ぼくは性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『ジョン・ウィック:チャプター2』を観た

johnwick.jp

※ネタバレあり

 はい、『ジョン・ウィック:チャプター2』ですね。前作はBlu-rayで観たんですが、今回は映画館で。

 前作では飼い犬を殺されたことをきっかけにブチ切れ、ロシアン・マフィアをほぼ皆殺しにしてたジョン・ウィックですが、今回は自宅をイタリアン・マフィアに破壊されてブチ切れます。第3作ではヤクザを相手にしたりしたら面白いけど、まあ日本はなんせロケ撮影の許可がおりない国だから普通に中国マフィアとかになるのかな…というか今作の終わり方を見る限り、次は全世界の殺し屋が敵になりそうですけどね。

 冒頭からつかみはOKとばかりにジョン・ウィックのド派手なシーンが連発します。ジョン・ウィック怒らせるとやばいぜとわからせるためのシーン。というかね、前作もそうだった気がするけどジョン・ウィック固すぎ。普通死ぬだろ、というような目にさんざん遭いますがターミネーター並みの屈強さで立ち上がります。でもまあこういう映画はそういうもんだと思って見るべき。チャック・ノリスの映画に「リアリティが…」とか言ってケチつけてもしょうがないのと同じです。

 今回いいなと思ったのは、ジョンを狙う2人の刺客。コモン演じるカシアンとルビー・ローズ演じるアレスですね。特に地下鉄でのジョンVSカシアン戦とかもういい意味で「バカみたい」と思いながら観てましたよ。それから『燃えよドラゴン』オマージュっぽい、ジョンVSルビー戦。カシアンもアレスも明確な死亡描写がないので、第3作に登場してジョンと共闘するとかそういう展開もあるような気がします。それにしてもラッパーってなんで俳優と兼業の人が多いんだろ。アイス・キューブしかりT.I.しかり50セントしかり。

 『チャプター2』で大きな話題(に配給会社がしたがっているように見える)になっているのは、『マトリックス』シリーズでキアヌ・リーヴスと共演したローレンス・フィッシュバーンの出演でしょうね。でもね、正直あのくだり必要かなあ…と思いました。前作が101分だったのに対して今回は122なんですけど、この手の映画はやっぱ90〜100分ぐらいでちょうどいい。ローレンス・フィッシュバーン何してたんだっけ?て感じですもん。中だるみパートでした、個人的には。

 ただ、ジョンと相撲取り(?)の死闘シーンとかは面白かったし(つーか笑うとこ)、やっぱり第3作もなんだかんだで観てしまうシリーズではあると思います。すでにスピンオフのドラマの企画も進んでるようだし、『イコライザー』とかと並んで第5作ぐらいまでは作られそうですね。で、途中から監督が代わってグダグダになっていくみたいなよくあるパターン。

 

『スパイダーマン:ホームカミング』を観た

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 はい、『スパイダーマン』シリーズ最新作です。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にも出てきたスパイダーマンが主人公の作品ですね。

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 実写『スパイダーマン』といえばサム・ライミ(『死霊のはらわた』の人)版とマーク・ウェブ(『(500)日のサマー』の人)版がこれまで作られてきた(ほかにもあったと思うけど未見)わけですが、後者は中途半端に終っちゃいましたよね。ヒロインが死んで、その後の物語も予感させつついろんな事情でシリーズ完結っていう、なんとも煮え切らない締め方。今回の『ホームカミング』は基本的に陽性な出来で主人公があまりウジウジと悩まないんですけど、『アメイジングスパイダーマン2』のヒロインの死に方をちょっとオマージュ(もしくは当てつけ)したようなシーンがあって、きっとこれはわざとなんだろうなあと思って心のなかでほくそ笑んでしまいました。

 監督はケヴィン・ベーコンがパトカー盗んだガキ2人を追いかける『コップ・カー』のジョン・ワッツ。この『コップ・カー』めちゃくちゃおもしろかったんで、Netflixに入ってる人はぜひ。入ってない人もDVDとかでぜひ。

COP CAR/コップ・カー [Blu-ray]

COP CAR/コップ・カー [Blu-ray]

 

 で、本国でもえらく評判がいいですし期待して観た『ホムカミ』なんですけど、個人的には「まあつまらなくはないけどそこまで大好きでもない」って印象でしたね。正直に言うと『コップ・カー』のほうが断然好き。なんかこう、ジョン・ワッツらしさみたいなものを感じられない気がしたのは僕だけですかね。ここ最近アメリカでは若い監督を大作に抜擢することが多くてそれはいいんですけど、クリエイティブ面での自由さとかいかほどのものだったんだろうと思いました。

 ピーター・パーカー/スパイダーマン役のトム・ホランドの演技はよかったし、アイアンマンが窮地で助けに来るところとかも胸熱で、こみ上げてくるものはあったんですよね。でも『アイアンマン』1作目とか『アベンジャーズ』1作目とか『シビル・ウォー』ほどテンションが上がるかというとそうでもなく、『アメイジングスパイダーマン』シリーズとか『スパイダーマン3』よりは面白いけど『スパイダーマン2』ほどは面白くないという印象。

 マイケル・キートン演じるエイドリアン・トゥームス/バルチャーのモチベーションの源がどうにも見えにくい気がして、こいつを倒さなきゃ!っていう感覚をあまり持てなかったというか。ただ今作は“VS敵”というよりはピーター/スパイダーマンの成長がメインになっていると思うので、あまり敵キャラに期待してはいけなかったのかなとも思います。マイケル・キートンバットマン(こうもり)→バードマン(鳥)→(バルチャー(ハゲタカ)と進化?してきたっていう流れなんかはまあ面白いんですけど、それが作品の面白さと直結してるかなというとそうでもない気が。

 ピーターがスマートフォンで撮った動画が挿入されるとか、新聞ではなくYouTubeスパイダーマンが人気者になるとかそういうのもまあ、悪くはないけど特に新鮮味は感じなかったです。あと、アクションシーンがちょっと暗くて見えづらかったかな…。

 なんだか文句ばっかり言ってしまいましたが、たぶんこんな意見を持つ人は少数派だと思います。きっと僕がいろいろわかってないんでしょう。周囲からは絶賛の声ばかり聞こえてくるので、マーベル映画を追ってる人は必ず観に行きましょうね!僕は『ソー』最新作に期待します。

 

「スパイダーマン:ホームカミング」オリジナル・サウンドトラック

「スパイダーマン:ホームカミング」オリジナル・サウンドトラック

 

 

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』を観た

warnerbros.co.jp

※ネタバレあり

 実写映画化が発表されたときは誰もが「本当にやるのかよ」と驚愕したであろう『ジョジョ』。

 自分はがっつりジョジョ世代(今回の映画のもとになった第4部は中学生〜高校生ぐらいのときに連載されていた)なんですけど、漫画はあまり熱心に読んでなかったんですよね。荒木飛呂彦さんのアクの強い絵があまり好きではなくて…。でも最近、偶然アニメ版の第3部を見始めたら思いのほかハマっちゃいまして、結局第4部まで鑑賞し続けてます(第5部のアニメ化も待ち遠しい)。子供のときはこの漫画のすごさがわからなかったんでしょうね。

 で、映画なんですが、これ本当に巷でよく言われてることなんですけど、「案外悪くない」出来なんですよね。

 まず、意外といっては失礼ですけど、役者陣がすごく頑張っている。出演が決まった時点で原作ファンから相当叩かれることは予想できたでしょうけど、とにかくあの非現実的なキャラクターたちを再現することに苦心したんじゃないでしょうか。山崎賢人東方仗助役と決まったときは、それこそ空条承太郎ゃないですけど「やれやれだぜ…」とため息をついた人も多かったと思います。でもこれがそんなに悪くない。『一週間フレンズ。』みたいな役がやっぱりハマってる気はするけど、もしかして案外(失礼)ポテンシャルある?と思ってしまいました。とにかくゴリ押しみたいにいろんな映画に出てるのは本人の意向というより事務所の方針っぽいですしねえ。

 岡田将生虹村形兆は「ちょっと線が細すぎるんじゃ」と思ったものの、観てみるとけっこうドスが入った声で演技をしていてこれも悪くない。あとこれも巷でよく言われてることですが、新田真剣佑の億泰もいいですよね。どっちかというと丸顔だから億泰はどうなんだろうと感じたんですけど、柄の悪さがちゃんと表現できている。もう少し「頭が悪そう」でコミカルなところがはっきり見えたらよかったんですけど、尺の関係上厳しかったかな。

 キャスティングで気になったのは山田孝之のアンジェロですかね。山田孝之は好きな役者なんですけど、アンジェロって本来腐れ外道でどちらかというとザコに近い役で、だからこそその末路にカタルシスを感じるキャラクターなんです。でも映画では、まあそれなりに悪いことはやってるんですけど、どうも「このクソカスが」という気持ちになれない。このキャラには新井浩文あたりを使ってほしかったかなあというのが本音ですね…なんかさりげなく失礼なことを言ってるような気がしますが。

 脚本上、いいなと思った改変部分は、形兆がサラリーマンを弓と矢で射抜いて結果的に殺してしまうシーンを入れたこと。これを入れることによって、彼の最後もまあ致し方ないかなと思わせることができています。それからスタンドの描写も心配していたほど安っぽいものにはなっていませんでした。スタープラチナとかもうちょっとじっくり見たい気もしたけど、あんまり長く映ってるとボロが出ると思ったのかな。

 と書いてきたわけですが、やはり気になる部分もありました。予告編の時点で違和感があったんですけど、女の子たちが仗助を「ジョジョ先輩」と呼ぶところ。しかもこれが、割りとしつこい。タイトルの「ジョジョ」っていうのはこういうことなんですよ〜という説明がしたいのはわかるんですけど、この映画ってそのわりには「ジョジョ」のファンじゃない人にあまり優しくない出来になってるんですよね。僕みたいに原作を知ってる人は脳内補完できても、山崎賢人とか目当てで観に来た全然「ジョジョ」知らん女の子は何がなんだかって感じになっちゃう気がしますよ。それでいて「ジョジョ先輩〜」ってしつこいから、なぜかこっちがこっ恥ずかしくなってきちゃって。

 あと引っかかったのは、バッド・カンパニー戦で、最後に形兆に反撃するくだり。一度クレイジー・ダイヤモンドでミサイルを破壊してから直すまでの間がなんか長いんですよ。原作では形兆と仗助の会話がちょっと挟まれるんですけど(まあそれでもちょっと間は長いんだけど)、映画ではここに神木隆之介演じる広瀬康一もちょっと絡むから「さっさと反撃しろよ」と思ってしまいました。まあ間が空くぶん形兆の油断が生まれた…という見方もあるかもしれませんが。

 とまあ気になる部分もあるにせよ、狂信的な原作ファンの方でもない限り観に行ってもそんなに損はない作品だと思います。だいたいみんな『テラフォーマーズ』だけで三池崇史監督を叩きすぎですよ。『オーディション』とか『十三人の刺客』とかいい映画もたくさん撮ってる人なんですからね。

 興行的にはどうも今ひとつなようで、「第一章」とうたっておきながら第二章、第三章が作れるのか非常に微妙ですが…。最後に吉良吉影もちらつかせるんだからちゃんと完結までやってほしいものです。僕はまた観に行きますよ!昨日はチネチッタの招待券で観たから説得力ゼロだけど。あと吉良吉影はやっぱり巷で言われてるみたいに北村一輝がいい!(川尻浩作をどうするかはともかく)。というわけで、食わず嫌いの人は映画館で鑑賞してみてくださいね。責任は一切取りませんが。

 

 

めんどくさい

中学生からの女友達と最近話をしていて、「そろそろ結婚したいし子供を産みたい」というので「じゃあ誰かいいと思う男はいるのか」と聞いた。

 

彼女曰く「うーん、なんかどの人もイマイチで」。ルックスはそれほど重視しないが、とにかく尊敬できる人がいいのだという。尊敬できるってたとえばどういうこと?と聞くと「仕事ができて子育てにもちゃんと協力してくれて浮気しなくて最低限の収入があって優しくて云々」と返ってくる。

 

これはその女友達に限ったことではなくて、以前もっと若い女の子と話してた時にも感じたことなのだが、正直言っていつつっこんだらいいのかわからない。

 

聞きながらずっと僕が考えるのは「そんな虫のいい話があるかよ」ということである。君は自分が求めてるものと同等のものを相手に与えられるのか?と思わずにはいられない。君は「相手の話が面白くない」というが、ひるがえって自分の話を相手が面白いと思ってるのかちゃんと考えたことあるのかと。こういう人は相手がつまらない顔をしてると「せっかく話を振ってあげてるのにつまらなそうにしている」とかたまに言うから、ひっくり返りそうになる。つまらなそうにしているのはお前の話が面白くないからだろ、と。

 

でもそんなことを面と向かって言うと面倒なことになるから僕はふんふんと黙って聞いている。彼女たちは愚痴りたいから話しているだけで特に解決策は欲しがっていないのである。

 

結婚したあとすべてに満足し続ける夫婦なんかたぶんいない。どんだけ熱烈に想い合ったカップルでもそれは同じことである。誰かと一緒に生活することには常に妥協とか失望がつきまとう。非常に生臭い何かがつきまとう。外から見て完璧に見えるカップルでも絶対に何かある。つまるところ人間2人が、しかも男と女という全然違う生き物が一緒に暮らすんだから、大変なことのほうが多いと思う。そういうことを引き受けたくないなら安易に結婚したいとか子供が欲しいとか言うなよ、と言いたくなる。子供なんか生まれたらなお一層人生はハードモードになる。無事育ててみたら今度は子供から厄介者扱いされることだってある。そんなリスクを背負いたくないならずっと独身でいて、にっちもさっちもいかなくなったときにどうやって1人で死ぬか考えたほうが建設的だ。

 

「お前みたいなやつと結婚したい男いないよ、めんどくさい」と喉元まで出かかってるのをこらえて、僕は愛想笑いを浮かべる。高校生のころだったらそのまま相手に言っていたかもしれない。「お前はめんどくさい」と。でももう大人になったから、そんなことはしない。僕もめんどくさい大人になった。

 

男も女も、相手にいろんなことをなすりつけ過ぎてる気がする。そりゃ晩婚にもなるわなって話。

 

 

 

『ラ・ラ・ランド』を観た

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gaga.ne.jp

※ちょいネタバレあり(結末までは書いてません)。

 皆さんお待ちかねの『ラ・ラ・ランド』でございます。

 アカデミー賞でも大本命と言われており、アメリカでも大ヒットしているミュージカル。監督は『セッション』の新鋭デイミアン・チャゼルです。いや“新鋭”なんて言葉を使うことには違和感がありますね。作品そのもののクオリティもそうですが、いたるところに散りばめられた名作へのオマージュや、本作の音楽のベースとなっているのがジャズであることとか。はっきりいってこの人が歳下って、信じられません。

 どういうお話なのかというと、女優を目指してロサンゼルスにやってきたミアと、自分の店を持つことが夢のジャズピアニスト、セバスチャン(映画の中では通称“セブ”)のラブストーリー……と言い切ってしまうとちょっと違和感があるかも。もちろん恋に落ちる2人の物語でもあるのですが、同時に、夢追い人たちのお話でもあるのです。そういう意味では、デイミアンの前作『セッション』にも通じますね。

 デイミアンはもともと『ラ・ラ・ランド』のストーリーを2010年にはほぼ書いていたそうです。そして当時ハーヴァード大でのクラスメイトだったジャスティン・ハーウィッツ(『セッション』、そして本作でも音楽を担当)と一緒にアイデアを練っていたそう。しかしジャズをベースにしたミュージカルという設定にスタジオ側は難色を示し、セブをジャズピアニストではなくロックミュージシャンにしろとか言っていたそうです。さらにストーリーの結末も変えろとまで言われた監督は一度『ラ・ラ・ランド』を白紙に。その後脚本を書いた『セッション』が興行的にも批評的にも成功したせいかプロデューサーも決まり、本来の構想をもとに『ラ・ラ・ランド』に取り掛かったわけです。

 当初は『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー役で有名なエマ・ワトソンがミア、『セッション』で主役を務めたマイルズ・テラーがセブを演じる予定でした。しかしエマは『美女と野獣』に集中するため降板。マイルズも契約交渉が長引いてしまいます。そして結果的にミアはエマ・ストーン、セブはライアン・ゴズリングが演じることになりました。

 エマのキャスティングの決め手は、彼女が出ていたブロードウェイの「キャバレー」をデイミアンとジャスティンが観に行ったことが決め手だったようです。ちなみにミアは大学を中退して女優になるためLAに出てきたという設定ですが、エマ自身も15歳のときに母親と一緒にLAにやってきました。映画の中で、ミアがオーディションでさんざんな目に遭う場面が出てきますが、これはエマやライアンの実体験をもとにしたものだそうです。例えば、ミアが演技をしているのに、キャスティングディレクターが携帯電話で話をするシーンは、ライアンの経験がもとになっているそうです。

 この映画は、元はジャズドラマーで、映画の世界を夢見るも手がとどかないかもしれないと思っていたかつてのデイミアン、そしてエマやライアン自身の過去の葛藤をも反映したものになっています。アカデミー賞会員は映画業界人で構成されていますから、この物語に感情移入しないわけがない。『ムーンライト』もとてもいい映画のようですが、『ラ・ラ・ランド』の共感性はあざとさすら感じるほどに強力だと思います。

 かといってこの映画が一般の人たちには受けないのかというとそういうわけでもないんですよね。夢を現在進行系で追いかけている人たちに勇気を与えるのと同時に、夢を諦めて今は平和に暮らしている人たちの心をも打つ物語になっている。そしてまさに夢のような美しい映像を見せる一方で、現実も見せつけてくる。ストーリーはシンプルですが、さじ加減が本当に絶妙。「夢を追ってLAに出てきたわりにはこいつらあまり金に苦労してないな」と思ったりはしますが。

 出会いは最悪だった2人が惹かれ合っていくという王道的な展開、そしてミアとセブがプラネタリウムで宙に浮く(恋をしたことがある人なら誰でも感じたことのあるような高揚感を感じられます)という、一歩間違えればチープになってしまうような演出がいちいち感動的なのは、やはり撮影と音楽が素晴らしいからでしょう。サントラはApple Musicに出てから、ほぼ毎日聴いています。本当にどの曲も最高です。逆に、この音楽が気に入らなければ『ラ・ラ・ランド』はあまり楽しめないでしょう。なんといったってこれはミュージカルですから。

 正直に言って、エマもライアンもダンスはそれほどうまくないし、歌も微妙(特にライアン)です。本当にブロードウェイでがっつりやっているような人たちとは比べるまでもないでしょう。でもこの映画はそれでいいんですよね。だって、夢を追ってるけどうまくいかない人たちの話なんだから。彼らの不器用さ、そしてそれでも一心不乱に夢を追うひたむきさが、“中の人”であるエマとライアンにも重なってくるのです。

 技術的なところに話を戻すと、撮影は全編フィルムで行われています。オープニングの群舞シーンはさすがにワンカットではなく、いくつかのカットをシームレスに見えるようにつないでいます。ミアとセブが踊るシーンは2日間で8テイクかけて撮ったそう。テイク数はそれほど多くないものの、日暮れ時の“マジックアワー”のうちに撮りきらないといけなかったので、緊張感が半端なかったんじゃないでしょうか。むしろ2日でよく撮れたなという感じ。

 ↓はプリプロ段階で、オープニングの群舞シーンをシミュレートしたときの映像。iPhoneで撮られているようです。左下のが本編映像ですね。

 全体的な映像のトーンはミュージカルの名作として名高い『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』にインスパイアされてるそうです。そして、クライマックスのあるシーンでは『雨に唄えば』『バンドワゴン』などへのオマージュをこれでもかとぶち込んできます。このあたりもアカデミー会員、ひいては映画ファンの心を打つところですね。考えようによってはあざといと思いますが。↓は本作と元ネタを左右二分割にして見せる動画。

 ストーリーに視点を戻すと、この映画、ライアンのほうが先にクレジットされてますが、実質的にはエマが演じたミアが主人公だと思います。あまり細かくは書きませんが、このあたりに時代を感じるものがあって面白いですね。結果的に、ミアをワトソンではなくストーンのほうのエマが演じたのは正解だったと思います。ストーンのほうのエマって、なんか不器用そうじゃないですか(勝手なイメージだけど)。だがそれがいい。今後どんな女優になっていくのか楽しみです。

 さて、だらだらと書いてしまいましたが、つまるところ僕が言いたいのはこの映画が大好きだということ。この文章を読んで観に行って「つまんなかった」と思ったら申し訳ないですけど、でも俺は大好きなんだよこの映画が!クソッタレが!!!