性格が悪い

バカのくせに映画の感想とか書くブログ

『若おかみは小学生!』について

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全然ノーマークだったんですよ、この映画。存在自体は知っていたんですけど、「文部科学省認定」とか「少年向き」「家庭向き」とあって、絵もかわいらしいし自分がわざわざ観るもんじゃないなと。

なんですが、Twitterで「面白いのにあんまり長く上映されないみたい」という声をちらほら見まして、じゃあ観てみるかと思い行ってみました。

結果、ナメてました!すみません!どエライ傑作でした!

原作は令丈ヒロ子さんという方が書かれている児童文学で、全20巻。未読なんですけど、劇場アニメがあまりにも面白かったので読んでみようかと思ってるぐらいです。

若おかみは小学生! 花の湯温泉ストーリー(1) (講談社青い鳥文庫)

若おかみは小学生! 花の湯温泉ストーリー(1) (講談社青い鳥文庫)

 

さらにテレビアニメ版も作られていたようで、これは9月23日に完結していた模様。

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スタッフが微妙に違うようです。もしかしたら作画も違う?

で、この『若おかみは小学生!』がどういう話なのかというとですね、事故で両親を亡くした小学生“おっこ”こと関織子が、祖母が営む田舎の旅館で若女将として奮闘するというものです。このあらすじを読んで「花咲くいろは」を連想する人は多いと思います。僕もそうでしたが、実は『若おかみは小学生!』は2003年から刊行されているので、こちらのほうが早いんですね。ちなみに「花咲くいろは」も面白い作品だったので、オススメです。

さて映画『若おかみは小学生!』ですが、もしかしたら両親の死は直接的には描かないのかなと思っていたんですよね。おっこが両親と暮らした家を出るときに、遺影を持って出るとかそういうさりげない説明かなーと。でもそんなことはなくて、ここでは詳しく書きませんが結構リアルに怖い事故描写が出てきます。さすがに死体を写したり流血描写こそありませんけど、なんていうかYouTube時代の今ならこういう動画が普通に転がってそう、と思うような妙なリアルさがある。ここでもう「あ、これはぬるい話じゃないぞ」と心をつかまれました。

といってもストーリーのほとんどはほのぼのしたトーンで進みます。特に、ウリ坊という幽霊の少年に促されておっこが若女将になることを宣言する(言わされる)シーンは、戸惑う彼女の取るポーズがいちいちかわいらしい。ライバル旅館の跡取り娘である真月という女の子との言い争いも見ていて楽しいです。

ところが、映画の中には唐突に死んだはずのおっこの両親が顔を出します。最初は夢だということがはっきりわかる演出になっているのですが、次第にそれが現実味を帯びてくる。「これは夢ですよ」という区切りがあいまいになっていきます。そして、おっこの周囲には先述のウリ坊のほかにも幽霊が登場するし、旅館に泊まるイケメン少年の母もこの世を去ったという設定になっています。ネタバレになるので書きませんが、終盤にもある“死”に絡んだ家族が登場します。ほのぼのしたトーンで進むのに、この物語には常に死がつきまとっているんですね。

小学生にして両親が死ぬって、これはもう想像もできないほどのつらい境遇だと思いますが、おっこは基本的には明るく前向きな女の子です。ちょっと強情なところもあるけど、「お客さんのためを思って」健気に行動する小学生。こんな子いないだろと思ってしまっても不思議はないほどのまっとうなキャラクターなんですけど、不思議に彼女の存在には説得力がある。これは、脚本や演出はもちろんですが、おっこに声を当てている小林星蘭という人の力も大きいのではないでしょうか。現在中学生である彼女の声は子供と大人の過渡期にあると思うのですが、このどっちつかずな感じが、やはり子供から大人へと(それは両親の死という過酷な運命によってある意味強制されたものではあるのだけど)成長していく過程にあるおっこのキャラクターと非常にうまくマッチしているのではないかと。

多少の駆け足感はあるものの、長大な原作を1時間半にまとめ上げた脚本家・吉田玲子の手腕もさすがです。この人は山田尚子の大傑作『たまこラブストーリー』や『リズと青い鳥』は言わずもがな、たくさんのアニメを手がけている名脚本家ですけど、今回も見事というほかない仕事をされていますね。占い師の女の人とか唐突に出てきた感はありましたけど、しばらく見てるとすぐに違和感なくなりますし。

この日は『散り椿』『クレイジー・リッチ!』も観たんですが、ダントツでこの『若おかみは小学生!』が面白かったです。Twitter見てるとどうも上映期間が短くなっちゃうそうなんですが、すごくもったいない。観る前の僕みたいに先入観で決めつけてスルーしたくなる気持ちもわからないでもないですけど、「4回泣ける」とか謳ってる某実写映画(4回寝そうにはなった)より1那由多倍ぐらい泣ける名作だと思いましたよ。観る人がもう少し増えれば口コミでさらにお客さんも入りそうなんですけどね…。

映画『若おかみは小学生!』ストレートにメチャオススメです!

若おかみは小学生!  映画ノベライズ (講談社青い鳥文庫)

若おかみは小学生! 映画ノベライズ (講談社青い鳥文庫)

 

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』について

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僕は今39歳なので、この映画はわりとど真ん中な世代なんです。知っての通り、この映画は韓国映画の名作『サニー 永遠の仲間たち』の日本版リメイクなんですね。

ただ、韓国版は主人公たちの青春時代および回想シーンが60〜70年代で、日本版は90年代。なぜ90年代なのかというと、監督の大根仁にとってその時代が特別な意味を持っているからじゃないでしょうか。『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール(以下民生ボーイ)』もそうでしたしね。

この日本版『SUNNY』の製作が発表されたとき、周囲の映画好きの反応はほとんどが「やれやれだぜ…」といったものでした。原因はこんなところでしょうか。

1. オリジナルの韓国版があまりにも名作である

2. 最近の大根仁監督の映画が興収的にも批評的にも微妙である

3. サブタイがダサい(ちなみに自分はもう一つのA面の「それはちょっと」のほうが好きです)

1についてはですね、個人的には僕、韓国版もよくできた映画だとは感じたけどもめちゃくちゃ思い入れがあるわけではないので(内容もあんまり覚えてないので、今回の日本版とどのあたりに違いがあったのか思い出せない)、そんなに気になりませんでした。

自分としては、3の理由もまああれだけど、やっぱここんとこの大根監督の映画が微妙っていうのがでかい気がしますね。つってもドラマは観てないから『SCOOP!』と『民生ボーイ』だけなんだけど。この2本をなぜあんまり良くないと思ったかというところを書き始めると長くなっちゃうしめんどくさいんではしょりますけど、特に後者について一言で表現するならば、「おっさんのひとりよがりなノスタルジーと、『俺もこれやりたい!やらせて!』にはついていけんわ」というところなんですよね。

今回の企画もやっぱり、上の「おっさんのノスタルジーと俺もこれやりたい」を感じてしまったわけで。冒頭から「またミュージカル演出か…」とうんざりするわけですが、これ、言っちゃ悪いけど『ラ・ラ・ランド』の冒頭の劣化コピーみたいな群舞なんですよ。ここでいきなりげんなりする。『モテキ』では『(500)日のサマー』の影響をわかりやすく受けてやってましたね。よく言えばサンプリングなのかもしれないけど、この監督の引用ってなぜかすごく浅く見える。どうしてなんだろうか。

ラ・ラ・ランド(字幕版)
 

それから、当時の都会の女子高生がみんなあんなコギャルみたいだったって誤解されそうな表現もどうかと思いました。まあこれは、たまたまこの高校はそうだったっていうふうに捉えられなくもないですけど、基本的に今回の映画ってすべてが記号的に見えるんです。コギャルもそうだし、奈美(現代パートは篠原涼子、過去パートは広瀬すずが演じている)の家族の関西人描写についてもそう。なんだよ、あのお好み焼き弁当。関西→お好み焼きっていうこの安直な発想!アホな中学生か!あと細かいこと言うと、奈美の話す関西弁が微妙に変だったんですよね。あれ、淡路だからなのかな。いわゆる阪神間の関西弁とは、一部がかなり違っていました。

奈美の兄が『エヴァ』にハマっていてごちゃごちゃ言うところとかも、なんというか「90年代という時代をものすごく雑にまとめたコント」みたいな仕上がりになってました。短いコントならいいけど、2時間の映画の中でこういうことをぽつぽつやられるとそれだけで気分が滅入る。久々にね、途中で映画館を出ようかと思いました。それぐらいきつい。

さらに細かいところを言うとね、三浦春馬が演じるイケメンDJが出てくるんですけど、あの当時にDJやっててヘッドフォンからtrfが聞こえてくるって、超ダサいですよ。一応言っておくと、確かに当時はtrf安室奈美恵など小室ファミリーが最盛期の時代でした。でもあのときまさに青春を過ごしていた人間からすると、小室ファミリーっていうのはメインストリームであるのと同時に、音楽好きからしたら「だっせー音楽」の代名詞でもあったと思うんですよ。コギャルたちが聴いてるのはわかりますけど、あんなシスコかどっかの袋持ってDJしてるやつがtrfなんか聴いてるかな?僕が住んでたのは兵庫の田舎町ですけど、それこそ当時だって音楽好きの間では「trf(笑)」って感じでしたよ。そのあとにCharaの「やさしい気持ち」が流れるところなんかも、曲そのものは好きですけどね、本当にくっそださくて泣きそうになりました。もちろん、洋楽とかを使うとお金が…みたいな事情もあるんでしょうけど、何もヘッドフォンからtrf漏れてこなくてもいいじゃん。そこは音は流さなくてもいいじゃない。

記号的といえば、裕子(現代パートは小池栄子、過去パートは野田美桜)がファミレスで現代の女子高生を見て(みんながスマホ見て目も合わさず喋ってるっていうこれまた記号的な表現)、「今の子は大人しいね」っていうところとかさ、そんな十把一絡げにしていいんですかね。テーブル着いてスマホばっか見てるのは大人だってやってるし、現代の女子高生だってやっぱりきゃあきゃあわめいたりしてますよ。「今の子は」って簡単にまとめすぎ。

そんでもって、この映画の何が一番イヤなのかって、あの頃青春を過ごした人が「あーなつかしいね」っていうノスタルジーに浸るための道具になってる(ように見える)ことなんです。なんか、90年中頃からまさに高校生だった自分にとっては「君も懐かしいでしょ、どう?ツボを押されたでしょ」って押し付けがましく言われてるようで不快度100%。そんなのは内輪で酒飲んでやってろよ、と暴言の一つもかましたくなりました。

とここまでクソミソに書いてきましたが、結局最後まで劇場は出ませんでした。それはなぜかというと、キャスティングと女優たちの演技は良かったと思うから。これは自分だけじゃなくてほかの人も言ってますけど、広瀬すず篠原涼子って最初は「えー?」と思ったんですよ。でも不思議なことに、映画観てると違和感がない。

それから、前からすごいすごいとは思ってましたけど、今回も広瀬すずはすごいですね。この子はこれまで内省的なキャラクターが多かったんですけど、しっかり関西弁(らしきもの)を関西人ぽいグルーヴ感でしゃべれているし、事務所大丈夫かってぐらい白目はむくし、とにかく生き生きしている。広瀬すず以外だと鰤谷役の小野花梨もよかったし、やっぱ小池栄子は安定してる&ドス利かせるところはうまいし、山本舞香はなにげに一番リアルなコギャル感あったし。それに、みんなこの映画の撮影を楽しんでいたっぽい雰囲気はインタビューなどから感じ取れるから、まあやっぱり大根監督は好かれているのかもしれないし、俳優を乗せるのもうまい人なのかもしれませんね。僕は全然この映画好きじゃないですけど、まあ人格が歪んでるんでしょう。ブログタイトル通り筆者の性格が悪いということで、ご査収ください。

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」Original Sound Track

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」Original Sound Track

 

『検察側の罪人』について

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木村拓哉二宮和也の共演作つーことで話題にはなっていたんですが、どうにも僕、原田眞人監督の映画は苦手です。といっても、調べてみたら『クライマーズ・ハイ』と『駆込み女と駆出し男』ぐらいしか観てなかった。まあ2本しか観てないのに苦手意識があるぐらいだから、相当合わないのかも。

正直、僕が原田眞人の仕事で「素晴らしい」と思ったのって『フルメタル・ジャケット』の字幕ぐらいです(監督作2本しか観てないのにここまで言い切る)。

ただ、宇多丸氏の木村拓哉インタビューを聞いたらちょっと興味が出てきちまいしてね、ちょうど川崎のチネチッタで通常料金が1100円になるサービスデーってこともあって観てきました(映画の中でラ・チッタデッラがロケで使われててちょっと笑った)。

とりあえず結果から言うと、今回も好みの映画ではありませんでした。原因は、宇多丸氏も映画評でおっしゃっていたように、劇中で発生する現代の事件(および最上の過去に影を落とす、ある事件)と、インパール作戦や昨今の日本の右傾化といった問題を無理やりに結びつけてること。正直にいってこじつけとしか思えませんでした。言いたいことがあるんならそれだけをテーマに個別の映画を撮ってほしいです。ま、難しいんだろうけど。

で、このあたり↑はまあ宇多丸氏の批評で知っていたからというのもあるんですけど、やっぱ個人的には原田眞人の癖のある演出がどうにも合わないです。ここは宇多丸氏が欠点ではなく原田監督の「特色」として挙げていたところですが、エゥネスト・チェィ・グェバルァ、ドナゥドゥ・トゥラァンプみたいな変な巻き舌発音、あれとか、やたら登場人物に早口で喋らせるところとか(この登場人物がやたらと早口で喋るというところは『シン・ゴジラ』を思わせるものがある)。えっと、特色なんだっていうのはわかりましたけど、それによってどういう効果が得られてるんでしょうか。

後者は「情報量の多さを表現するため」かもしれませんけど、前者はまったく意味がわからない。あとこれ、原田監督の特色というよりは「あ、キムタクってこういう変な巻き舌発音しそう」としか思えませんでした。これ、なんの意味があったんですかね。この変な発音の演出意図について説明してるブログとかないんですかね。

一応言っておくと、今回の映画の木村拓哉の演技は概ね嫌いじゃなくてむしろ好きな部類なんですけど、あの変な発音のとこだけ、悪い意味でのキムタク性みたいなのが色濃く出てもんのすごい浮いてます。それから、当日の天気を見てやっぱり復活させたっていうあのセリフ、正直あれはなくてよかったんじゃないかと思うのは僕だけでしょうか。「罪を洗い流せる雨なんてないから」って、もんのすごい芝居じみたセリフですよね。すんごい浮いてるんですよ、このセリフ。例のインタビューの中で「あれを復活させた」っていうくだりに宇多丸氏は納得してたようだけど、実際に映画を観てみたら「いや、どう考えてもオミットが正解だっただろ…なんで復活させたんだ監督」って思っちゃいました。それからこれも宇多丸氏は擁護してましたけど、芦名星の演じてるキャラクターがいかにもマンガ的すぎる。あの人が出てくるとこだけマンガですよ。いや、こんなこと言ったらマンガに失礼だ。単純にださい

あと、編集もそんなに良かったかな?僕にはカチャカチャした単なる落ち着きのない編集としか思えませんでしたけど。最後に二宮和也が叫ぶのもね、原作通りなのかもしれませんけど、もう日本映画のこの悪しきパターンやめませんか(ちなみに上映前にかかった『七つの会議』の予告も日本映画の悪しきパターンにハマってる気がした)。キャラクターに叫ばせとけばいい、みたいな。安易すぎる。二宮和也っていう人は叫んだりしなくてもあの若手検事の感情を表現できる役者だと思うんですよ、僕は。それをガーッて叫ばせて、本当にださいと思うんですけど。中盤で叫びまくるところはいいだけに、もったいない。沖野というキャラクターの深みが失われるような演出だと思いました。オープニングで流れるテーマ曲を二胡かなんかで嫁が弾いてるって演出もいったいなんなんだ。どうでもよすぎるぞ。

半分ぐらいは宇多丸氏の批評への違和感みたいな感想になっちゃいましたけど、やっぱ僕には原田眞人監督の演出は理解できません。まあシネフィルな人だからいろいろ素人にはわかんない意図もあるんでしょうけど、個人的には単にバランスを欠いた映画としか思えませんでした。木村パートの硬質な感じと二宮・吉高パートのちょっとゆるい感じ(ラブホのくだり)のちぐはぐな感じも全然いいと思わなかったし、ある出来事のあとの二人の態勢とかこれ見よがしに見せてるけどなんなんだよ、なんか意味があるのかもしんねーけど超ださいぞ。

この日チネチッタで観た映画はこの『検察側の罪人』と『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『累-かさね-』で、『SUNNY』がワーストかなーと思ってたんですが、感想書いてたらやっぱ『検察側』がワーストかもと思えてきました。

検察側の罪人 上 (文春文庫)

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検察側の罪人 下 (文春文庫)

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「ワンダーウォール」について

www.nhk.or.jp

Twitter界隈で話題になっており、脚本家があの渡辺あやなので気になっていたドラマ。

ものっそい雑に説明すると、京都の今にも倒壊しそうな学生寮の存続を巡って大学と対立する学生たちの青春ドラマです。7月にNHK BSプレミアムで放送されたあと、反響に応える形で9月17日にNHK総合でオンエアされました。

渡辺あやといえば、個人的にはやっぱり『ジョゼと虎と魚たち』が印象深い(『カーネーション』は観てない)。

ジョゼと虎と魚たち [DVD]

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ぶっちゃけ、この映画の魅力の7割ぐらいは田辺聖子の短編小説を大胆に脚色した渡辺あやの力だと思ってます。

あと、テレビで放送されたあとに劇場公開された『その街のこども』も印象深いですね。この作品を観た数日後に東日本大震災が起きたっていうこともあって…。阪神大震災を高校生のときに体験して、それを扱った作品を観た直後に今度は東京であの長ーい揺れを体感して帰宅難民になったという。不思議な運命です。

その街のこども 劇場版 [DVD]

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で、「ワンダーウォール」なんですけど、なんて言ったらいいんだろう、決して「すごく面白い」というわけではないっていうか。観てるときも観終わったあとも、どう話せばいいのかって作品なんですよね。地味だから、民放とかでは企画が通らないドラマだと思う(テレ東ならわからないけど)。

これ、やっぱ当事者じゃないとちょっとわかりにくいとは思うんですよ。あのきったなくていろいろ不便そうな寮で実際に暮らしてみないと、学生たちの切実さみたいなものはやっぱりそこまで伝わってこない。でも、あの寮のモデルになった京大の吉田寮に住んでいたわけでもないのに、渡辺あやはこういうお話を作ってるんですね。

だから、ドラマを観てるときは「そうかー、この子らは必死に寮を守りたいんだな。それはわかる。でも、自分も守りたい!とまでは思わんなあ」というのが正直な感想で。しかも10回ぐらいに分けて放送するならだんだん愛着も湧いてきそうなもんですけど、単発の60分ドラマですからね。「なんか風情があるのはわかるけど、とにかくきったないなあ」というぐらいの感覚。登場人物たちも多くて誰が主人公なのかもはっきりしないし、それぞれのキャラを濃く描いてる時間もない。

でも、観終わってみると不思議な寂しさみたいなものが残る。なんだろうなー、この感覚、と思ってたんですけど、自分が若い頃、まだ関西にいたときの空気感みたいなものを思い出したんですよね。京都に住んでいたわけじゃないし大学にも行ってないけど、友達の車でいろんなところに行ってわーわー騒いでた頃のこと。追体験しようと思ったらできるだろうけど、やっぱり二度とはやってこないあの日々の空気感。『ジョゼ』でも『その街のこども』でも、渡辺あやが脚本を書いた作品っていうのはこういう、甘噛みみたいな爪痕(爪だから噛んでないんだけど)を残していくんですよ。ずっとそこにとどまっていてはいけないんだけど、どうにも甘美なノスタルジー

それから、渡辺あやは自分で演出まで手がけるわけではないのに、『ジョゼ』にも『その街のこども』にも、しっかりと関西の空気感のようなものが刻まれている。確か『ジョゼ』は実際には関東でロケしてるんですけど、なぜか“関西感”みたいなものが刻み込まれてるんですよね。しかもそれは、ほかの土地で育った人が想像するようなコテコテのいかにもな大阪感ではない。表面的な街並みは東京やほかの地方と同じ、でも何かが違うっていう、関西の独特な雰囲気。今回の「ワンダーウォール」にも、なんか懐かしいものを感じてしまいました。

このドラマを取り上げたあるコラムでも指摘されていましたが、「ワンダーウォール」には学生運動が盛んだった60年代後半の空気感も漂っています。スマホを手にした学生たちは間違いなく現代の若者なんだけど、寮の存続を巡って闘おうとする姿勢、そして権力を前にして絶望する姿は、学生運動を取り扱った映画で観てきたかつての若者たちとかぶります。そして、岡山天音演じる学生が手近なものを使って権力との闘いを説明するシーンには、いつからか社会の構造が複雑化し、何か1つの壁を壊せば未来が開けるはずだと無垢に信じていた人々の挫折と失望を重ねて見ることもできる気がします。あと、単純に学生たちのもっさい見た目がなんか60年代ぽい気もするですよね。そのへんは意図的にそう演出したのかもしれない。

と、思いついたことをぴっぴっと書いてきたので、何が言いたいのかよくわからなくなってきましたけど、言いたいことは、渡辺あやっていう脚本家がやっぱりすごい人で、彼女の書いた物語がもっと観たいっていうことなんですよね。

news.mynavi.jp

『プーと大人になった僕』について

これをいい話と思えない自分はおかしいのだろうか?

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けっこうヒットしてるようですし自分の周りでも絶賛している人がいるんですけど、感性ゼロな僕にとってはいつものマーク・フォースター映画(何ひとつ心の琴線に触れない映画のこと。類語はスティーヴン・ソダーバーグ映画)でした。この監督って、『チョコレート』以外一度も「いい」と思ったことがないんですよね。

チョコレート(字幕版)

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007/カジノ・ロワイヤル』も『ワールド・ウォーZ』 も「すごく悪かったわけでもないけど、何かがとてもよかったわけでもない」って感じで。コンスタントに撮ってるから業界では重宝されてるんでしょうけど、顔はかわいいものの絡みがワンパターンなAV女優みたい。またAVで例えてる。

カジノ・ロワイヤル (字幕版)
 
ワールド・ウォーZ [DVD]

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で、今回もまあまったく期待はせず観に行ったんですけど、やっぱりというか、開始10分ぐらいで睡魔に誘われ始めました。隣に若い男性が座ってたんですけど、この人けっこう爆睡してましたね。勝手に「同志よ」とか思っちゃいましたよ。僕はなんとか寝ずに最後まで観ましたけどね。

この映画の何が面白くなかったのか自分でもうまく説明できないんですけど、やっぱ根っこにあったのは「お前に言われんでもわかっとる」っていう感覚で。「何もしないをする」っていうテーゼに「おお!」て思う人って、たぶん純粋でいい人なんでしょうね。ブログのタイトル通り僕は性格が悪いんで、「知ってるよ、そんなことは。でもそれができないから困ってるんだろうが」と思ってしまいます。

クリストファー・ロビンに邪険にされるプーがかわいそうとまったく思わなかったのも、なんか不思議ですね。これも自分の性格が悪いからでしょうけど、プーってなんだかあざとさを感じるんですよ。こいつ、「それでも(クリストファー・ロビンは)なんとかしてくれるだろう」っていうのが透けて見える 。

同じ熊が主人公のお話ってことでいうと、(ぬいぐるみとリアル熊という違いはあるものの)、『パディントン』シリーズは最高に面白かったんですけど。パディントンがひどい目に遭うと心の底から「かわいそう」と思うし、彼が繰り広げるドタバタは本当にハラハラさせられるんですよね。最後には感動して泣いてしまう。プーはどんだけピンチになっても「正直、どうでもいい」としか思えませんでした。

パディントン(字幕版)

パディントン(字幕版)

 

あと、僕はプーの声に違和感があったんですよ。なんでこんなジジイおじいさんみたいな声なんだろうと不思議に思っていて。そのへん、原作とかよく知らないから、何か背景があるのかもしれないけど。歳とったからジジイおじいさん声になったのかなあと思ったけど、確かクリストファー・ロビンが少年の頃も同じ声でしたよね?

声ってことでいうと、日本語吹き替え版では堺雅人クリストファー・ロビンに声当ててましたけど、これがもう全然合ってない(僕が観たのは字幕ですが)。ユアン・マクレガー堺雅人って、日本のディズニーはバカなんでしょうか。そもそもこの手のお話は、今の日本だとみんな吹き替え優先で観に行くと思うんですよ。だったら話題作りなんか必要ないんだから本職の声優を使えばいいのに、堺雅人。もういっそのこと最後のシーンで会社にやってきたクリストファー・ロビン「倍返しだ!!」って言わせりゃよかったんですよ。

まあプーの声を誰がやろうが僕はこのお話には乗れなかったと思いますけど。 これ、そんなにいい話かなあ、本当に。最後、家族全員があの世に行ったと無理やり解釈したらちょっとおもしろいかもしれないけど。

プーと大人になった僕 (ディズニーアニメ小説版)

プーと大人になった僕 (ディズニーアニメ小説版)