス
ハドソン川の奇跡
SCOOP!
ジェイソン・ボーン
淵に立つ
永い言い訳
何者
手紙は憶えている
ぼくのおじさん
ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
この世界の片隅に
ミュージアム
ブルーに生まれついて
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
ドント・ブリーズ
アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
14の夜』

 この中には劇場で観ていなくて、DVDで鑑賞したするものもあります。このブログで感想を書いていないものもチラホラあったり。ではいざ今年のベストテン。の前に、番外編をひとつ。

 

おまけ『最後の追跡』

 Netflixでしか観られないっていうのと、さっき(現在12/31 AM1時過ぎ)観たのであんまり詳しく書く時間がない(明日朝早い)のでささっと。完全にスルーするのはもったいないってぐらい面白かったんですよ。すごく渋くて、でも銃撃戦もあり、ユーモアもありっていうおいしい映画。現代風西部劇とでもいうのかな、わかりやすい悪はいないという感じ。テキサスレンジャーのコンビがすごくいい味出してて笑っちゃいました。あとニック・ケイヴが手がけてる音楽がかっこいい。Netflixに入ってるなら絶対観たほうがいい1本です。海外サイト見てるとオスカーにも絡んできそうな雰囲気ですね。

 

 ようやくここからベストテン↓

 

次点『シン・ゴジラ

君の名は。』の勢いがすごすぎて霞んでしまった気もしますが、予想を裏切る出来栄えで驚きました。文句も言いましたしいまだに石原さとみのキャラクターは受け入れられないですが、観ている最中に高揚感を感じたことは確か。アメリカの映画サイトIndiewireの「2016年のアジア映画11本」にもリストアップされてましたし、海外でもけっこう評価されてるようです(むしろ一般層より批評家にウケている? ちなみにこの11本には『君の名は。』も入っている)。

 

第10位『イット・フォローズ』 

 観たときは結構ぐだぐだ文句を書いちゃったんですけど、あとからじわじわと評価が上がっていった映画。これとは逆に『シング・ストリート 未来へのうた』はどんどん評価が下がっていきました。なんにせよデヴィッド・ロバート・ミッチェルは注目の監督です。一時期この映画のメインテーマばっかり聴いてました。

 

第9位『エクス・マキナ』 

 映画の感想よりも近くにいたジジイへの愚痴が大半を占めてしまったという、ダメなエントリーばかりの当ブログ中でもトップクラスのダメ記事。クソジジイがいないところでもう一度ちゃんと観直したいですね。

 

第8位『この世界の片隅に

 イベントでもないのに上映後に拍手が起きたというレアな現場に居合わせた作品。上映館数が少ないのにお客さんは相当入っているようで、いい作品がちゃんと認められてることを嬉しく思います。RANMARUがどうこうとかいうのは全部やめてこの映画をかけましょう。

 

第7位『さざなみ』

 地味だけど切れ味鋭い1本。『ドント・ブリーズ』よりもこの映画のほうがドキドキしたし息が詰まりました。RANMARUなんかもうやめてこの映画をもう一度かけましょう。

 

第6位『FAKE』 

 『311』以来の森達也作品でしたが、ユーモラスかつスリリングでもある傑作。豆乳のシーンと森監督がサインもらうところはすごく笑いました。ラストシーンの余韻もすごくて、ドキュメンタリーでこんなことができるなんて!とびっくり。この夏はKindleで森監督の著書を読み漁ってました。

 

第5位『アイアムアヒーロー

 日本のメジャーな映画会社でここまでゴア表現を徹底できるのか!と拍手を贈りたくなった快作。客席のカップルがドン引きしていることを肌で感じられるほどの容赦ないZQN描写、大泉洋の素晴らしさ、登場人物の内面の葛藤と成長を見事に表現した脚本など、とにかく“攻めてる”1本ですね。しかし同じ佐藤信介監督の『デスノートなんたらかんたら』はクソミソに言われてるようで…(未見。予告編の時点でクソ寒かったから)。『アイアムアヒーロー』はまぐれだったとか言わせないでくださいよ佐藤監督!

 

第4位『ヒメアノ~ル』

 ある意味『アイアムアヒーロー』と対になるような存在の作品。でもこっちには『アイアムアヒーロー』にない「エロ」があるんですよね。有村架純には『ヒメアノ〜ル』の佐津川愛美みたいなことはできないだろうし。それからやっぱり忘れてはいけないのは、森田剛の存在感。ファンがどう思ったのかはわからないけど、もっと映画で活躍する森田剛を観たい!と思うのは自分だけじゃないはず(『十三人の刺客』で強烈な悪役を演じる稲垣吾郎を観たときも同じことを思った)。

 

第3位『レッドタートル ある島の物語』

 「寝るかと思って観に行ったらドライアイになりそうなほど目ン玉ひん剥かされた」シリーズの1本。全然お客が入らなかったことがとても残念です。今年のアニメといえば『君の名は。』か『この世界の片隅に』ということになるんでしょうけど、僕の中では『レッドタートル』が一番です。

 

第2位『ボーダーライン』 

 今のところ駄作を作る気配がないドゥニ・ヴィルヌーヴが“強い女”代表エミリー・ブラント姐さんを迎えて作ったメキシコ麻薬戦争もの。いや「メキシコ麻薬戦争もの」と単純にくくるのもなんだかなと思わされるほど奥が深い1本です。この映画もサントラがカッコよくてよく聴いてました。

 

第1位『ロブスター』

 ほとんど上映が終わったあとに、急いでユジク阿佐ヶ谷に観に行った映画。そんな作品が今年の1位になろうとは、不思議なものですね。監督のヨルゴス・ランティモスのセンスはミヒャエル・ハネケに近いものがありますが、ちょっと違うのはブラックなユーモアがあるところ。次の作品にもコリン・ファレルが出るようですが、彼いわく「相当やばい話」らしいです。ランティモスの前作『籠の中の乙女』もやばかったし『ロブスター』もやばかったのに、まだやばくなるってどういうことなのか。楽しみです!

 というわけでベストテン+次点をあげましたが、今年は「来年公開される期待作」についても触れたいと思います。

 

『沈黙 -サイレンス-』

 スコセッシが遠藤周作の小説を映画化した作品。最近原作を読んだんですが、『海と毒薬』と同様、読みやすいのに奥が深い小説で。かなり重いテーマを扱った映画ではありますが、期待大です。1月21日公開。

 

『タンジェリン』

 今や全編iPhoneで撮影というのはそれほど不思議じゃないですが、ちゃんと作品そのものが評価されていることが重要。暗所にはさすがに弱いですが、最近のiPhoneって恐ろしくきれいに撮影できるんですよね。そりゃカメラもビデオも売れなくなるわけだわ。1月下旬公開。

 

『グリーンルーム』

 急逝したアントン・イェルチンの主演作。同じ監督の前作『ブルー・リベンジ』も評判いいんですけどまだ鑑賞できてないで観ないと! 2月11日公開。

 

『ビリー・リンの永遠の一日』

 アン・リーの最新作。帰還兵のトラウマを描く映画のようですが、1秒間を120コマで撮影している(通常、映画は24コマ)ということでどんな映像になっているのか期待しちゃいます。2月11日公開。

 

『ラ・ラ・ランド』

 『セッション』の監督デイミアン・チャゼルの新作。今回はミュージカルということですが、サントラがすごく良くて映画を観る前からヘヴィロテ状態です。アカデミー賞ではこれと『ムーンライト』の一騎打ちになりそうですが、少なくとも作曲賞は『ラ・ラ・ランド』が獲得するんじゃないでしょうか。2月24日公開。

 

『お嬢さん』

 パク・チャヌクの新作。くっそエロいと噂ですが、予告編を観るとパク・チャヌクの変態性が大爆発してそうで楽しみですね。3月公開。

 

『ハードコア』

 FPSゲームが好きなので以前から注目していた1本。いかにもインディっぽい映画ですけど、ティム・ロスが出てたりするのでびっくり。それにしても日本ってなんでFPSがもうひとつ流行らないんですかね。4月1日公開。

 

『メッセージ』

 2016年度ベストテン2位『ボーダーライン』監督のドゥニ・ヴィルヌーヴの作品。異星人とのコンタクトものだけど、どういう方向に話が転がっていくのか読めない感じがあって気になります。5月公開。

 

『エイリアン:コヴェナント』

 やっと邦題が決まり9月に公開されることがアナウンスされましたが、海外では予告編も出てるし春ぐらいに上映されます。ほんと、なんなんすかね最近の日本の洋画事情って。糞味噌に言われてた『プロメテウス』もそんなに嫌いではなかったですが、『コヴェナント』ではひさびさにゼノモーフが大暴れしてくれそうで期待してます。で、ノオミ・ラパスはどこに行ったんだ。

 

『哭声/コクソン』

 國村隼がふんどしで大暴れする恐怖映画。予告編を観る限りギャグすれすれのスプラッターになってそうで期待大。ソン・ガンホとかチェ・ミンシクとか韓国にはいい顔してる俳優がいますけど、日本にもいたんですね。それを日本人じゃなく韓国の監督が気付いてしまうというね。最高に狂った映画になってそうで楽しみです。3月11日公開。

 

マンチェスターバイ・ザ・シー』

 ケイシー・アフレックがめちゃくちゃ評価されているようで、アカデミー賞でも主演男優賞の最有力候補なんだそうです。お兄さんの影に隠れてちょっと目立たなかったけど、これを機に大ブレイクするでしょうか。5月公開。

 

『Elle(原題)』

 ポール・ヴァーホーヴェンイザベル・ユペールという、ある意味最凶なコンビが贈るサスペンス。最近イザベル・ユペールはけっこう忙しいですね。つかそもそもちゃんと日本公開されるのか、この映画。

 

『ムーンライト』

 オスカー作品賞最有力候補。今のところ映画賞獲得数が断トツで1位(2番目は『ラ・ラ・ランド』)らしくやはり気になります。2017年中には公開されるようですが、果たして何月になるやら…。

 

『Fences(原題)』

 デンゼル・ワシントンが監督・主演・製作の3役をこなした人間ドラマ。ピューリッツァー賞を受賞した同名小説が原作だそうです。予告編を観た感じ、デンゼル演じる高圧的な父親とその息子の関係がメインなのかな。ヴィオラ・デイヴィス(『スーサイド・スクワッド』でむちゃくちゃいってた人)の演技が高く評価されているようです。日本公開は未定…。

 

 2016年の日本映画界はとにかく東宝が席巻したというイメージ。東宝がいろいろと優れているということもあるんだけど、ほかのメジャーな映画会社は何やってんだろうと思わされる1年でもありました。まあ日本のことはいいや、とにかく世界の面白い映画がもっとちゃんと公開されてくれれば文句はありません。1年で65本しか観てないのにこんなこと言うのもなんですが、海外で評価されてる映画がDVDスルーとか多いんですよ。例えばジェフ・ニコルズの『ミッドナイト・スペシャル』とかね。

 さて、ほそぼそと続いてきたこの映画ブログ、2017年も適当にマイペースに罵詈雑言、でまかせ、当てずっぽうを交えつつ地道にやっていこうと思います。皆様、来年も何卒よろしくお願い致します。

『ドント・ブリーズ』を観た

外国映画

www.dont-breathe.jp

親と決別し、街を出るため逃走資金が必要だったロッキーは、恋人のマニーと友人のアレックスと一緒に大金を隠し持つと噂される盲目の老人宅に強盗に入る。だが彼は、目は見えないが、どんな“音”も聞き逃さない超人的な聴覚をもつ老人──そして想像を絶する<異常者>だった。真っ暗闇の家の中で追い詰められた若者たちは、怪しげな地下室にたどり着く。そこで目にした衝撃的な光景に、ロッキーの悲鳴が鳴り響く──。彼らはここから無傷で《脱出》できるのか──。(公式サイトより)

 Twitterで褒めている人を見かけたし、町山智浩さんも薦めていたので観たのですが、正直期待し過ぎました。

 ホラー映画を劇場で観る時ってね、周囲の人たちがビビりまくってるのを感じるのが楽しいんですよ。もちろん僕もちょっとはビビりますけどね。この『ドント・ブリーズ』も途中までは“あぁ、怖いことが起こりそうだなあ、どうなっちゃうのかなあ”とドキドキしてましたよ。

 でもいざジジイが暴れ出してもそんなに怖くないんですよね。“あぶねえ!”て思うぐらいで。僕はこれ、ホラーっていうよりもアクションというかサスペンスに見えたんですよ。町山さんがほのめかしてた地下室のアレだってね、“いや、そういうの知ってるよ”っていう。人によってはこれがアレのオマージュだとかって喜べるんでしょうけど、僕にとっては元ネタ(らしき映画)の良さを再確認しただけに過ぎず。

 僕は地下室のシーンにもっとおぞましいものを期待したんですよ。もちろん映画の中で描かれてることもおぞましいですよ? でもなんか、もっとあるだろうっていう。暗視カメラ風の映像も不思議なぐらい緊張感がないんですよ。“あぁ、だめだ、そっちにはジジイがーーー!”“志村後ろーーー!”ってみんな思うんですかね。僕は全然ドキドキしませんでしたよ。満席の劇場の他の客たちも全然ビビってなさそうで、退屈で退屈で。黒沢清の『回路』とかミヒャエル・ハネケの『愛、アムール』のほうがよっぽど客ビビってましたから。あとハネケつったら『隠された記憶』のアレのほうがよっぽど背筋が凍るから。って、比べるのもおかしいか。

 スティーヴン・ラング(『アバター』で脳筋軍人演じてた人)が演じるジジイがすげえしぶといのもねえ、もうお約束的にしぶといのは映画のタイプとして読めるから、もうちょっと意表をついたしぶとさを見せてほしいんですよ。あんだけ強いジジイだったんだからもっとちゃんと動けないようにしとけやボケって思う。わかってますよ、お約束だというのはね。

 あと犬。あれいらねえから。盲目のジジイだけだといろいろ厳しいから足した要素なのかもしれないけど、犬とねえちゃんの死闘とか超どうでもいい。ちゃんとジジイとねえちゃんのガチンコ勝負を見せてくれよ。駄犬はすっこんでろ。

 サム・ライミが製作陣にいるので、まあ『死霊のはらわた』みたいな「何もかもがいきすぎてて怖いけどなぜか笑える」みたいなところも目指したのかもしれないけど、『ドント・ブリーズ』はそんな境地に達してるように思えませんでした。ジジイのしぶとさとかでもっと笑わせてくれてもよかったんじゃないか。『死霊のはらわた』も『悪魔のいけにえ』も僕は爆笑したポイントがあったんですよ。『はらわた』は一度外に出たけど死霊に襲われ命からがら逃げてきたのにアッシュ(主人公)におもっくそビンタくらって死ぬバカとか、『いけにえ』はミイラジジイが金槌で女の子の頭をぽくぽく殴るとことかで涙が出るぐらい笑いましたけど『ドント・ブリーズ』にはそんな笑いどころもない。案外きまじめなホラーなんですよ。きまじめにしては大してこわくねーし。

 観る前は期待していて「今年のベスト10に食い込んでくるか」とか思ったけど全然そんなことはなかったです。宇多丸さんも褒めてたけどムービーウォッチメン聞いてもやっぱり“そうか、なるほど”とは全然思わなかったな。もうね、ただただ怖くない。でかい音出してビビらせるっていう手垢の付いた手法はもういいです。これだったら『REC●』で暗闇の中に出てきたわけわからんバケモノとかのほうが怖かったよ。

 まあ結局ハードル上げすぎたのかも。あんまり期待しないで観たらもうちょっと違ったのかもしれませんね。すみませんね、気に入った人は。僕は物足りなかったってだけなんで、気に入った人は観てみてくださいね。いろいろ言ってますがRANMARUがどうこうとかいう、関係者全員に不幸が降りかかればいいと思わされる糞寒いゴミ、産業廃棄物に比べれば10000000000000000000000000倍ぐらいは面白いですから。そんなカスと比べてどうすんだっていう話ではあるんですけども。

 この映画で一番よかったのは公式サイトの「どこに逃げようが、爺さんは全速力で追って来る!」というコピーですね。ジジイそんな速かったっけ?て思いますけど。まあ違う意味でジジイは早そうでしたけどね。

Don't Breathe (Original Motion Picture Soundtrack)

Don't Breathe (Original Motion Picture Soundtrack)

 

 

『14の夜』を観た

日本映画

14-noyoru.com

 『百円の恋』の脚本家・足立紳が監督した青春映画です。

 『百円の恋』は最近Netflixで鑑賞しましたが、巷で評価されている通り確かにいい映画だなと思いました。全体のうち70%ぐらいは安藤サクラの力な気もしましたが。

 で今回の『14の夜』ですが、個人的には「うーん…」という感じでした。脚本家として優れている人が必ずしも映画監督としても力量を発揮できるとは限らないんですよね、やっぱり。

 舞台は1980年代で、まだレンタルビデオ全盛期です。地元のレンタルビデオ店に人気AV女優がやってくると聞いて色めき立つ少年たちの物語なわけですが、実は主人公がふがいない父親を情けなく感じていたり、隣近所の女の子に思いを寄せながらもヘタレだったり、という王道な筋書き。

 まあそれは別にいいんですけど、全体的に感じたのが「これはやっぱり、大人が考えた14歳だな」ということ。もちろん14歳のときの男なんてアホですよ。僕は今でもアホですけど。それはともかく、この映画の中の中学生たちは本当に生きている感じがしないというか、大人が「あの時ってアホだったよね俺たち」と酒を飲みながら回想する姿を演じさせられているように見えました。類型的な「アホな中学生」像だから笑えない。

 それから主人公の家で、主人公の姉が婚約者を連れてきたときのくだり。なんかすごく無理があるというかものすごく間延びしてダラダラしているように見えるんですよ。途中から舞台劇のドタバタシーン(しかも下手くそな)みたいになってて、「もういいから次のシーンいけよ、大して面白くないから」と正直感じました。

 あと、これは日本映画に本当に多いんですが、あるシーンの説明をするために直前のシーンをフラッシュバック的に繰り返すやつ。これを絶対にやるなとは言いませんけど、「いやそれもう一回見せてくれなくてもわかりますから!」と感じる場面がこの映画にもありました。もうちょっと客を信じてもいいんじゃないですか? もしかしたら『百円の恋』でもこういうシーン書いてたけど監督が削ったのかも。だとしたら英断ですね。

 ただこの映画にはいいところがあって、それはやっぱり主人公を演じた犬飼直紀。このいかにもそのへんにいそうなボンクラ中学生ぽい顔つきの彼を見出したのはすごいし、おまけにこの犬飼くんの演技が非常にいいんですよ。それだけでも足立監督の功績は讃えられてもいいと思います。今後も犬飼くんをスクリーンで観たいなあと感じましたし。あとやっぱ浅川梨奈のおっぱいがよかったなあ。

 

 

14の夜

14の夜

 

 

百円の恋 [DVD]

百円の恋 [DVD]

 

 

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』を観た

外国映画

eyesky.jp

※ネタバレなし

 TOHOシネマズシャンテで先行上映されているので観てきました。

 Rotten Tomatoesで現在95%と高スコアを維持しているこの作品の中心にあるのは、1人の少女を救って数十人を危険にさらすか、数十人を救うために1人の少女を犠牲にするかという極めて難しい問題。

 監督は南アフリカ出身のギャヴィン・フッドという人で、『ツォツィ』という映画で一躍脚光を浴びました。僕も観たんですけど内容はあんま覚えてないです。人の命なんか知ったこっちゃねーぜヒャッハーな少年が、赤ん坊を拾ったことで人間性に目覚めていく…っていう筋の作品で、けっこういい映画だったと思うんですけど。『ツォツィ』のあとはハリウッド大作に起用されてますが、あまりパッとしなかっただけに今回の『アイ・イン・ザ・スカイ』で面目躍如といったところでしょうか。

 主人公はヘレン・ミレンが演じるパウエル大佐ということになってますが、個人的には群像劇に見えました。というのも、このパウエルという人がある意味人間的に見えなかったからなんですね。彼女はずっと「もういいからさっさとテロリストぶっ飛ばそう!1人より数十人を助けるのが当たり前だべ?」とイライラしてるように見えるんですよ。

 アラン・リックマンが演じたベンソン中将はパウエルよりはもう少し冷静に見えますが、やっぱり「やむを得んな、テロリスト殺るべ」っていうテンション。そして、実際にドローンを動かして標的を攻撃する役目を負っているワッツ(アーロン・ポール)とその隣の新人の女の子は、ある意味標的と一番近いところにいる人たちだから気が気でない。

 この映画がいいなあと思ったのは、オープニングに例の女の子の無邪気な様子とその家族の生活を持ってきたところですね。観客はここで、人の命というものが「1人か数十人か」という単純な計算ではその重さをはかれないことを突きつけられてしまいます。

 だから、観ているとパウエルの「早く撃て」という態度にイライラさせられるし「このババアに人の心はないの?」とも思うんですが、確かにこの少女に被害が及ばないようにテロリストへの攻撃をやめると数十人が犠牲に遭うわけで、その人たちの命は少女の命より軽いのかとも考えさせられてしまう。

 観ていて思ったんですが、パウエルへの返事が「Yes, ma'am」か「Yes, Colonel」なのかで、部下たちの心情が表現されているような気がしました。前者では命令になんら疑問をいだいていないときで、後者では「わかったよやりますよ命令だし…」というテンションだったような。うろ覚えなので間違ってるかもしれませんけど。

 テロリストを攻撃するかしないかでいろんなところに判断を仰ぎまくるシーンは『シン・ゴジラ』の会議シーンを思い出しましたね。イギリス映画っぽいなあと思ったんですけど、中国で卓球に興じてたアメリカのお偉いさんが「攻撃? ああやれやれそんなん、状況的にオッケーだべ」みたいなかるーいノリだったのは皮肉ですかね。ちょっと笑いました。

 僕も含めて、観客の大部分はベンソンたちと一緒に会議をしていたアンジェラ(モニカ・ドラン)という人に感情移入するんじゃないでしょうか。観ていて「うんうん、その通り!」と僕なんかは思ってたんですけど、あるタイミングでベンソンが彼女に突きつけるセリフがすごく重いんですよね。そりゃなんにも言えなくなっちゃうよなあと…。

 しかしこの映画で気になるのは、パウエルという人の内面ですね。あえて見せないようにしているんでしょうけど、もちろんそれがこの映画の弱点になっているわけではなく、むしろ奥深さの原因になっている。軍服姿のヘレン・ミレンもなかなか新鮮で良かったです。

 人によっては「会議シーンが多くて退屈」とか思う方もいるかもしれませんが、僕はずっと集中して観ることができました。いざ撃つか撃たないかというところの緊張感はすごかったですよ。あとやっぱ役者がいい。特にヘレン・ミレンアラン・リックマン。それから、『キャプテン・フィリップス』で長渕剛ばりに暴れていたソマリア海賊役のバーカッド・アブディが、本作では米英の秘密工作員を演じてたのが面白かったですね。彼はドゥニ・ヴィルヌーヴの『ブレードランナー 2049』にも出演するということですが、個人的に気に入っている役者なのでもっと活躍の場が広がるといいなと思います。

 なんせ今上映されてるのはシャンテだけなんで、休日に行く場合はチケットをオンラインで早めに取っておいたほうがいいと思います。僕が行った初日なんてめちゃくちゃ人多かったですからね。とにかくこの年末オススメの一本です。

Eye in the Sky

Eye in the Sky